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"第三の男-The Third Man"(1949) [movie-t]

何となく、昔の映画が観たくなってAmazonで衝動買いしてしまったのがこちら。



『第三の男』『市民ケーン』『ジェーン・エア』三作でなんと999円の大特価。
『市民ケーン』は学生のときに観ていたものの、他の二作は未見だったので、
せっかくなので購入してみることにする。


日本では某メーカーのビールのCMで有名なアントン・カラスのツィターの音色で幕を開けるこの作品。
作中もこの『ハリー・ライムのテーマ』はしつこいくらいに様々な使われ方をしている。
原作はグレアム・グリーンが脚本を書き下ろしたフィルム・ノワール。
第二次大戦直後のウィーン。米・ソ・英・仏の四カ国により、
四分割統治されるこの街に、アメリカからホリー・マーチンス(ジョセフ・コットン)という一人の小説家がやってくる。
彼はハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)という友人に呼ばれこの街に来たのだけれど、
その当の友人が、彼が来る直前に交通事故で亡くなったと知らされる。
ライムの葬儀に立ち会ったホリーは、イギリス軍のキャロウェイ少佐から、
彼が闇取引をしていた悪人だと知らされるが、信じることができない。
彼の死の状況に疑問を持ち、独自に事件の調査をはじめたホリーは、
ライムの恋人アンナに出会い、二人で事件の目撃者である宿の門衛に話を聞き、
現場に未知の<第三の男>がいたことを突き止めるが、門衛は何者かに殺害され、
ホリーがその犯人と疑われて警察に追われる羽目になってしまう…

展開はスピード感があり、せりふ回しもいちいちしゃれているのが憎い。
光と影の使い方にも圧倒させられる。
1カット1カットが計算しつくされ、無駄な贅肉のようなものが一切ない。
驚嘆すべきセンスだと思う。
特にホリーがハリーを見かけるも見失ってしまうシーンの猫の使い方、光の使い方。
影の中に浮かび上がるハリー=オーソン・ウェルズの微妙な表情の作り方の巧さ。
観覧車のシーンでの計算しつくされた絶妙なアングル。緊張感を誘うやり取り。
クライマックスの下水道での追跡劇の計算しつくされた影の動き。
ラスト、一発の銃声の行方を観客に想像させる余裕の演出。
伏線を幾重にも張ったプロットの絶妙さも素晴らしい。
そしてエンディングまで余韻を残す一人の女と二人の男の関係性。
私が『好きになる』映画とは何とはなしに肌合いが違うのだけれど、
どこを切り取っても、名作、の名に恥じない映画だと思った。
the third man.jpg

THE THIRD MAN
第三の男
1949/UK/105min

監督:キャロル・リード
製作:キャロル・リード
デヴィッド・O・セルズニック
アレクサンダー・コルダ
原作:グレアム・グリーン
脚本:グレアム・グリーン
撮影:ロバート・クラスカー
音楽:アントン・カラス
出演:ジョセフ・コットン/オーソン・ウェルズ/アリダ・ヴァリ
トレヴァー・ハワード/バーナード・リー/ジェフリー・キーン/エルンスト・ドイッチュ

こちらも捨てがたい、淀川さん解説付き^^

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