"WHERE THE WILD THINGS ARE" かいじゅうたちのいるところ(2009) [movie-w]
別に、絵本が大好きなわけではないのに、
大人になってからもずっと、大切に部屋に飾っている絵本がある。
モーリス・センダック著『かいじゅうたちのいるところ』
この世界的に人気のある絵本を原作に『マルコビッチの穴』のスパイク・ジョーンズが実写化した映画を観てきた。
http://www.youtube.com/watch?v=RY-dXsR_ZFg
このシンプルな物語をどうふくらませているのだろう、
実写化が難しいと思われるかいじゅうたちをどうやって作ったのだろう、
色々と興味はあったのだけれど…原作の世界観をこれだけ崩さずに、
しかも新しい『かいじゅうたちのいるところ』を作ったのはさすが、
原作者自身が指名した奇才スパイク・ジョーンズならではの仕事だろう。
そして何よりも大事な主人公の魅力。
スパイク・ジョーンズは「演技のうまい子ではなく、演技に本物の感情を込められる子どもが欲しかった」
として、1000人もの中からオーディションで主役マックス・ジョーンズを選んだそうだけれど、
その鑑識眼は正しかった。
くるくると走り回り、やんちゃで傷つきやすい少年は原作よりさらに魅力的。
父親のいない家庭、人生に疲れ、生きることで精いっぱいの母親、
顧みられていないと思いこむ少年の孤独と焦燥感。
愛情を得ることにあがき、その心が彼をかいじゅうたちの元へ運んでゆく。
このかいじゅうたちがまたびっくりするくらい精巧で、
本当に生きて動いているんじゃないかと思うくらい。
眼の動きや口元のしわなど、CGとわかっていても生身を感じさせる。
それは監督自身がかいじゅうを着ぐるみで撮影することにこだわり、
台詞の録音も、声の出演者たちに演劇をさせるように掛け合いをさせて録ったからこそ感じられた生気なのだろう。
個々のかいじゅうのキャラクターもそれぞれ深く描かれていて、
原作では味わえなかった面白さもある。
かいじゅうたちとの生活を通して次第に思い出される母親への思慕。
これは少年の成長譚、ではなく、
冒険を通して少年が見つけた壊れやすく温かいけれど大切なものを描いた作品だ。
原作者のセンダックはジョーンズ監督に
「僕はこの絵本を個人的な作品として書いたんだから、君もこの映画を個人的な作品として撮るべきだ」
とアドバイスしたと言う。
原作ではラスト、マックスの部屋に夕飯が用意されている情景で終わっているが、
映画は映画なりの解釈でラストが締めくくられている。
独自の世界観で現実を忘れられるとともに、誰しもが持っている温かさのようなものを呼び起こされる作品。
この作品は映画単体ではなく、原作も込みで堪能すべきだと思う。
ちなみに字幕も原作の訳者神宮輝夫氏が関わっていて、
原作の世界観を損なわない訳が付いていた。
今年映画館で初めて観た、素敵な作品。
"WHERE THE WILD THINGS ARE"
かいじゅうたちのいるところ
2009/USA/101min
監督: スパイク・ジョーンズ
製作: トム・ハンクス/ゲイリー・ゴーツマン/モーリス・センダック
ジョン・カールズ/ヴィンセント・ランディ
原作: モーリス・センダック
『かいじゅうたちのいるところ』(冨山房刊)
脚本: スパイク・ジョーンズ/デイヴ・エッガース
撮影: ランス・アコード
出演:
マックス・レコーズ-マックス/キャサリン・キーナー-ママ
声の出演:
ローレン・アンブローズ-KW
クリス・クーパー-ダグラス
ジェームズ・ガンドルフィーニ-キャロル
キャサリン・オハラ-ジュディス
フォレスト・ウィッテカー-アイラ
ポール・ダノ-アレクサンダー
知らなかったのだけれど、かつて原作が7分ほどのアニメ作品として制作されていた。
こちらはまるきり原作そのものの世界観。
あとこちらもちょっと気になっていたのだけれど、
昨年渋谷movida館にできたOPENINEG CEREMONYとかいじゅうたちのいるところのコラボアイテム。
http://www.openingceremony.us/p318.html
これはちょっとギャグというか寝巻というか(笑)。
でも着心地は良さそう。
このベストはかなりキュート。
