"MOONLIGHT MILE-ムーンライト・マイル(2002)" [movie-m]
引っ越し等々で忙しく、映画を観るペースも一気にスローダウン。
引っ越し直後に観ていて、いまだレビューができていなかったこちらは、
どうして今まで観られていなかったんだろうと思える質の良い作品だった。
ダスティン・ホフマン演じるベンとスーザン・サランドン演じるジョージョーの娘ダイアナが、
不幸な発砲事件に巻き込まれて亡くなってしまう。
娘のフィアンセであるジェイク・ギレンホール演じるジョーは、なし崩し的に彼ら夫妻と生活をともにし、
さらにベンの仕事も手伝うようになるのだが、彼はふたりに秘密を抱えながら一緒に暮らしていた。
私の人生におけるワースト10に入る(笑)『シティ・オブ・エンジェル』の監督とは思えない、
歯切れの良いオープニングが私好み。
鳴り響く電話のベルの中、外出の準備をする3人。
会話や衣服から、葬儀へ向かう準備なのだな、と思い当たる。
家の前にずらっと並ぶ参列者を乗せた黒塗りの車の列。
律義にドアを閉めて回るベンの立ち居振る舞いに、彼の性格が見て取れる。
最後に3人が乗り込んだ車のエンジンをドライバーがかけると、車内に大音量で流れる
SLY&THE FAMILY STONE "I wanna take you higher"
一瞬車内に流れる気まずい空気に、ドライバーはすぐにオーディオを消す。
それを後ろの座席から身を乗り出して無言でつけ直すジョージョー。
曲に合わせて黒塗りの車の列が、街中を日常を切り裂いて通ってゆく様が映し出される。
思いがけないセンスの良さが小気味よい。
状況や関係性が分からないままに観ていると、次第に状況があらわになってくる。
彼らの不幸に共感するような周囲の反応に嫌悪感を隠さないシニカルなジョージョーと、
常識や儀礼に囚われるベンの夫妻の対比が面白い。
そんなふたりの間で右往左往するジョー。
戸惑いながらも娘を亡くした彼ら二人の状況を理解し寄り添おうとするが、
発送済みの結婚式の招待状を回収するために訪れた郵便局で、バーティーという魅力的な女性に出会う。
ベンとジョージョーに気兼ねしながらも、少しずつ、打ち解け心を通わせるジョーとバーティ。
ジョーは夫妻に対し秘密を抱えていて、バーティもまた、心に重いものを抱えたまま、
ジョーとの関係に悩んでいた。
彼ら二人の関係性と、ベン&ジョージョー夫妻とジョーの関係性が、
色々な状況に応じて少しずつ変化してゆく様子が描かれる。
物語の合間のちょっとしたシークエンスが心地よい。
70年代のヒットソングが巧く使われていてセンスが感じられる。
クライマックスはジョーの抱える秘密が暴露された後、娘を殺した犯人の裁判でジョーが証言台に立つシーン。
まったく期待せずに観た分、いいと思えたのかもしれない。
多分公開当時は『シティ・オブ・エンジェル』の監督の…というタイトルで観るのをためらったんだと思う。
クールな女検事補役で登場するホリー・ハンターも脇役ながら良かった。
物語に共感できずとも、俳優たちの巧さには納得できる部分があるだろうし、
ところどころでの曲の使い方の巧さは一見の価値があると思う。
ちなみにタイトルのムーンライト・マイルは作中でも使われている、ストーンズの曲のタイトル。
MOONLIGHT MILE
ムーンライト・マイル
2002/USA/116min
監督:ブラッド・シルバーリング
製作:マーク・ジョンソン/ブラッド・シルバーリング
脚本:ブラッド・シルバーリング
撮影:フェドン・パパマイケル
音楽:マーク・アイシャム
出演:ジェイク・ギレンホール/ダスティン・ホフマン/スーザン・サランドン
エレン・ポンピオ/ホリー・ハンター
引っ越し直後に観ていて、いまだレビューができていなかったこちらは、
どうして今まで観られていなかったんだろうと思える質の良い作品だった。
ダスティン・ホフマン演じるベンとスーザン・サランドン演じるジョージョーの娘ダイアナが、
不幸な発砲事件に巻き込まれて亡くなってしまう。
娘のフィアンセであるジェイク・ギレンホール演じるジョーは、なし崩し的に彼ら夫妻と生活をともにし、
さらにベンの仕事も手伝うようになるのだが、彼はふたりに秘密を抱えながら一緒に暮らしていた。
私の人生におけるワースト10に入る(笑)『シティ・オブ・エンジェル』の監督とは思えない、
歯切れの良いオープニングが私好み。
鳴り響く電話のベルの中、外出の準備をする3人。
会話や衣服から、葬儀へ向かう準備なのだな、と思い当たる。
家の前にずらっと並ぶ参列者を乗せた黒塗りの車の列。
律義にドアを閉めて回るベンの立ち居振る舞いに、彼の性格が見て取れる。
最後に3人が乗り込んだ車のエンジンをドライバーがかけると、車内に大音量で流れる
SLY&THE FAMILY STONE "I wanna take you higher"
一瞬車内に流れる気まずい空気に、ドライバーはすぐにオーディオを消す。
それを後ろの座席から身を乗り出して無言でつけ直すジョージョー。
曲に合わせて黒塗りの車の列が、街中を日常を切り裂いて通ってゆく様が映し出される。
思いがけないセンスの良さが小気味よい。
状況や関係性が分からないままに観ていると、次第に状況があらわになってくる。
彼らの不幸に共感するような周囲の反応に嫌悪感を隠さないシニカルなジョージョーと、
常識や儀礼に囚われるベンの夫妻の対比が面白い。
そんなふたりの間で右往左往するジョー。
戸惑いながらも娘を亡くした彼ら二人の状況を理解し寄り添おうとするが、
発送済みの結婚式の招待状を回収するために訪れた郵便局で、バーティーという魅力的な女性に出会う。
ベンとジョージョーに気兼ねしながらも、少しずつ、打ち解け心を通わせるジョーとバーティ。
ジョーは夫妻に対し秘密を抱えていて、バーティもまた、心に重いものを抱えたまま、
ジョーとの関係に悩んでいた。
彼ら二人の関係性と、ベン&ジョージョー夫妻とジョーの関係性が、
色々な状況に応じて少しずつ変化してゆく様子が描かれる。
物語の合間のちょっとしたシークエンスが心地よい。
70年代のヒットソングが巧く使われていてセンスが感じられる。
クライマックスはジョーの抱える秘密が暴露された後、娘を殺した犯人の裁判でジョーが証言台に立つシーン。
まったく期待せずに観た分、いいと思えたのかもしれない。
多分公開当時は『シティ・オブ・エンジェル』の監督の…というタイトルで観るのをためらったんだと思う。
クールな女検事補役で登場するホリー・ハンターも脇役ながら良かった。
物語に共感できずとも、俳優たちの巧さには納得できる部分があるだろうし、
ところどころでの曲の使い方の巧さは一見の価値があると思う。
ちなみにタイトルのムーンライト・マイルは作中でも使われている、ストーンズの曲のタイトル。
MOONLIGHT MILE
ムーンライト・マイル
2002/USA/116min
監督:ブラッド・シルバーリング
製作:マーク・ジョンソン/ブラッド・シルバーリング
脚本:ブラッド・シルバーリング
撮影:フェドン・パパマイケル
音楽:マーク・アイシャム
出演:ジェイク・ギレンホール/ダスティン・ホフマン/スーザン・サランドン
エレン・ポンピオ/ホリー・ハンター
"MOON-月に囚われた男"(2009) [movie-m]
さて大人しく久々に映画でも観ようと思ってチョイスしたのがこちら。
『月に囚われた男』
監督のダンカン・ジョーンズがデイビッド・ボウイの息子と言うこともあってか話題になり、
評判もよくずっと気になっていた作品。
いい映画の条件のひとつに、『設定が面白い』という条件があると思う。
いかに優秀な役者が集まっていても、設定ひとつで観客の作品に対する興味はがらりと変わる。
