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"BROKEBACK MOUNTAIN"-ブロークバックマウンテン(2005) [movie-b]

昔、カナダに遊びに行った友人からもらった絵葉書がある。
真っ青な空を背にそそり立つ白い山脈、手前には整然と美しい森と湖。
その絵葉書を思い起こさせる光景がスクリーン一杯に広がる。
アメリカ・ワイオミング州・ブロークバックマウンテン。
そんな自然の只中で出会ったふたりの物語。

オープニングは風が強く、タンブルウィードの転がる閑散とした場所、
夏の仕事を得るために訪れたトレーラーの前でふたりは出会う。
無口なイニスと天真爛漫なジャック。
車のサイドミラー越しにイニスを意識するジャックに、その後の展開の欠片が見える。
無事に仕事を得てふたりは羊の放牧のため山に入る。
厳しいキャンプ生活を通して少しずつ打ち解けてゆくうち、二人の好意は次第に深まり、
本当にお互いを必要としあうのに、さほど時間はかからなかった。
けれどそのあとは想像に難くない葛藤、
そして周囲の目、互いの心を計りかねてのすれ違い。
純粋な愛情の迸りが濃やかに描かれる。
ワイオミングは別名"COWBOY STATE"と言われるほどの州で、
牧場が多く、人種構成はそのほとんどが白人。
『保守的』で、異質なものへの拒否反応は激しく、
よく言えば古き良きアメリカ、悪く言えば差別的アメリカなのだ。
そんな場所は、男ふたりが真の愛を全うするには、あまりに厳しすぎた。

彼らがワイオミングなどで出会わず、
彼らがニューヨーカーで、
彼らがカウボーイでなく、
彼らが例えばアーティストだったりしたとしたら。

…そうしたらこんな映画は生まれなかっただけの話だけれど。

主演のふたりが本当にいい。
オーストラリア人のヒース・レジャーは無骨なカウボーイというキャラクターにぴったり。
ジャックの両親やふたりをとりまく人々もうまい。
アカデミー賞を獲った獲らないなど別にどうでもいいのだけれど、
作品賞以外を総なめしたのも理解できる。
そして様々な媒体で憶測されていたけれど、作品賞だけ受賞できなかった理由も。

世の中には様々な恋愛映画があるけれど、
久しぶりに、愛情という無形の、でもかけがえのないものを深く感じられる映画だった。
けれど、女の私には、この映画の中のふたりの心の機微を、
100%理解することはできないだろう。
観たあとしばらく複雑な気持ちと、温かい気持ちで満たされた。


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"BROKEBACK MOUNTAIN"
ブロークバック・マウンテン
2005/アメリカ/2h14min

監督:アン・リー
原作:アニー・プルー
脚本:ラリー・マクマートリー
撮影:ロドリゴ・プリエト
音楽:グスターボ・サンタオラヤ 
出演:ヒース・レジャー/ジェイク・ギレンホール/ミシェル・ウィリアムズ/アン・ハサウェイ
ランディ・クエイド/リンダ・カーデリーニ/アンナ・ファリス


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コメント 2

ken

男の友情の終着点だと思います。
個人的には、アン・ハサウェイに馬乗りになってもらう方がいいけれど、
女を面倒くさいと思うときがある男の、究極の感情ですね。
美しい映画でした。
by ken (2010-01-08 02:23) 

movielover

>>kenさん

この映画にはやっぱり男の人にしか分からない部分もありますよね。
本当に美しい映画でした。


by movielover (2010-01-10 22:45) 

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