コートも結構いまどきな感じ。
映画を観た後だと、こういうファッションアイテムでもちょっと見る目が変わるかな。
大人になってからもずっと、大切に部屋に飾っている絵本がある。
モーリス・センダック著『かいじゅうたちのいるところ』
この世界的に人気のある絵本を原作に『マルコビッチの穴』のスパイク・ジョーンズが実写化した映画を観てきた。
http://www.youtube.com/watch?v=RY-dXsR_ZFg
このシンプルな物語をどうふくらませているのだろう、
実写化が難しいと思われるかいじゅうたちをどうやって作ったのだろう、
色々と興味はあったのだけれど…原作の世界観をこれだけ崩さずに、
しかも新しい『かいじゅうたちのいるところ』を作ったのはさすが、
原作者自身が指名した奇才スパイク・ジョーンズならではの仕事だろう。
そして何よりも大事な主人公の魅力。
スパイク・ジョーンズは「演技のうまい子ではなく、演技に本物の感情を込められる子どもが欲しかった」
として、1000人もの中からオーディションで主役マックス・ジョーンズを選んだそうだけれど、
その鑑識眼は正しかった。
くるくると走り回り、やんちゃで傷つきやすい少年は原作よりさらに魅力的。
父親のいない家庭、人生に疲れ、生きることで精いっぱいの母親、
顧みられていないと思いこむ少年の孤独と焦燥感。
愛情を得ることにあがき、その心が彼をかいじゅうたちの元へ運んでゆく。
このかいじゅうたちがまたびっくりするくらい精巧で、
本当に生きて動いているんじゃないかと思うくらい。
眼の動きや口元のしわなど、CGとわかっていても生身を感じさせる。
それは監督自身がかいじゅうを着ぐるみで撮影することにこだわり、
台詞の録音も、声の出演者たちに演劇をさせるように掛け合いをさせて録ったからこそ感じられた生気なのだろう。
個々のかいじゅうのキャラクターもそれぞれ深く描かれていて、
原作では味わえなかった面白さもある。
かいじゅうたちとの生活を通して次第に思い出される母親への思慕。
これは少年の成長譚、ではなく、
冒険を通して少年が見つけた壊れやすく温かいけれど大切なものを描いた作品だ。
原作者のセンダックはジョーンズ監督に
「僕はこの絵本を個人的な作品として書いたんだから、君もこの映画を個人的な作品として撮るべきだ」
とアドバイスしたと言う。
原作ではラスト、マックスの部屋に夕飯が用意されている情景で終わっているが、
映画は映画なりの解釈でラストが締めくくられている。
独自の世界観で現実を忘れられるとともに、誰しもが持っている温かさのようなものを呼び起こされる作品。
この作品は映画単体ではなく、原作も込みで堪能すべきだと思う。
ちなみに字幕も原作の訳者神宮輝夫氏が関わっていて、
原作の世界観を損なわない訳が付いていた。
今年映画館で初めて観た、素敵な作品。
"WHERE THE WILD THINGS ARE"
かいじゅうたちのいるところ
2009/USA/101min
監督: スパイク・ジョーンズ
製作: トム・ハンクス/ゲイリー・ゴーツマン/モーリス・センダック
ジョン・カールズ/ヴィンセント・ランディ
原作: モーリス・センダック
『かいじゅうたちのいるところ』(冨山房刊)
脚本: スパイク・ジョーンズ/デイヴ・エッガース
撮影: ランス・アコード
出演:
マックス・レコーズ-マックス/キャサリン・キーナー-ママ
声の出演:
ローレン・アンブローズ-KW
クリス・クーパー-ダグラス
ジェームズ・ガンドルフィーニ-キャロル
キャサリン・オハラ-ジュディス
フォレスト・ウィッテカー-アイラ
ポール・ダノ-アレクサンダー
知らなかったのだけれど、かつて原作が7分ほどのアニメ作品として制作されていた。
こちらはまるきり原作そのものの世界観。
あとこちらもちょっと気になっていたのだけれど、
昨年渋谷movida館にできたOPENINEG CEREMONYとかいじゅうたちのいるところのコラボアイテム。
http://www.openingceremony.us/p318.html
これはちょっとギャグというか寝巻というか(笑)。
でも着心地は良さそう。
このベストはかなりキュート。
コートも結構いまどきな感じ。