SFというジャンルは好き嫌いがはっきり出やすい傾向があると思うので、
一概に皆が面白いと思うわけではないかもしれないけれど、
低予算で、限られた条件で作らなくてはならなかったからこその良さが感じられた。
枯渇した地球のエネルギーを補うために、
月の裏側から採取されるエネルギー源ヘリウム3が地球を救うクリーンエネルギーとして注目される時代。
地球のエネルギー供給の70%を占めるヘリウム3の採掘を一手に引き受けるルナ産業(LUNAR)との契約で、
3年の期限で月にある基地に送り込まれるのがサム・ロックウェル演じるサム・ベル。
採掘作業から抽出、精製まではオートメーションで、
サムは採掘されたエネルギーをロケットで地球に送るだけの仕事のために雇われている。
3年の契約期限にあと2週間と迫り、愛する妻と娘に会う直前で、サムは事故を起こしてしまう。
その事故の後、次々と不可思議なことが起こり始め、サムを追い詰めてゆく…。
最近のSFで言えば、"第9地区”の『宇宙人との共存』という設定ほどのインパクトはないけれど、
低予算のインディペンデント映画ならではのリアリティを感じさせる仕上がりになっていると思う。
ただしちょっと意地悪なことを言ってしまうと、普通、月で誰かに仕事をさせるとしても、
たった一人で仕事をさせるリスクや、雇用者の精神状態を懸念すると、
どんな企業もひとりで仕事をさせる、という選択はしないような気もする。
しかもなんせ地球の70%ものエネルギー供給をカバーする重要な仕事。
エネルギー供給が突如途絶えたら大変なことになるかもと思うけれど、
そこを突いてしまうとこの映画は成り立たないので無視するとしよう(笑)。
理由はネタばれするので書きませんが、だからこそサムが選ばれているとも言えるけれど。
とにかく、基地の中はサムと彼をサポートするロボット、ガーティ(GERTY)のみ。
ルナ産業という企業の得体のしれない不気味さみたいなものも、重要なファクターのひとつになっている。
冒頭の宣伝やロゴデザイン、時折交信映像を送ってくる本社の人間、そして基地の無機質な空間。
基地内の壁に英語と並んでハングル文字がデザインされているのも、
ルナ産業が大きな企業で(アメリカ資本だけではなく韓国の資本が入っているとも想像される)、
サムがその中で取るに足らない雇用者であることを暗に示唆しているような気がした。
また、ハングルと並んで壁に書かれている英字のSARANGは、韓国語で「愛、親愛」を意味していて、
監督の遊び心なんだろうなと思わされる。
トリッキーな視点のスイッチもあったり、随所に仕掛けられたキャッチ(引っかかり)で観客は違和感を感じ、
想像を膨らませ、物事を見てしまうようになっていくのではないだろうか。
そしてほとんど唯一の出演者といってよい、サム・ロックウェルの存在。
前々から気になる役者だったけれど、月の基地でただ一人暮らす男のリアリティを見事に演じただけでなく、
さらにはそのあとの特異な展開で追い詰められていくサムを見ていると、
今作にかかる前からサム・ロックウェルにラブコールを送り、
ついには彼のためにこの作品のストーリーを用意したダンカン・ジョーンズの気持ちがよくわかる。
そしてもし、SF映画好きでよく見ている人ならば、
ダンカン・ジョーンズが捧げた過去のSF映画へのオマージュも見て楽しむポイントの一つになるだろう。
個人的にはロボット・ガーティの声にケヴィン・スペイシーを持ってきたところがツボだったけれど。
2001:SPACE ODESSEYの有名なロボットHAL2000を髣髴とさせるが、
HALと対照的な人間臭いキャラクターが、ケヴィン・スペイシーの声でさらに深みを増していると思う。
DVDではダンカン・ジョーンズ監督へのQ&Aなども収録されていて、
インディペンデントフィルムらしい裏話や、実際のセットなども見られて興味深い。
冬に、温かいものでも飲みながらじっくり観たい秀作。
MOON
月に囚われた男
2009/UK/97min
監督:ダンカン・ジョーンズ
原案:ダンカン・ジョーンズ
脚本:ネイサン・パーカー
撮影:ゲイリー・ショウ
衣装デザイン:ジェーン・ペトリ
編集:ニコラス・ガスター
音楽:クリント・マンセル
出演:サム・ロックウェル/ドミニク・マケリゴット/カヤ・スコデラーリオ
ベネディクト・ウォン/マット・ベリー/マルコム・スチュワート
声の出演:ケヴィン・スペイシー
監督、お父さんとはあんまり似てませんね。
『月に囚われた男』
監督のダンカン・ジョーンズがデイビッド・ボウイの息子と言うこともあってか話題になり、
評判もよくずっと気になっていた作品。
いい映画の条件のひとつに、『設定が面白い』という条件があると思う。
いかに優秀な役者が集まっていても、設定ひとつで観客の作品に対する興味はがらりと変わる。
SFというジャンルは好き嫌いがはっきり出やすい傾向があると思うので、
一概に皆が面白いと思うわけではないかもしれないけれど、
低予算で、限られた条件で作らなくてはならなかったからこその良さが感じられた。
枯渇した地球のエネルギーを補うために、
月の裏側から採取されるエネルギー源ヘリウム3が地球を救うクリーンエネルギーとして注目される時代。
地球のエネルギー供給の70%を占めるヘリウム3の採掘を一手に引き受けるルナ産業(LUNAR)との契約で、
3年の期限で月にある基地に送り込まれるのがサム・ロックウェル演じるサム・ベル。
採掘作業から抽出、精製まではオートメーションで、
サムは採掘されたエネルギーをロケットで地球に送るだけの仕事のために雇われている。
3年の契約期限にあと2週間と迫り、愛する妻と娘に会う直前で、サムは事故を起こしてしまう。
その事故の後、次々と不可思議なことが起こり始め、サムを追い詰めてゆく…。
最近のSFで言えば、"第9地区”の『宇宙人との共存』という設定ほどのインパクトはないけれど、
低予算のインディペンデント映画ならではのリアリティを感じさせる仕上がりになっていると思う。
ただしちょっと意地悪なことを言ってしまうと、普通、月で誰かに仕事をさせるとしても、
たった一人で仕事をさせるリスクや、雇用者の精神状態を懸念すると、
どんな企業もひとりで仕事をさせる、という選択はしないような気もする。
しかもなんせ地球の70%ものエネルギー供給をカバーする重要な仕事。
エネルギー供給が突如途絶えたら大変なことになるかもと思うけれど、
そこを突いてしまうとこの映画は成り立たないので無視するとしよう(笑)。
理由はネタばれするので書きませんが、だからこそサムが選ばれているとも言えるけれど。
とにかく、基地の中はサムと彼をサポートするロボット、ガーティ(GERTY)のみ。
ルナ産業という企業の得体のしれない不気味さみたいなものも、重要なファクターのひとつになっている。
冒頭の宣伝やロゴデザイン、時折交信映像を送ってくる本社の人間、そして基地の無機質な空間。
基地内の壁に英語と並んでハングル文字がデザインされているのも、
ルナ産業が大きな企業で(アメリカ資本だけではなく韓国の資本が入っているとも想像される)、
サムがその中で取るに足らない雇用者であることを暗に示唆しているような気がした。
また、ハングルと並んで壁に書かれている英字のSARANGは、韓国語で「愛、親愛」を意味していて、
監督の遊び心なんだろうなと思わされる。
トリッキーな視点のスイッチもあったり、随所に仕掛けられたキャッチ(引っかかり)で観客は違和感を感じ、
想像を膨らませ、物事を見てしまうようになっていくのではないだろうか。
そしてほとんど唯一の出演者といってよい、サム・ロックウェルの存在。
