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”ブリューゲル版画の世界~魔術的芸術" [ART]

ネーデルラントの巨匠ピーテル・ブリューゲル。
彼の作品を中心に、同時代の版画家たちの作品の展示を見てきました。
↓ブリューゲル氏の自画像。
brueghel.jpg
『ブリューゲル 版画の世界』
土曜日ということもあって、とにかく混んでました!
しかも展示物が緻密な版画ということもあって、
皆が皆、じっくり細部まで見る姿勢なので、なかなか列が前に進まない…。

ブリューゲルは農民画家と呼ばれ、生き生きとした庶民たちの姿を描くことで有名だったけれど、
こういう版画の作品を残しているとは知りませんでした。
版画と絵画の手法的な違いは、正直素人なので、どれほどのものかよくわからないけれど、
私が感じたのは、ブリューゲルは対象には常にリアリスティックでシニカル、けれど愛情深いタイプで、
非常に多作でストイックな人だったのではないだろうかということ。
版画制作の手法の緻密さと相反するようなモチーフ、
特にアルプスの山々、風景画の雄大な雲のうねりや、山々のダイナミズム、には目を奪われる。
一方で、庶民の祀りや宗教的寓意画での群像は微細で興味深い。
かつて、とんでもない衝撃を私に与えてくれた異端の画家ヒエロニムス・ボッスを思わせる、
不可思議な生き物もモチーフに描かれた"七つの罪源"シリーズは圧巻。
そして、どこかで見た気がして心に引っかかっていた『バベルの塔』は、
家に帰って調べてみたら、大学4年のゼミのテキスト、アンドレ・ブルトンの『魔術的芸術』に掲載されていた、
油絵の版画版でした。
brueghel_babel00.jpg
ボッスもブリューゲルも大学のゼミで知りました。
こんな世界(キリスト教の深い宗教観や土着の文化)は、
日本人には理解し難しいところもあるかもしれないけれど、
中世ヨーロッパの世界観・倫理観を体現していて、純粋に見てみたいと思わせるパワーを持っています。
ボッスに至っては本物の"快楽の園"を見てみたくて、マドリードのプラド美術館にも行ったし…。
ちなみにゼミのタイトルはそのまま「魔術的芸術」だったけれど、
映画の授業しか出ず、講義はほぼサボり…今思えば良く卒業できたと思います…(笑)。
当時山本直樹の漫画をテキストにしたり、映画を観たり、
教授の趣味がばっちり出た面白いゼミだったけれど…。
卒論だけはなぜだかわからないけれど、結構ほめられました。

ともあれ、ブルトンの『魔術的芸術』は少し特異な本ですが、体系的で興味深いと思います。
魔術的芸術

魔術的芸術

  • 作者: アンドレ ブルトン
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2002/06
  • メディア: 単行本


ブリューゲル (ニューベーシック) (ニューベーシック・アート・シリーズ)

ブリューゲル (ニューベーシック) (ニューベーシック・アート・シリーズ)

  • 作者: ローズ=マリー・ハーゲン/ライナー・ハーゲン
  • 出版社/メーカー: タッシェン
  • 発売日: 2002/12/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ブリューゲル (アート・ライブラリー)

ブリューゲル (アート・ライブラリー)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 西村書店
  • 発売日: 1999/01
  • メディア: 大型本



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コメント 2

moz

ブリューゲル、じぶんにとって、謎が多い画家です。
版画展やっているんですよね。いってみたいです。本当は、バベルの塔とか実際のものを見てみたい。
普通の人には見えないものが見えていたんではないかな、ブリューゲル。
by moz (2010-08-28 19:27) 

movielover

>>mozさん

たしかにブリューゲルは人には見えないものが見えていたような感じがしますね。
想像力がすごい!
是非観てみてください♪
by movielover (2010-08-31 21:16) 

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