映画を観た後だと、こういうファッションアイテムでもちょっと見る目が変わるかな。
かいじゅうたちのいるところ (スパイク・ジョーンズ 監督) [DVD]
- 出版社/メーカー:
- メディア: DVD
2010-01-15 23:52
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コメント(8)
トラックバック(1)
movieloverさん、こんにちは。はじめまして。
ご訪問&nice&コメント、そしてトラックバックまで、どうもありがとう。
>知らなかったのだけれど、かつて原作が7分ほどのアニメ作品として制作されていた。
といわけで、YouTubeも見させてもらいました。
原作の絵本は読んだことはないけれども、
世界観は原作に近い・・との書かれていたので、
映画はずいぶんと物語をふくらまして、苦味のある脚本にしたんだなぁ・・
と感じました。 本屋さんで、ちょっと立ち読みしてみようかな。
映画を観終えたあと、子供の絵本にしちゃあ、残忍なお話だなぁ・・と
感じたので、絵本も映画に近いのか・・絵本業界もえらくかわったのかな・・
などと思ったのですが、YouTubeのアニメをみさせてもらって、
ホッとしましたね。
それにしても、絵本(YouTubeで見てですが)にでてくる かいじゅうと、
映画にでてくる かいじゅうが正確に表現されて作られていたことが、
驚きでしたね。
また遊びにきます。これからもよろしくです。(^^)
by まなてぃ (2010-01-17 10:08)
>>まなてぃさん
コメント、nice!、TBありがとうございます!
原作は本当にシンプルな絵本らしい絵本ですよ。
でもよくよく考えると原作もちょっとばかり残酷なんですよね。
「食べてやるから行かない」で、とか…。
映画はそのちょっとばかりダークな部分を掘り下げた感じがします。
スパイク・ジョーンズ流というか(笑)。
でもかいじゅうがホントにリアルに再現されてて私もホントびっくりしました!
絵本も読んでみてくださーい。
これからもどうぞよろしくです。
by movielover (2010-01-17 23:14)
お〜☆ アニメになってるんですね!
絵本がそのまんま動いてる〜〜〜。
ジョーンズの世界観の『かいじゅうたちのいるところ』もイイですね♪
かわいいけど、ヒリヒリする痛みがたまりませんでした☆
by ジジョ (2010-01-23 09:38)
>>ジジョさん
そうなんですよー。
アニメは絵本まんまですよね。
ジョーンズは可愛さだけじゃなくて、
ジジョさんもおっしゃるヒリヒリする痛みや焦燥感やもどかしさも描きたくて、
そこを掘り下げたような気がします。
たまにこういう架空の世界をみて、ちょっと現実を忘れたりするのもいいかなって思います。
描いてある感情は現実世界と共通だったりはするんですけどね。
by movielover (2010-01-24 00:59)
こんにちはぁ(^_^)/
予告編を見て期待していたものとはかなり違う作品でした。
予想以上に監督のシビアな考えが潜んでいて、シンプルだけど
練られた脚本という気がします。あとからジワジワくるタイプですね。
きっと時間が経てば経つほど好きになっていく作品だと思います。
by よーじっく (2010-01-24 10:28)
>>よーじっくさん
コメント、niceありがとうございます!!
原作がシンプルな分、本当に練りこんで長編につくってっいった感じのする作品ですよね。
しばらく経ったらまたあらためて観てみたい気がします。
by movielover (2010-01-24 23:43)
昨日観てきました。絵本も先月買ったので、これがどう映画になるのかな?と思ってたけど、結構考えさせられる感じ。
子供には不評って聞いてたのも納得。「大人の絵本」って感じでしょうか。
by きっしー (2010-01-25 10:11)
>>きっしー
きっしーも見たんだ~!
子供には不評なんだね。
確かに子供向きではないかも…うんうん、大人の絵本。
そういえばClaudiaは前にきっしーに教えてもらった気がします。
おいしかったよー。
by movielover (2010-01-25 14:11)