前々から気になる役者だったけれど、月の基地でただ一人暮らす男のリアリティを見事に演じただけでなく、
さらにはそのあとの特異な展開で追い詰められていくサムを見ていると、
今作にかかる前からサム・ロックウェルにラブコールを送り、
ついには彼のためにこの作品のストーリーを用意したダンカン・ジョーンズの気持ちがよくわかる。
そしてもし、SF映画好きでよく見ている人ならば、
ダンカン・ジョーンズが捧げた過去のSF映画へのオマージュも見て楽しむポイントの一つになるだろう。
個人的にはロボット・ガーティの声にケヴィン・スペイシーを持ってきたところがツボだったけれど。
2001:SPACE ODESSEYの有名なロボットHAL2000を髣髴とさせるが、
HALと対照的な人間臭いキャラクターが、ケヴィン・スペイシーの声でさらに深みを増していると思う。
DVDではダンカン・ジョーンズ監督へのQ&Aなども収録されていて、
インディペンデントフィルムらしい裏話や、実際のセットなども見られて興味深い。
冬に、温かいものでも飲みながらじっくり観たい秀作。
MOON
月に囚われた男
2009/UK/97min
監督:ダンカン・ジョーンズ
原案:ダンカン・ジョーンズ
脚本:ネイサン・パーカー
撮影:ゲイリー・ショウ
衣装デザイン:ジェーン・ペトリ
編集:ニコラス・ガスター
音楽:クリント・マンセル
出演:サム・ロックウェル/ドミニク・マケリゴット/カヤ・スコデラーリオ
ベネディクト・ウォン/マット・ベリー/マルコム・スチュワート
声の出演:ケヴィン・スペイシー
月に囚(とら)われた男 コレクターズ・エディション [DVD]
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- メディア: DVD
監督、お父さんとはあんまり似てませんね。
"MESRINE: L'ENNEMI PUBLIC N°1-ジャック・メスリーヌ パブリック・エネミーNo.1(2008)" [movie-m]
昨年観ていたのに感想を書けていなかった作品を。
『ドーベルマン』や『オーシャンズシリーズ』など、
クライムムービーのイメージが強いヴァンサン・カッセル主演で、
フランスで“社会の敵No.1”と呼ばれた伝説のギャング、
ジャック・メスリーヌをpart1、part2と二部にわたってたっぷりと描いた作品。
私の中ではヴァンサン・カッセルといえばマチュー・カソビッツの『憎しみ』の、
坊主頭で痩身の若者のイメージや、『ドーベルマン』でのスタイリッシュなギャングのイメージが強かったけれど、
いつの間にこんなに大物感溢れる貫録たっぷりの俳優に仕上がったのだろう。
原作も、メスリーヌ自身が書いたものを使っており、
彼がアルジェリア戦争で兵役につき、初めて人を殺した若者時代から、
最後に警察に蜂の巣にされるまでの約20年あまりをヴァンサン・カッセルが演じているのだけれど、
その演じ分け、なりきりっぷり、七変化っぷりに感服させられる。
ちなみにpart1と2では体重を20kgも増減させたそう。
特に後年お腹も出て、大物ぶりを醸し出そうとするメスリーヌの態度さながらの人を食ったような演技は、
当時のメスリーヌ本人を知らない観客にも彼の存在を感じさせるような、そんな演技だったと思う。
part1では戦争という環境で初めての殺人を犯し、
兵役後に裏稼業に手を染めてゆく姿が描かれている。
そんな彼を、実の息子とも思える懐の深さで迎えるギャングのボス、ギドにジェラール・ドパルデュー。
こちらも大御所っぷりが板についているけれど、やはり存在感のある俳優だなと思う。
また、スピード感のある展開、60、70年代当時のファッションや風俗も一見の価値あり。
メスリーヌを取り巻く女たちも、ひと癖ふた癖あるキャラクターが魅力的。
メスリーヌの犯罪を自ら手伝うジャンヌは、積極的で芯のある雰囲気が素敵。
それ以外にも、結婚して子供も儲けた相手や娼婦など女には事欠かなかったらしいメスリーヌだけれど、
いちばん最後に連れ添ったシルヴィア役に小悪魔的なリュディヴィーヌ・サニエ。
彼女もしたたかなギャングの情婦役にはまっていたと思う。
劇中、彼女にあれこれ買い与えるメスリーヌの様子が出てきていたが、
当時のファッションに身を包む彼女を観るのもこの作品の楽しみの一つに数えられるだろう。
とりあえず義賊的にもてはやされていたメスリーヌだけれど、この作品では特に英雄視せず、
ありのままの等身大の彼をしっかり描くことに重きを置いていたと思う。
等身大の犯罪者。
確かに、とっさの機転で立ち回り、軽やかに、そして大胆に犯罪を犯していく彼を観るスリル、
それは善悪を超えた一種のエンターテイメントに見える。
その一方で、残忍な殺人を犯す際の異常と言える衝動や容赦なさ、
収監後の劣悪な環境での個をはく奪された彼の弱さと同時に垣間見えるしたたかさ、
自分を大きく見せたいと願ってか大物ぶり、執拗なまでに仲間や周囲の人間へのアピールを続ける彼など、
等身大を通り越してときに眉をひそめたくなるような様子も逐一描かれている。
それがための二部構成だったろうし、テンポよく描いてなおこのボリュームになったのだろう。
単なるエンタテイメントではなく、生々しい犯罪者の記録、と言っても過言ではない仕上がりは、
同じ『パブリック・エネミー』のタイトルのついたJ・デップの作品とは一線を画す、
フランスらしいクライム・ムービーになっていると思う。
メスリーヌになりきったヴァンサン・カッセルに拍手。
さて、ヴァンサンは逃走中のメスリーヌに合わせてその髪形や姿かたちをしょっちゅう変えているのだけれど、
そんなメスリーヌの実際の変装写真がこちら。
いかにもしたたかな犯罪者の素顔が垣間見える一枚。
MESRINE: L'INSTINCT DE MORT
"ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 1 ノワール編"
2008/FRA/2008
監督:ジャン=フランソワ・リシェ
製作:トマ・ラングマン
原作:ジャック・メスリーヌ
脚本:アブデル・ラウフ・ダブリ/ジャン=フランソワ・リシェ
撮影:ロバート・ギャンツ
衣装:ヴィルジニー・モンテル
出演:ヴァンサン・カッセル/セシル・ドゥ・フランス/ジェラール・ドパルデュー/エレナ・アナヤ
ロイ・デュプイ/ジル・ルルーシュ/ミシェル・デュショー/ミリアム・ボワイエ
MESRINE: L'ENNEMI PUBLIC N°1
"ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 2 ルージュ編"
2008/FRA/132min
監督:ジャン=フランソワ・リシェ
製作:トマ・ラングマン
原作:ジャック・メスリーヌ
脚本:アブデル・ラウフ・ダブリ/ジャン=フランソワ・リシェ
撮影:ロバート・ギャンツ
衣装:ヴィルジニー・モンテル
出演:ヴァンサン・カッセル/リュディヴィーヌ・サニエ/マチュー・アマルリック
オリヴィエ・グルメ/ジェラール・ランヴァン/サミュエル・ル・ビアン/ミシェル・デュショーソワ
もう一度観たいマチュー・カソビッツの『憎しみ』
DVD出ていないのかと思っていたら、以前発売されていたようです…。
『ドーベルマン』や『オーシャンズシリーズ』など、
クライムムービーのイメージが強いヴァンサン・カッセル主演で、
フランスで“社会の敵No.1”と呼ばれた伝説のギャング、
ジャック・メスリーヌをpart1、part2と二部にわたってたっぷりと描いた作品。
私の中ではヴァンサン・カッセルといえばマチュー・カソビッツの『憎しみ』の、
坊主頭で痩身の若者のイメージや、『ドーベルマン』でのスタイリッシュなギャングのイメージが強かったけれど、
