"COCO CHANEL & IGOR STRAVINSKY"(2009)-シャネル&ストラヴィンスキー [movie-c]
「事実は小説より奇なり」
その人生が40冊以上もの伝記で語られる特別な女性、ココ・シャネルことガブリエル・ボヌール・シャネル。
彼女と作曲家のイゴール・ストラヴィンスキーの関係にスポットをあてて描かれた映画。
全編を通して静かな、そして映像からも、音楽からも、強さを感じる映画だった。
台詞は必要最小限。それよりも目線、ちょっとしたしぐさ、佇まいから、
それぞれの登場人物の心の揺れ動き、弱さも垣間見える。
根底にあるのは自らが生み出すものへの探究心と生み出された作品に対する矜持なのだけれど、
その隙間に人間としてのココとイゴール自身、
男と女の、一言では言い表しがたい、抜けられない迷宮のような愛情のようなものが見て取れる。
先に抜け出るのはココ。その強さは美しいが痛々しくもある。
男の弱さと対照的な女の強さは、私が女であるがゆえにその心情をを想像してしまうからか、痛みを伴っている気がする。
ココが愛したアーサー“ボーイ”カペルの死とイゴールと妻との関係、"春の祭典"のパリ公演の顛末、
それらを背景に描かれる物語は美しくも物悲しい。
全てが史実と合致するわけではないけれど、
それこそ生身のシャネルとストラヴィンスキー、真実の二人の関係を想像させるようなリアルな手触りが感じられた。
作家と、監督の想像力、そして役者の力だと思う。
何よりもアナ・ムグラリスの佇まいが素晴らしい。
シャネルのメゾンとカール・ラガーフェルドが全面的に協力した衣装やアーカイブ、
ルネ・ラリックに彩られたインテリア、これらを見られるだけでも素敵な映像体験だと思う。
音と、ファッションと、インテリアと、あらゆる美のミクスチュア。
劇中、ココがシャネルのNo.5の香りを決めるシーンがあり、
ここでその香りまで実際に感じられたとしたら…もちろんそこは想像するしかなかったけれど。
音楽もガブリエル・ヤレドなんて本当に隙がない。
ココがイゴールにピアノを教わるシーンは、雰囲気は違えど"ベティ・ブルー"の名シーンを思い出したりした。
ただひとつ、晩年のふたりを映し出すシーンは必要だったのかなぁ…とちょっと疑問だったけれど。
美しいものを愛することにためらわずにいられる人と、
愛の儚さを見ることを厭わない人に観てほしい作品。
ココ・シャネル本人 by アンリ・カルティエ・ブレッソン
"COCO CHANEL & IGOR STRAVINSKY"
シャネル&ストラヴィンスキー
2009/FRA/119min
監督:ヤン・クーネン
製作:クローディー・オサール/クリス・ボルズリ
原作:クリス・グリーンハルジュ 『シャネル&ストラヴィンスキー』(竹書房刊)
脚本:クリス・グリーンハルジュ/ヤン・クーネン
撮影:ダヴィド・アンガロ
美術:マリー=エレーヌ・スルモニ
衣装:シャトゥーヌ ファブ
音楽:ガブリエル・ヤレド
出演: アナ・ムグラリス/マッツ・ミケルセン イゴール・ストラヴィンスキー/アナトール・トーブマン
エレーナ・モロゾーワ/ナターシャ・リンディンガー/グリゴリ・モヌコフ
映画の原作。
その人生が40冊以上もの伝記で語られる特別な女性、ココ・シャネルことガブリエル・ボヌール・シャネル。
彼女と作曲家のイゴール・ストラヴィンスキーの関係にスポットをあてて描かれた映画。
全編を通して静かな、そして映像からも、音楽からも、強さを感じる映画だった。
台詞は必要最小限。それよりも目線、ちょっとしたしぐさ、佇まいから、
それぞれの登場人物の心の揺れ動き、弱さも垣間見える。
根底にあるのは自らが生み出すものへの探究心と生み出された作品に対する矜持なのだけれど、
その隙間に人間としてのココとイゴール自身、
男と女の、一言では言い表しがたい、抜けられない迷宮のような愛情のようなものが見て取れる。
先に抜け出るのはココ。その強さは美しいが痛々しくもある。
男の弱さと対照的な女の強さは、私が女であるがゆえにその心情をを想像してしまうからか、痛みを伴っている気がする。
ココが愛したアーサー“ボーイ”カペルの死とイゴールと妻との関係、"春の祭典"のパリ公演の顛末、
それらを背景に描かれる物語は美しくも物悲しい。
全てが史実と合致するわけではないけれど、
それこそ生身のシャネルとストラヴィンスキー、真実の二人の関係を想像させるようなリアルな手触りが感じられた。
作家と、監督の想像力、そして役者の力だと思う。
何よりもアナ・ムグラリスの佇まいが素晴らしい。
シャネルのメゾンとカール・ラガーフェルドが全面的に協力した衣装やアーカイブ、
ルネ・ラリックに彩られたインテリア、これらを見られるだけでも素敵な映像体験だと思う。
音と、ファッションと、インテリアと、あらゆる美のミクスチュア。
劇中、ココがシャネルのNo.5の香りを決めるシーンがあり、
ここでその香りまで実際に感じられたとしたら…もちろんそこは想像するしかなかったけれど。
音楽もガブリエル・ヤレドなんて本当に隙がない。
ココがイゴールにピアノを教わるシーンは、雰囲気は違えど"ベティ・ブルー"の名シーンを思い出したりした。
ただひとつ、晩年のふたりを映し出すシーンは必要だったのかなぁ…とちょっと疑問だったけれど。
美しいものを愛することにためらわずにいられる人と、
愛の儚さを見ることを厭わない人に観てほしい作品。
ココ・シャネル本人 by アンリ・カルティエ・ブレッソン
"COCO CHANEL & IGOR STRAVINSKY"
シャネル&ストラヴィンスキー
2009/FRA/119min
監督:ヤン・クーネン
製作:クローディー・オサール/クリス・ボルズリ
原作:クリス・グリーンハルジュ 『シャネル&ストラヴィンスキー』(竹書房刊)
脚本:クリス・グリーンハルジュ/ヤン・クーネン
撮影:ダヴィド・アンガロ
美術:マリー=エレーヌ・スルモニ
衣装:シャトゥーヌ ファブ
音楽:ガブリエル・ヤレド
出演: アナ・ムグラリス/マッツ・ミケルセン イゴール・ストラヴィンスキー/アナトール・トーブマン
エレーナ・モロゾーワ/ナターシャ・リンディンガー/グリゴリ・モヌコフ
映画の原作。
ココ・アヴァン・シャネル 上―愛とファッションの革命児 (ハヤカワ文庫 NF 350) (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: エドモンド・シャルル・ルー
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/08/20
- メディア: 文庫
ココ・アヴァン・シャネル 下―愛とファッションの革命児 (ハヤカワ文庫 NF 351) (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: エドモンド・シャルル・ルー
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/08/20
- メディア: 文庫
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