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"Christo and Jeanne-Claude LIFE=WORKS=PROJECTS" [ART]

先日教えてもらった「クリストとジャンヌ=クロード展」@21_21 DESIGN SIGHTを観に行った。
天気も良く、芝生に囲まれた空間は開放的。安藤忠雄設計のモダンな建物。
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基本的には展示は初期の作品(比較的小さいものを「梱包」した作品)から、
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その後の巨大プロジェクトのアイデアのスケッチ&コラージュ、実際の写真などが中心。
彼らの作品は自然や、巨大な建物の梱包へと変化し、
そのため、これらの「作品」はその性格上(布の性質、天候による破損のおそれ、自然に対する影響、担当役所による設置許可期間など)
基本的に永続することは不可能なため、今は記録写真によってしか見ることはできない。

「作品は夢のように現れ、夢のように消えて観客の中にしか残らない」

そのため、メイゼルス兄弟による彼らの記録映画が日替わりで上映されており、
今日の上映は、マイアミの島の海岸線をピンクの布で覆った『アイランド』(1986)と
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パリ最古の橋ポン=ヌフを包むプロジェクト『パリのクリスト』(1990)の二本立て。
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どちらもプロジェクトの実施に対する関係各所への交渉から実際の許可が下りてからの作品作りを追ったものだけれど、
特に『パリのクリスト』は、ふたりが出会ったパリを舞台にしていることもあってか、
ふたりの関係性や出会い、ジャンヌ=クロードの両親たちも出てきたり、かなり興味深い仕上がり。

ふたりはともに1935年6月13日生まれだけれど、その生い立ちにはかなり開きがある。
クリストはブルガリアに生まれ、首都ソフィアの美術アカデミーで学んだものの、
ソ連の衛星国家となったブルガリアでの活動に限界を感じ、裸一貫でパリへ亡命、
一方のジャンヌ=クロードはモロッコで生まれ、有力者を父に持ち、何不自由ないハイソな暮らしを満喫していた。
ジャンヌ=クロードの母がクリストに肖像画を頼んだことから二人は出会う。
方や文無しの肖像画家、方や生粋のお嬢様。
とてもじゃないけれど普通には結ばれることないふたりに見えるが、
(実際ジャンヌ=クロードはクリストとの結婚をあきらめて11歳年上の男性と結婚し子供も儲けている)
運命はふたりを引き離すことはなかった。
映像でのふたりを観ていると、すべての困難も、すべての喜びも、自然と受け止めているようだ。
実際の作品のアイデアやスケッチはすべてクリストが行っているが、
ジャンヌ=クロードが彼に与えている影響は計り知れない。
彼らの作品はその存在が大きいがゆえに批判されもし(実際ポン=ヌフの上でパリ市民たちが議論する場面も)、
実際の制作にかかるための許可を得たり、莫大な資金を調達するために途方もない困難を伴うものでありながら、
彼らがその制作に迷いがないのは、きっと二人が二人だから、だったのだと思う。
彼らの出会いは運命だったんだと、素直に信じられる。
なんて、羨ましい関係性。
岡本太郎と敏子の関係を思い出した。

ジャンヌ=クロードの急逝が悼まれる。


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コメント 2

かものはし

いつぞやだったか、NYCのセントラルパークで、
ゲート・プロジェクトってのをやっているのをテレビで観ました。
> 岡本太郎と敏子の関係を思い出した。
・・・ってところに共感を覚えました。
人は皆、その人たちの間にある関係性に名前をつけようとするけれど
(親子、夫婦、友人etc)本来はそんなん必要ないんですよね。
by かものはし (2010-03-04 12:29) 

movielover

>>かものはしさん

nice!ありがとうございます。
ゲート・プロジェクトはオレンジの布のカラーがすごく印象的でしたね。
本当に、その関係性に名前があろうが無かろうが、
二人の間の絆のようなものには何の支障もないはずなんですよね。
すごく羨ましく思える関係性でした。
by movielover (2010-03-04 14:46) 

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