いつの間にこんなに大物感溢れる貫録たっぷりの俳優に仕上がったのだろう。
原作も、メスリーヌ自身が書いたものを使っており、
彼がアルジェリア戦争で兵役につき、初めて人を殺した若者時代から、
最後に警察に蜂の巣にされるまでの約20年あまりをヴァンサン・カッセルが演じているのだけれど、
その演じ分け、なりきりっぷり、七変化っぷりに感服させられる。
ちなみにpart1と2では体重を20kgも増減させたそう。
特に後年お腹も出て、大物ぶりを醸し出そうとするメスリーヌの態度さながらの人を食ったような演技は、
当時のメスリーヌ本人を知らない観客にも彼の存在を感じさせるような、そんな演技だったと思う。
part1では戦争という環境で初めての殺人を犯し、
兵役後に裏稼業に手を染めてゆく姿が描かれている。
そんな彼を、実の息子とも思える懐の深さで迎えるギャングのボス、ギドにジェラール・ドパルデュー。
こちらも大御所っぷりが板についているけれど、やはり存在感のある俳優だなと思う。
また、スピード感のある展開、60、70年代当時のファッションや風俗も一見の価値あり。
メスリーヌを取り巻く女たちも、ひと癖ふた癖あるキャラクターが魅力的。
メスリーヌの犯罪を自ら手伝うジャンヌは、積極的で芯のある雰囲気が素敵。
それ以外にも、結婚して子供も儲けた相手や娼婦など女には事欠かなかったらしいメスリーヌだけれど、
いちばん最後に連れ添ったシルヴィア役に小悪魔的なリュディヴィーヌ・サニエ。
彼女もしたたかなギャングの情婦役にはまっていたと思う。
劇中、彼女にあれこれ買い与えるメスリーヌの様子が出てきていたが、
当時のファッションに身を包む彼女を観るのもこの作品の楽しみの一つに数えられるだろう。
とりあえず義賊的にもてはやされていたメスリーヌだけれど、この作品では特に英雄視せず、
ありのままの等身大の彼をしっかり描くことに重きを置いていたと思う。
等身大の犯罪者。
確かに、とっさの機転で立ち回り、軽やかに、そして大胆に犯罪を犯していく彼を観るスリル、
それは善悪を超えた一種のエンターテイメントに見える。
その一方で、残忍な殺人を犯す際の異常と言える衝動や容赦なさ、
収監後の劣悪な環境での個をはく奪された彼の弱さと同時に垣間見えるしたたかさ、
自分を大きく見せたいと願ってか大物ぶり、執拗なまでに仲間や周囲の人間へのアピールを続ける彼など、
等身大を通り越してときに眉をひそめたくなるような様子も逐一描かれている。
それがための二部構成だったろうし、テンポよく描いてなおこのボリュームになったのだろう。
単なるエンタテイメントではなく、生々しい犯罪者の記録、と言っても過言ではない仕上がりは、
同じ『パブリック・エネミー』のタイトルのついたJ・デップの作品とは一線を画す、
フランスらしいクライム・ムービーになっていると思う。
メスリーヌになりきったヴァンサン・カッセルに拍手。
さて、ヴァンサンは逃走中のメスリーヌに合わせてその髪形や姿かたちをしょっちゅう変えているのだけれど、
そんなメスリーヌの実際の変装写真がこちら。
いかにもしたたかな犯罪者の素顔が垣間見える一枚。
MESRINE: L'INSTINCT DE MORT
"ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 1 ノワール編"
2008/FRA/2008
監督:ジャン=フランソワ・リシェ
製作:トマ・ラングマン
原作:ジャック・メスリーヌ
脚本:アブデル・ラウフ・ダブリ/ジャン=フランソワ・リシェ
撮影:ロバート・ギャンツ
衣装:ヴィルジニー・モンテル
出演:ヴァンサン・カッセル/セシル・ドゥ・フランス/ジェラール・ドパルデュー/エレナ・アナヤ
ロイ・デュプイ/ジル・ルルーシュ/ミシェル・デュショー/ミリアム・ボワイエ
ジャック・メスリーヌ / パブリック・エネミーNo.1 Part.1 [DVD]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- メディア: DVD
MESRINE: L'ENNEMI PUBLIC N°1
"ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 2 ルージュ編"
2008/FRA/132min
監督:ジャン=フランソワ・リシェ
製作:トマ・ラングマン
原作:ジャック・メスリーヌ
脚本:アブデル・ラウフ・ダブリ/ジャン=フランソワ・リシェ
撮影:ロバート・ギャンツ
衣装:ヴィルジニー・モンテル
出演:ヴァンサン・カッセル/リュディヴィーヌ・サニエ/マチュー・アマルリック
オリヴィエ・グルメ/ジェラール・ランヴァン/サミュエル・ル・ビアン/ミシェル・デュショーソワ
ジャック・メスリーヌ / パブリック・エネミーNo.1 Part2 [DVD]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- メディア: DVD
もう一度観たいマチュー・カソビッツの『憎しみ』
DVD出ていないのかと思っていたら、以前発売されていたようです…。
"MARADONA BY KUSTURICA"-マラドーナ(2008) [movie-m]
ワールドカップで今回いちばん目立っていたのはこの人、マラドーナではないだろうか。
私の大好きな監督のひとり、エミール・クストリッツァが彼のドキュメンタリーを撮っていたとは。
アルゼンチンは残念ながら歴史的大敗を喫し舞台から去って行ったけれど、
ワールドカップの熱気に押され、今更ながら観てみる。
神の子と呼ばれたマラドーナのカリスマ性は日本にいても聞き知るところだけれど、
この映画でもパロディのように差しこまれている、彼を教祖としたマラドーナ教には現在、
世界60カ国以上に10万人を越える信徒がいるとされる。
十戒も存在し、さらには10/30のマラドーナの誕生日はマラドーナ教のクリスマスとされ、
信者は「メリー・マラドーナ!!」と祝うんだそうだ。
現役を引退してもなお、彼を取り巻くファンの熱気はそのまま。
肥満や薬、問題行動の数々を打ち消すほどの人気は衰えを知らない。
遠く日本でサッカーから遠いところで彼を見ていると、その熱気がなぜだかあまり理解はできなかったのだけれど、
このドキュメンタリーを観て、納得できる気がした。
彼の熱さと、たぐいまれなサッカーの能力(大部分努力も)、いい部分も悪い部分も取り混ぜた彼の人間的魅力。
意外にも、というのはおかしいのかもしれないけれど、彼の政治的な意識の深さも興味深い。
よく言われる1986年のメキシコワールドカップ、イングランド戦での世紀のゴールは、
フォークランド紛争の仇打ちだと、マラドーナは語る。
爆弾ではなくサッカーで勝利した、と。
腕にはチェ・ゲバラ、太ももにはカストロの刺青。
映画の中では、SEX PISTOLS"GOD SAVE THE QUEEN"にのせて、
モンティ・パイソン風に、カリカチュアされたマラドーナがフィールドを縦横無尽に駆け回り、
サッチャーやチャールズ皇太子&エリザベス女王を蹴散らすアニメーションが流れる。
この遊び心には参ったと思わされた。
もちろん、薬物過剰摂取、アルコール依存症、極度の肥満などにより大きく体調を崩してしばしば入院、
ときには危篤状態にまで陥ることも多く、その映像もしっかり収められている。
けれど、実際に彼のプライベートの映像や、不仲を噂されていた娘たちとの様子もを見てると、
何となく憎めない、愛すべき人物だと思わざるを得ない。
ちなみに映画のオープニングで監督のクストリッツァが、
自身のバンドのステージでメンバーに
"映画界のディエゴ・アルマンド・マラドーナ!!"
