SSブログ

"GOOD BYE 2010, HELLO 2011" with Francois Truffaut [movie]

あけましておめでとうございます。
昨年は12月にこれでもか、と言うほどしつこく身体を壊したので、
今年は大人しく実家~自宅でのんびり年末年始を過ごしました。

さて、本年初映画館観賞作品はというと、懐かしのトリュフォーです。
偶然会社近くのカフェに置いてあるのを見つけたトリュフォーの本が面白くて、
たまにランチ食べつつ読み進めているのですが、
意外と観ていない作品、観返したい作品が多いことに気づき、
年末年始、早稲田松竹で特集されているのを2作品観賞。

件の本は多分廃刊になっていると思われる、
トリュフォーの語録で編集された『トリュフォーによるトリュフォー』と言う本。
彼の孤独な生い立ちや、『大人は判ってくれない』さながらの青春から、
批評家として、映画監督としてのキャリア、
各作品についてトリュフォー自身の言葉で語られている。
ヌーヴェルバーグと言うとゴダールとともに名前の挙がるトリュフォーだけれど、
その作品は難解と言うことはなく、実にシンプルでスピード感に溢れる作品が多い。
そして彼がどれほど映画というものを愛しているか、その事実だけでも、
トリュフォーの作品とその名前が後世に残ることを確固たるものにしていると思う。
この年末年始に観たのは『突然炎のごとく』と『ピアニストを撃て』。
どちらも娯楽色の強い、前者はラブストーリー、後者はフィルムノワールを下敷きにした作品だ。
『突然炎のごとく』はジャンヌ・モロー演じる自由奔放な女性カトリーヌと、
彼女に振り回されるふたりの男、ジュールとジムを描いた恋愛物。
活劇のようなナレーションと場面転換のテンポの良さで、観る人を飽きさせない作品になっている。
恋愛感情的なものが介在すると、男二人に女一人という図式は、
女性の側からすると案外居心地良いものだと思う。
片方のジェラシーをかきたてつつ、一方を相手と選び、しかしもう片方とも恋愛的なものを楽しむ、
外見もタイプも全く違う男二人に愛される、女冥利に尽きるシチュエーションだけれど、
それもカトリーヌ役のジャンヌ・モローの、いわく言い難い魅力があって成立するものだと言えるだろう。
不条理な展開や、カトリーヌの奔放さに倫理的かつ生理的嫌悪を抱く人も少なくないかもしれない。
けれど、私は女のどうしようもなさ、男の情けなさ、
舞台となる1900年代初頭のパリの雰囲気を感じるだけで、この作品の面白さは成立していると思う。
ゴダールはこの作品に触発され『気狂いピエロ』を撮ったとも言われる。
ちなみに私の敬愛する女優はアンナ・カリーナ&ジャンヌ・モロー。
どちらもファム・ファタールだと思いますが、
なかなか現実的には(しかも日本では)そうもいかないようです。
劇中ジャンヌ・モローが口ずさむ"つむじ風"のような、粋で刹那的でちょっとした淋しさの残る、そんな作品。

jule et jim.jpg

"JULES ET JIM"
突然炎のごとく
1961/FRA/107min

監督:フランソワ・トリュフォー
原作:アンリ=ピエール・ロシェ
脚本:フランソワ・トリュフォー/ジャン・グリュオー
撮影:ラウール・クタール
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:ジャンヌ・モロー/オスカー・ウェルナー/アンリ・セール/マリー・デュボワ
サビーヌ・オードパン/ミシェル・シュボール

さて、もう一本の『ピアニストを撃て』はそのスピード感とパリのカフェの雰囲気と、ラストシーンが大好きな作品。
原作は未読ですがアメリカのデイビッド・グーディスの小説『ピアニストを撃て』で、
そのタイトルは、かつてアメリカの西部の酒場では、
貴重なピアニストを保護するために「ピアニストを撃たないでください」と貼り紙がしてあったという逸話からきているという。
とてもクールなタイトルで、トリュフォーたっての希望で主演をはった、
シャンソン歌手シャルル・アズナブールの雰囲気に、とてもよく合う映画に仕上がっていると思う。
そのシャルル・アズナブール演じる、
かつて世間をにぎわせた天才ピアニスト、エドゥアール・サローヤンは、妻との間のある事件をきっかけに、
世間から身を隠し、シャルリ・コレールという名でカフェで雇われピアニストとして生きていた。
そんな彼が兄弟の起こした事件に巻き込まれると同時に、彼に興味を持ったカフェのウェイトレス、
レナとの関係を巻き込んでストーリーが展開していく。
こちらも『突然炎のごとく』のように、テンポよくスピーディにストーリーが展開してゆく。
カメラの揺れ、構図の甘さもライブ感を増幅させ、
いかにも、なパリの雰囲気、少々強引なストーリー展開を生き生きと見せる。
トリュフォーの作品は自身を投影してか主人公が男性の作品が多いけれど、
そんな主人公以上に女優陣が魅力的な作品が多い。
この作品も、ヒロイン、レナを演じるマリー・デュボワのひたむきなキャラクターと明るい笑顔も魅力的だけれど、
pianist 003.jpg
シャルリの元妻を演じる夭逝した女優ニコル・ベルジェや、
シャルリに好意的な娼婦クラリスを演じるミシェール・メルシエなど、
pianist.jpg
コケットリィをふんだんに併せ持つ女性の出演者に事欠かない。
また、数々の欠点をおいても、ラストの雪のシーンが美しい。
このシーンに触発されて雪のシーンを撮った監督はきっと存在するはずだと思う。
『大人は判ってくれない』の次に好きな作品。
pianist 002.jpg

"TIREZ SUR LE PIANISTE"
ピアニストを撃て
1960/FRA/88min

監督:フランソワ・トリュフォー
製作:ピエール・ブラウンベルジェ
原作:デヴィッド・グーディス
脚本:フランソワ・トリュフォー/マルセル・ムーシー
撮影:ラウール・クタール
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:シャルル・アズナヴール/マリー・デュボワ/ニコール・ベルジェ
ミシェール・メルシェ/アルベール・レミー



突然炎のごとく〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選9〕 [DVD]

突然炎のごとく〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選9〕 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 日本ヘラルド映画(PCH)
  • メディア: DVD



ピアニストを撃て〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選5〕 [DVD]

ピアニストを撃て〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選5〕 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 日本ヘラルド映画(PCH)
  • メディア: DVD



私が気にいった『トリュフォーによるトリュフォー』は、
カフェの店員さんが古本屋で見つけた掘り出し物だそうです。
とても面白いのですが、多分廃刊。

トリュフォーによるトリュフォー

トリュフォーによるトリュフォー

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: リブロポート
  • 発売日: 1994/09
  • メディア: 大型本


トリュフォー、ある映画的人生 (平凡社ライブラリー (422))

トリュフォー、ある映画的人生 (平凡社ライブラリー (422))

  • 作者: 山田 宏一
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2002/01
  • メディア: 単行本



nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 2

コメント 2

お茶屋

おそばせながら・・・
本年もよろしくお願い致します!
素敵な一年になりますようにと♪
by お茶屋 (2011-01-05 12:47) 

movielover

>>お茶屋さん

いつもコメントありがとうございます。
本年もよろしくお願いします!!
お茶屋さんも素敵な一年をお過ごしください♪
by movielover (2011-01-06 02:09) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。