と紹介されるシーンがある。
このふたりの男の可愛げと、好きなものに対する果てしない情熱は共通するものがあるのではないだろうか。
マラドーナの邪気のない破顔一笑に、ネガティブなものを感じ取る人は少ないだろう。
クストリッツァ×マラドーナの組み合わせは、いい相乗効果をあげたみたいだ。
そしてクストリッツァはジョニー・デップを主演に迎えメキシコの革命家パンチョ・ヴィラの生涯を描く新作映画、
『Wild Roses, Tender Roses(仮題)』の制作準備もしているらしい。
完成が待ち遠しい。
MARADONA BY KUSTURICA-マラドーナ
2008/ESP=FRA/95min
監督: エミール・クストリッツァ
脚本: エミール・クストリッツァ
出演: ディエゴ・マラドーナ
全盛期の彼の姿ももう少し観てみたい
マラドーナ教の経典(笑)
私の大好きな監督のひとり、エミール・クストリッツァが彼のドキュメンタリーを撮っていたとは。
アルゼンチンは残念ながら歴史的大敗を喫し舞台から去って行ったけれど、
ワールドカップの熱気に押され、今更ながら観てみる。
神の子と呼ばれたマラドーナのカリスマ性は日本にいても聞き知るところだけれど、
この映画でもパロディのように差しこまれている、彼を教祖としたマラドーナ教には現在、
世界60カ国以上に10万人を越える信徒がいるとされる。
十戒も存在し、さらには10/30のマラドーナの誕生日はマラドーナ教のクリスマスとされ、
信者は「メリー・マラドーナ!!」と祝うんだそうだ。
現役を引退してもなお、彼を取り巻くファンの熱気はそのまま。
肥満や薬、問題行動の数々を打ち消すほどの人気は衰えを知らない。
遠く日本でサッカーから遠いところで彼を見ていると、その熱気がなぜだかあまり理解はできなかったのだけれど、
このドキュメンタリーを観て、納得できる気がした。
彼の熱さと、たぐいまれなサッカーの能力(大部分努力も)、いい部分も悪い部分も取り混ぜた彼の人間的魅力。
意外にも、というのはおかしいのかもしれないけれど、彼の政治的な意識の深さも興味深い。
よく言われる1986年のメキシコワールドカップ、イングランド戦での世紀のゴールは、
フォークランド紛争の仇打ちだと、マラドーナは語る。
爆弾ではなくサッカーで勝利した、と。
腕にはチェ・ゲバラ、太ももにはカストロの刺青。
映画の中では、SEX PISTOLS"GOD SAVE THE QUEEN"にのせて、
モンティ・パイソン風に、カリカチュアされたマラドーナがフィールドを縦横無尽に駆け回り、
サッチャーやチャールズ皇太子&エリザベス女王を蹴散らすアニメーションが流れる。
この遊び心には参ったと思わされた。
もちろん、薬物過剰摂取、アルコール依存症、極度の肥満などにより大きく体調を崩してしばしば入院、
ときには危篤状態にまで陥ることも多く、その映像もしっかり収められている。
けれど、実際に彼のプライベートの映像や、不仲を噂されていた娘たちとの様子もを見てると、
何となく憎めない、愛すべき人物だと思わざるを得ない。
ちなみに映画のオープニングで監督のクストリッツァが、
自身のバンドのステージでメンバーに
"映画界のディエゴ・アルマンド・マラドーナ!!"
と紹介されるシーンがある。
このふたりの男の可愛げと、好きなものに対する果てしない情熱は共通するものがあるのではないだろうか。
マラドーナの邪気のない破顔一笑に、ネガティブなものを感じ取る人は少ないだろう。
クストリッツァ×マラドーナの組み合わせは、いい相乗効果をあげたみたいだ。
そしてクストリッツァはジョニー・デップを主演に迎えメキシコの革命家パンチョ・ヴィラの生涯を描く新作映画、
『Wild Roses, Tender Roses(仮題)』の制作準備もしているらしい。
完成が待ち遠しい。
MARADONA BY KUSTURICA-マラドーナ
2008/ESP=FRA/95min
監督: エミール・クストリッツァ
脚本: エミール・クストリッツァ
出演: ディエゴ・マラドーナ
全盛期の彼の姿ももう少し観てみたい
世界のスーパースター プラチナムコレクションシリーズ『マラドーナ』 [DVD]
- 出版社/メーカー: 日活
- メディア: DVD
マラドーナ教の経典(笑)
"MOONWALKER-ムーンウォーカー"(1988) [movie-m]
MJの劇的な死から1年。
1周忌を機に、彼のプライベートを映した『マイケル・ジャクソン キングオブポップの素顔』
http://mj-kingofpop.eiga.com/が公開され、
ディズニーランドでは15年ぶりにキャプテンEO(懐かしい!!)が復活。
いまだ覚めやらぬMJフィーバー。
ずっと、映画として観るのをためらっていたムーンウォーカーだけれど、
最近少し時間に余裕があるのでDVDを借りてみる。
はじめのうちはMJワールド満載のVideo clip集。
ストーリーもなく、曲に合わせてマイケルが歌う踊る走る。
後半になると急にストーリーがはじまり、
子供たちを薬漬けにしようとする、ジョー・ペシ演じる悪の帝王と戦うために、
歌ったり踊ったり、果てはロボットになり戦うマイケルの物語です。
…観る前からわかっていたけれど、映画としてはほぼ0点に近いですが、
マイケル・ジャクソンのミュージッククリップとして観るのなら、楽しめる作品になっているとは思う。
MJが大好きなマコーレ・カルキンとホーム・アローンシリーズで共演していたジョー・ペシが、
ドジな泥棒からかなり大きな組織の悪玉に変貌しているところや、
子供時代のショーン・レノンが共演しているところも面白い。
ラスト、ビートルズの"Come togather"もカッコ良かった。
この作品の価値はマイケルのエンターテイナーとしての価値そのもの、というところでいいんじゃないでしょうか。
MOONWALKER-ムーンウォーカー
1988/USA/93min
監督:ジェリー・クレイマー/コリン・シルヴァース
製作:デニス・E・ジョーンズ/ジェリー・クレイマー
製作総指揮:マイケル・ジャクソン/フランク・ディレオ
原案:マイケル・ジャクソン
脚本:デヴィッド・ニューマン
撮影:ジョン・ホラ/トーマス・E・アッカーマン
音楽:ブルース・ブロートン
出演:マイケル・ジャクソン/ショーン・レノン/ケリー・パーカー
ブランドン・アダムス/ジョー・ペシ
1周忌を機に、彼のプライベートを映した『マイケル・ジャクソン キングオブポップの素顔』
http://mj-kingofpop.eiga.com/が公開され、
ディズニーランドでは15年ぶりにキャプテンEO(懐かしい!!)が復活。
いまだ覚めやらぬMJフィーバー。
ずっと、映画として観るのをためらっていたムーンウォーカーだけれど、
最近少し時間に余裕があるのでDVDを借りてみる。
はじめのうちはMJワールド満載のVideo clip集。
ストーリーもなく、曲に合わせてマイケルが歌う踊る走る。
後半になると急にストーリーがはじまり、
子供たちを薬漬けにしようとする、ジョー・ペシ演じる悪の帝王と戦うために、
歌ったり踊ったり、果てはロボットになり戦うマイケルの物語です。
…観る前からわかっていたけれど、映画としてはほぼ0点に近いですが、
マイケル・ジャクソンのミュージッククリップとして観るのなら、楽しめる作品になっているとは思う。
MJが大好きなマコーレ・カルキンとホーム・アローンシリーズで共演していたジョー・ペシが、
ドジな泥棒からかなり大きな組織の悪玉に変貌しているところや、
子供時代のショーン・レノンが共演しているところも面白い。
ラスト、ビートルズの"Come togather"もカッコ良かった。
この作品の価値はマイケルのエンターテイナーとしての価値そのもの、というところでいいんじゃないでしょうか。
MOONWALKER-ムーンウォーカー
1988/USA/93min
監督:ジェリー・クレイマー/コリン・シルヴァース
製作:デニス・E・ジョーンズ/ジェリー・クレイマー
製作総指揮:マイケル・ジャクソン/フランク・ディレオ
原案:マイケル・ジャクソン
脚本:デヴィッド・ニューマン
撮影:ジョン・ホラ/トーマス・E・アッカーマン
音楽:ブルース・ブロートン
出演:マイケル・ジャクソン/ショーン・レノン/ケリー・パーカー
ブランドン・アダムス/ジョー・ペシ
【初回限定生産】 ムーンウォーカー 通常版 (ブックレット付) [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- メディア: Blu-ray
"MILK"-ミルク(2008) [movie-m]
"Without hope, the life is not worth living."
希望がなければ、人生は生きる価値がない。
アメリカの政治家、ゲイの権利活動家ハーヴィー・ミルクを描いたガス・ヴァン・サントの"MILK"。
映画の中で、もし、自分が暗殺されたら公開してほしいと録音した音声テープに吹き込んだ言葉。
同性愛者であることを公表し、アメリカではじめて大都市の公職に選ばれたハーヴィー・ミルク。
彼の特異な生涯を、ガス・ヴァン・サントが丁寧に追った。
監督自身、ゲイであることを公表しており、
主人公をミルクを演じたショーン・ペンがアカデミー賞最優秀男優賞を受賞したのも記憶に新しく、
ずっと気にはなっていた映画。
ショーン・ペンはこの手のキャラクターを演じさせたら本当にはまる役者だと思う。
それでなくとも巧みな役者であるとともに、実際の映像のハーヴィー・ミルク本人に、
驚くほど雰囲気と笑顔が似ている。
そして、この監督らしく、大層丁寧に事実を追っているようなのが印象に残る。
リアルさ、そして、痛みと希望について、人と人との関わりについて。
世の中にはどうしようもないこと、どうでもいいこと、そしてどうでもいいと言いきってしまってはいけないこと、がある。
私にとってこの作品は、その境界線を問うような映画だった。
フォーカスすべきはマイノリティの権利ではなく、
人と人との関わり方ではなかったろうか??
ハーヴィー・ミルク、彼の人との関わり方を、
もう少し知ってみたくなった。
ドキュメンタリーの"The times of Harvey Milk"(1984)、
そして、このガス・ヴァン・サントの"MILK"に先を越された感はあるけれど、
もし最終的に撮られることがあるのであれば、
同じく同性愛者であることを告白しているブライアン・シンガーが監督する、
『カストロ通りの市長(原題)』(The Mayor of Castro Street)も観てみたい。
最後に、彼の言葉。
"If a bullet should enter my brain,
Let that bullet destroy every closet door!"
「もし一発の銃弾が私の脳に達するようなことがあれば、その銃弾はすべてのクローゼットの扉を破壊するだろう」
(= もし私が暗殺されるようなことがあれば、
それはこれまで隠れていたすべてのゲイの者たちをカミングアウトさせることにつながるだろう)
彼が、努力したことが、今日のゲイコミュニティに残した功績は計り知れないのだと思う。
自分でできることはちっぽけだけれど、
案外ちょっとした心遣いで世界はうまく回るものなのかもしれない。
MILK
ミルク
2008/USA/128min
監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:ダスティン・ランス・ブラック
撮影:ハリス・サヴィデス
衣装デザイン:ダニー・グリッカー
編集:エリオット・グレアム
音楽:ダニー・エルフマン
出演:ショーン・ペン/ジェームズ・フランコ/ジョシュ・ブローリン/エミール・ハーシュ
ディエゴ・ルナ/アリソン・ピル/ルーカス・グラビール/ヴィクター・ガーバー
デニス・オヘア/ジョセフ・クロス/ハワード・ローゼンマン/ブランドン・ボイス
希望がなければ、人生は生きる価値がない。
アメリカの政治家、ゲイの権利活動家ハーヴィー・ミルクを描いたガス・ヴァン・サントの"MILK"。
映画の中で、もし、自分が暗殺されたら公開してほしいと録音した音声テープに吹き込んだ言葉。
同性愛者であることを公表し、アメリカではじめて大都市の公職に選ばれたハーヴィー・ミルク。
彼の特異な生涯を、ガス・ヴァン・サントが丁寧に追った。
監督自身、ゲイであることを公表しており、
主人公をミルクを演じたショーン・ペンがアカデミー賞最優秀男優賞を受賞したのも記憶に新しく、
ずっと気にはなっていた映画。
ショーン・ペンはこの手のキャラクターを演じさせたら本当にはまる役者だと思う。
それでなくとも巧みな役者であるとともに、実際の映像のハーヴィー・ミルク本人に、
驚くほど雰囲気と笑顔が似ている。
そして、この監督らしく、大層丁寧に事実を追っているようなのが印象に残る。
リアルさ、そして、痛みと希望について、人と人との関わりについて。
世の中にはどうしようもないこと、どうでもいいこと、そしてどうでもいいと言いきってしまってはいけないこと、がある。
私にとってこの作品は、その境界線を問うような映画だった。
フォーカスすべきはマイノリティの権利ではなく、
人と人との関わり方ではなかったろうか??
ハーヴィー・ミルク、彼の人との関わり方を、
もう少し知ってみたくなった。
ドキュメンタリーの"The times of Harvey Milk"(1984)、
そして、このガス・ヴァン・サントの"MILK"に先を越された感はあるけれど、
もし最終的に撮られることがあるのであれば、
同じく同性愛者であることを告白しているブライアン・シンガーが監督する、
『カストロ通りの市長(原題)』(The Mayor of Castro Street)も観てみたい。
最後に、彼の言葉。
"If a bullet should enter my brain,
Let that bullet destroy every closet door!"
「もし一発の銃弾が私の脳に達するようなことがあれば、その銃弾はすべてのクローゼットの扉を破壊するだろう」
(= もし私が暗殺されるようなことがあれば、
それはこれまで隠れていたすべてのゲイの者たちをカミングアウトさせることにつながるだろう)
彼が、努力したことが、今日のゲイコミュニティに残した功績は計り知れないのだと思う。
自分でできることはちっぽけだけれど、
案外ちょっとした心遣いで世界はうまく回るものなのかもしれない。
MILK
ミルク
2008/USA/128min
監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:ダスティン・ランス・ブラック
撮影:ハリス・サヴィデス
衣装デザイン:ダニー・グリッカー
編集:エリオット・グレアム
音楽:ダニー・エルフマン
出演:ショーン・ペン/ジェームズ・フランコ/ジョシュ・ブローリン/エミール・ハーシュ
ディエゴ・ルナ/アリソン・ピル/ルーカス・グラビール/ヴィクター・ガーバー
デニス・オヘア/ジョセフ・クロス/ハワード・ローゼンマン/ブランドン・ボイス
ハーヴェイ・ミルク [コレクターズ・エディション] [DVD]
- 出版社/メーカー: マクザム
- メディア: DVD
"MAMMA MIA!"-マンマ・ミーア!(2008) [movie-m]
ABBAの名曲でつづられる、有名ミュージカルの映画化版。
主役もメリル・ストリープということで露出も多く、
何度か予告編は観ていて、いつか観ようかなと思っていた作品。
元になったミュージカルの方はブロードウェイのも劇団四季のも観ていないので、
比較して判断できるわけではないのだけれど…。
まず、何故メリル・ストリープなんだろう??という疑問。
若いころ恋に翻弄され自由奔放に生き、
シングルマザーとして明るく子供を育てながらギリシャでホテルを経営するようになった、
やんちゃで元恋多き女、ギリシャの明るい光にさらされた女、ドナ、のイメージと、
メリル・ストリープがどうしても私の中でシンクロしてくれず、
最後までなんだか違和感を感じ続けたうえ、
残念ながら肝心の歌にのめりこめずに終わってしまった。
もちろん歌がよくない…というわけではなくて、歌っている人の歌唱力に問題が。
ドナ、3人の父親候補、ドナの友人たち…みんななんとなくいまいち。
ただ、ロケーション(ギリシャの島)は文句なく最高!!
その点は本当に雰囲気を満喫できた。
あと、ドナの娘役のソフィアはくるくる変わる表情がキュートで健康的なギリシャ育ちのアメリカ人の娘、
という役にはかなりはまっていた。
どっかで観た子だなーと思っていたら、米ドラマ"ヴェロニカ・マーズ"で、
主人公の親友で死んじゃった女の子の役をやっていて印象的だったアマンダ・セイフライド。
"美しい人"にも出ているらしいので機会があったら観てみようかな。
予告編で期待していただけにちょっと残念な映画。
そう言えば見かけ倒しならぬ予告編倒し、な作品って結構ある気がする。
ABBAが出てくる作品なら、下の二作品がおススメ。
"Priscilla Queen of the desert"-プリシラ(1994)
"Black cat, White cat"-黒猫・白猫(1998)
"MAMMA MIA!"-マンマ・ミーア!
2008/UK=USA/108min
監督:フィリダ・ロイド
製作:ジュディ・クレイマー/ゲイリー・ゴーツマン
製作総指揮:ベニー・アンダーソン/ビョルン・ウルヴァース
リタ・ウィルソン/トム・ハンクス/マーク・ハッファム
脚本:キャサリン・ジョンソン
撮影:ハリス・ザンバーラウコス
音楽:ベニー・アンダーソン/ビョルン・ウルヴァース
音楽監督:マーティン・ロウ
音楽監修:ベッキー・ベンサム
出演:メリル・ストリープ/ アマンダ・セイフライド
ピアース・ブロスナン/コリン・ファース/ステラン・スカルスガルド
ドミニク・クーパー
主役もメリル・ストリープということで露出も多く、
何度か予告編は観ていて、いつか観ようかなと思っていた作品。
元になったミュージカルの方はブロードウェイのも劇団四季のも観ていないので、
比較して判断できるわけではないのだけれど…。
まず、何故メリル・ストリープなんだろう??という疑問。
若いころ恋に翻弄され自由奔放に生き、
シングルマザーとして明るく子供を育てながらギリシャでホテルを経営するようになった、
やんちゃで元恋多き女、ギリシャの明るい光にさらされた女、ドナ、のイメージと、
メリル・ストリープがどうしても私の中でシンクロしてくれず、
最後までなんだか違和感を感じ続けたうえ、
残念ながら肝心の歌にのめりこめずに終わってしまった。
もちろん歌がよくない…というわけではなくて、歌っている人の歌唱力に問題が。
ドナ、3人の父親候補、ドナの友人たち…みんななんとなくいまいち。
ただ、ロケーション(ギリシャの島)は文句なく最高!!
その点は本当に雰囲気を満喫できた。
あと、ドナの娘役のソフィアはくるくる変わる表情がキュートで健康的なギリシャ育ちのアメリカ人の娘、
という役にはかなりはまっていた。
どっかで観た子だなーと思っていたら、米ドラマ"ヴェロニカ・マーズ"で、
主人公の親友で死んじゃった女の子の役をやっていて印象的だったアマンダ・セイフライド。
"美しい人"にも出ているらしいので機会があったら観てみようかな。
予告編で期待していただけにちょっと残念な映画。
そう言えば見かけ倒しならぬ予告編倒し、な作品って結構ある気がする。
ABBAが出てくる作品なら、下の二作品がおススメ。
"Priscilla Queen of the desert"-プリシラ(1994)
"Black cat, White cat"-黒猫・白猫(1998)
"MAMMA MIA!"-マンマ・ミーア!
2008/UK=USA/108min
監督:フィリダ・ロイド
製作:ジュディ・クレイマー/ゲイリー・ゴーツマン
製作総指揮:ベニー・アンダーソン/ビョルン・ウルヴァース
リタ・ウィルソン/トム・ハンクス/マーク・ハッファム
脚本:キャサリン・ジョンソン
撮影:ハリス・ザンバーラウコス
音楽:ベニー・アンダーソン/ビョルン・ウルヴァース
音楽監督:マーティン・ロウ
音楽監修:ベッキー・ベンサム
出演:メリル・ストリープ/ アマンダ・セイフライド
ピアース・ブロスナン/コリン・ファース/ステラン・スカルスガルド
ドミニク・クーパー
マンマ・ミーア! 【VALUE PRICE 1800円】 [DVD]
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- メディア: DVD
"MY OWN PRIVATE IDAHO-マイ・プライベート・アイダホ"(1991) [movie-m]
アメリカの空がこんなに美しいと知ったのは、
ガス・ヴァン・サントのおかげだった。
なにもない荒野と乾いた空気に洗われた真っ青な空。
すべてのカットが印象的だけれど、
とりわけ心に残るのはなぜか、何の変哲もない荒涼とした風景の真っ青な空と白い雲。
この作品を簡潔に表すなら、
『少年たちの葛藤と成長、救い難いほど複雑化した親子の関係性と同性愛とロードムービー』といったところ。
主役のマイク(リバー・フェニックス)とスコット(キアヌ・リーヴス)の存在感は圧倒的だ。
二人とも屈折した役どころをこれ以上はないくらい自然に演じている。
(キアヌは演技というよりはその美しさ、存在感で抜きんでているだけだけれど)
男娼として生きるマイクはナルコレプシーという睡眠障害にかかっており、
友人で同じく男娼として街角に立つスコットは市長の息子で実は恵まれた環境で育った。
スコットの助けを借り、マイクの母親を探す旅が始まるが…
当時これほど美しく、独特の感性に溢れた二人が、
ガス・ヴァン・サントという監督に出会ったことに感謝したい。
リバーはこの作品の二年後に亡くなってしまったが、
亡くなってしまったことによって、永遠に冒すことのできない場所へ行ってしまった気がする。
処女作"マラノーチェ"に通じ、マット・デイモン主演の"ジェリー"などにも継承される、
ガス・ヴァン・サントのロード・ムービーの傑作。
どこまでも続くかに思える道と空の対照的な映像は、深く深く心に刻まれる。
"MY OWN PRIVATE IDAHO"(1991)
マイ・プライベート・アイダホ
1991/USA/105min
監督: ガス・ヴァン・サント
製作: ローリー・バーカー
脚本: ガス・ヴァン・サント
撮影: エリック・アラン・エドワーズ/ジョン・キャンベル
音楽: ビル・スタッフォード
出演: リヴァー・フェニックス/キアヌ・リーヴス/ジェームズ・ルッソ
ウィリアム・リチャート/キアラ・カゼッリ/ロドニー・ハーヴェイ
ジェシー・トーマス/ウド・キア/ジェームズ・カヴィーゼル/トム・トゥループ
ガス・ヴァン・サントのおかげだった。
なにもない荒野と乾いた空気に洗われた真っ青な空。
すべてのカットが印象的だけれど、
とりわけ心に残るのはなぜか、何の変哲もない荒涼とした風景の真っ青な空と白い雲。
この作品を簡潔に表すなら、
『少年たちの葛藤と成長、救い難いほど複雑化した親子の関係性と同性愛とロードムービー』といったところ。
主役のマイク(リバー・フェニックス)とスコット(キアヌ・リーヴス)の存在感は圧倒的だ。
二人とも屈折した役どころをこれ以上はないくらい自然に演じている。
(キアヌは演技というよりはその美しさ、存在感で抜きんでているだけだけれど)
男娼として生きるマイクはナルコレプシーという睡眠障害にかかっており、
友人で同じく男娼として街角に立つスコットは市長の息子で実は恵まれた環境で育った。
スコットの助けを借り、マイクの母親を探す旅が始まるが…
当時これほど美しく、独特の感性に溢れた二人が、
ガス・ヴァン・サントという監督に出会ったことに感謝したい。
リバーはこの作品の二年後に亡くなってしまったが、
亡くなってしまったことによって、永遠に冒すことのできない場所へ行ってしまった気がする。
処女作"マラノーチェ"に通じ、マット・デイモン主演の"ジェリー"などにも継承される、
ガス・ヴァン・サントのロード・ムービーの傑作。
どこまでも続くかに思える道と空の対照的な映像は、深く深く心に刻まれる。
"MY OWN PRIVATE IDAHO"(1991)
マイ・プライベート・アイダホ
1991/USA/105min
監督: ガス・ヴァン・サント
製作: ローリー・バーカー
脚本: ガス・ヴァン・サント
撮影: エリック・アラン・エドワーズ/ジョン・キャンベル
音楽: ビル・スタッフォード
出演: リヴァー・フェニックス/キアヌ・リーヴス/ジェームズ・ルッソ
ウィリアム・リチャート/キアラ・カゼッリ/ロドニー・ハーヴェイ
ジェシー・トーマス/ウド・キア/ジェームズ・カヴィーゼル/トム・トゥループ
マイ・プライベート・アイダホ デジタルリマスター版2枚組【初回限定生産 メモリアル・フォト集付】 [DVD]
- 出版社/メーカー: 角川ヘラルド映画
- メディア: DVD
マイ・プライベート・アイダホ デジタルリマスター版2枚組 [DVD]
- 出版社/メーカー: 角川ヘラルド映画
- メディア: DVD
"The Man from London-倫敦から来た男"(2007) [movie-m]
本当に寒くなってきた休日の午後、渋谷で夜から予定があったので、
ふと思いついて行ってきました、久しぶりのシアターイメージフォーラム。
ノーマークだったけれど、なんと"ヴェルクマイスター・ハーモニー"の監督の最新作。
"ヴェルクマイスター~"が、映画というメディアでなければなしえない、夢のような映像体験だっただけに、
否が応でも期待感は高まる。
原作はメグレ警部のジョルジュ・シムノン、ストーリーはサスペンス…
1シーンごと超長回しで撮られている映像は前作をほうふつとさせられるけれど、
ストーリーがノワール・サスペンスということもあってか、
ちょっと違う緊張感、ちょっと違うリアリシズムに彩られ…
終始美しくもリアリスティックな景色の連なりから展開してゆく。
各シーンの出来事が終わった後で、しつこいくらいに延々と撮られるその後の情景、余韻、
この地球上のどこかの世界での出来事なのに、まるで夢を見ているかのようなモノクロームの光と影、
登場人物の後頭部に張り付くような視点で撮られる映像。
すべてが一本きりりと張られた糸の上を伝うような緊張感を伴い、
独特の審美眼で完璧なまでに計算しつくされ、撮られている気がする。
特に主人公の港湾労働者、マロワンが働いている港の制御室の情景や、
彼が娘に会いに来るシーンで使われる、
彼女が働いている店の裏側、建物が迫ってくるような裏路地の風景など、
すべての情景が一見に値する。
登場人物もみな雰囲気に余白のある、味のある人ばかり。
アカデミー女優のティルダ・スウィントンも出演していて、
主人公のヒステリックな奥さん役を演じていてびっくり。
彼女は最近ではジャームッシュの"The Limits of Control"なんかでも、
すごく印象的なキャラクターを演じていて、存在感抜群の女優。
個人的には"ヴェルクマイスター~"の世界観のほうが好きだけれど、
これはこれでもう一度噛みしめたい気のする世界観を持っている映画だと思います。
そういえば、"The Limey-イギリスから来た男"というソダーバーグ監督の映画もあったなぁ。
こちらはテレンス・スタンプの存在感が忘れられない一本でした。
原題はだいぶ違うけれどね。
"The Man from London-倫敦から来た男"(2007)
2007年/ハンガリー=ドイツ=フランス/138min
監督:タル・ベーラ
原作:ジョルジュ・シムノン「倫敦(ロンドン)から来た男」(河出書房新社)
共同監督・編集:フラニツキー・アーグネシュ
出演ミロスラヴ・クロボット、ティルダ・スウィントン
映画の後、なんと初のまつげエクステにチャレンジ!!して(素顔がばっちり変わります)、
夜は青学側、青山通りから一本入ったところにあるCIVETTA(チベッタ)というイタリアンでディナー。
ナチュラルな素材を生かしたメニューがかなり美味しい。
みんなチャレンジしなかったけれど、生カキもいただきました♪
ワインも1本2900円からと、とってもリーズナブル。
〆のカニと青海苔のパスタもさっぱり、でも味わい深いひと皿でした。
CIVETTA(チベッタ)
http://r.gnavi.co.jp/g860104/
ふと思いついて行ってきました、久しぶりのシアターイメージフォーラム。
ノーマークだったけれど、なんと"ヴェルクマイスター・ハーモニー"の監督の最新作。
"ヴェルクマイスター~"が、映画というメディアでなければなしえない、夢のような映像体験だっただけに、
否が応でも期待感は高まる。
原作はメグレ警部のジョルジュ・シムノン、ストーリーはサスペンス…
1シーンごと超長回しで撮られている映像は前作をほうふつとさせられるけれど、
ストーリーがノワール・サスペンスということもあってか、
ちょっと違う緊張感、ちょっと違うリアリシズムに彩られ…
終始美しくもリアリスティックな景色の連なりから展開してゆく。
各シーンの出来事が終わった後で、しつこいくらいに延々と撮られるその後の情景、余韻、
この地球上のどこかの世界での出来事なのに、まるで夢を見ているかのようなモノクロームの光と影、
登場人物の後頭部に張り付くような視点で撮られる映像。
すべてが一本きりりと張られた糸の上を伝うような緊張感を伴い、
独特の審美眼で完璧なまでに計算しつくされ、撮られている気がする。
特に主人公の港湾労働者、マロワンが働いている港の制御室の情景や、
彼が娘に会いに来るシーンで使われる、
彼女が働いている店の裏側、建物が迫ってくるような裏路地の風景など、
すべての情景が一見に値する。
登場人物もみな雰囲気に余白のある、味のある人ばかり。
アカデミー女優のティルダ・スウィントンも出演していて、
主人公のヒステリックな奥さん役を演じていてびっくり。
彼女は最近ではジャームッシュの"The Limits of Control"なんかでも、
すごく印象的なキャラクターを演じていて、存在感抜群の女優。
個人的には"ヴェルクマイスター~"の世界観のほうが好きだけれど、
これはこれでもう一度噛みしめたい気のする世界観を持っている映画だと思います。
そういえば、"The Limey-イギリスから来た男"というソダーバーグ監督の映画もあったなぁ。
こちらはテレンス・スタンプの存在感が忘れられない一本でした。
原題はだいぶ違うけれどね。
"The Man from London-倫敦から来た男"(2007)
2007年/ハンガリー=ドイツ=フランス/138min
監督:タル・ベーラ
原作:ジョルジュ・シムノン「倫敦(ロンドン)から来た男」(河出書房新社)
共同監督・編集:フラニツキー・アーグネシュ
出演ミロスラヴ・クロボット、ティルダ・スウィントン
映画の後、なんと初のまつげエクステにチャレンジ!!して(素顔がばっちり変わります)、
夜は青学側、青山通りから一本入ったところにあるCIVETTA(チベッタ)というイタリアンでディナー。
ナチュラルな素材を生かしたメニューがかなり美味しい。
みんなチャレンジしなかったけれど、生カキもいただきました♪
ワインも1本2900円からと、とってもリーズナブル。
〆のカニと青海苔のパスタもさっぱり、でも味わい深いひと皿でした。
CIVETTA(チベッタ)
http://r.gnavi.co.jp/g860104/