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"HAIRSPRAY-ヘアスプレー(2007)" [movie-h]

ミュージカル映画は、ハッピーな気分やエンタテイメントとしての面白みを感じさせてくれる。
けれどやはり映画としてみると、どうしても物足りなさを感じる。
そんな私個人が勝手に作り上げた枠組みから抜け出せない作品だったけれど、
それなりに楽しんで、それこそハッピーな気分を感じられる作品だった。

何かと話題になったブロードウェイミュージカルの映画版。
歌って踊れるぽっちゃりさんとしてオーディションで抜擢されたニッキー・ブロンスキーはもとより、
特殊メイクでヒロインの母役に挑んだジョン・トラボルタや、
今作で久々に映画復帰したライバルの母親役のミシェル・ファイファーなど、
存在感たっぷりのキャスティングは思う存分楽しめる。
ストーリーは至極シンプル、ティーンに人気のTV showのオーディションで落とされた、
BIGサイズの主人公トレイシーが、ちょっとしたきっかけで番組への出演のきっかけをつかみ、
瞬く間にお茶の間の人気者になり、試練を乗り越え愛をつかみ、自分を見出す…というもの。

想像以上にジョン・トラボルタ演じる母のキャラクターと、
ライバルであるミシェル・ファイファーの存在感が強い。
その関係性や人種問題が伏線となり、平板なストーリーを盛り上げている。
私個人は伏線の方がメインストーリーより楽しめたけれど。
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ヘアスプレー
HAIRSPRAY
2007/USA/116min

監督:アダム・シャンクマン
脚本:レスリー・ディクソン
オリジナル脚本:ジョン・ウォーターズ(1988年映画版)/ マーク・オドネル(ミュージカル版)
振付:アダム・シャンクマン
作詞:マーク・シェイマン
作曲:マーク・シェイマン
出演:ジョン・トラヴォルタ/ニッキー・ブロンスキー/ミシェル・ファイファー/クリストファー・ウォーケン/クイーン・ラティファ/ザック・エフロン/ブリタニー・スノウ/アマンダ・バインズ/ジェームズ・マースデン/イライジャ・ケリー/アリソン・ジャネイ
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"Honokaa Boy-ホノカアボーイ(2008)" [movie-h]

ハワイイ島の北、かつてはマカダミアナッツ農場やサトウキビ農場で賑わった村ホノカア。
時は下って、いまや映画館と、ちょっとした商店があるだけの小さな小さな忘れられた場所。
そんな町に暮らし始めた日本人青年と村の住人達の交流が綴られた映画。
映像からもゆるやかに流れる時間と、
ホノカアののんびりした風景が伝わってくる。
映像がいい意味で綺麗にまとまっていて、何となく写真を切り取ったような映像感覚だ、
と感じていたら、CMディレクターの初監督作品と知り、納得。
日系人たちも日本の役者が演じていたりして、全編ほぼ日本語でリアリティに少し欠けるような気がしたが、
それでいてそこはこの作品の良さを少しも削ったりしていない。
映像も、音楽もホノカアの空気感にしっとりと寄りそう。
あぁ、うまいな、ずるいな、と思わせる雰囲気。

ホノカアで映写技師として働き出した主人公レオ(岡田将生)は、
近くに住むいたずら好きな日系人女性ビーさん(倍賞千恵子)と出会う。
ビーさんに気にいられたレオは毎日のようにおいしいご飯をごちそうになり、
偏屈だけれど優しいビーさんと、素直なレオ。
ふたりの間には奇妙な友情というか愛情というか、やさしい関係が形作られる。
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同様に他の日系人たちともゆるやかに打ち解けてゆくレオ。
この日系人たちのキャスティングがユニーク。
映画館の食いしん坊な女主人に松坂慶子。
レオのメンターのような存在でもあり、一方で日本のエロ雑誌が大好きな遊び心のある老人コイチさんに喜味こいし。
レオを残念な髪形にしてしまうキャラの濃い村の美容師に正司照枝。
存在感たっぷりなのに、すごく自然に溶け込んでいる感じがすごい。
他のキャラクターも映画の空気感を見事に守っている。
長谷川潤もさすがハワイ育ちだけあって、
すごくきれいなハワイの女の子っていうイメージにぴったり。
ついでに音楽プロデューサーがクラブキングの桑原茂一ってのもいい。
そしてストーリーは実話だと言う。
PORTER Classicsのディレクターである吉田玲雄のハワイ滞在紀行が原作。
もちろん映画だから作られた部分もあるだろうけれど、これが実話だと言うところがなんとなくすごいと思った。
写真ぽい風景、日系人を有名な役者が演じていて、
何となくリアリティに欠けるのかなと思っても、
納得させられてしまうのは、そこここに【本当】が潜んでいるからかもしれない。
時々、エピソードのひとつひとつが心の隙間にぐいっと入り込んでくる。
その力は【本当】を巧く映像に乗せて料理した結果かもしれない。

お酒を飲みながらひとりゆるーく観賞したせいもあってか、ラストは観ながら泣いてしまった。
岡田将生が主人公だったり、冒頭にもったいないほどのチョイ役で蒼井優が出ていたり、
基本的にオシャレ系っぽい映画はどうしても疑心暗鬼になって観てしまうのだけれど、
(もちろん蒼井優はすごい女優さんだと思うので、ちょっとした一般的な先入観ですが)
こういういい意味でのはしごの外され方は素直に感心してしまう。
すごい、と結構表現してしまったけれど、すごい映画というよりは、気持ちの良い後味の残る映画だった。

余談ですが、この映画きっかけで、今年亡くなられた喜味こいしさんの、
お兄さんとの漫才をYou Tubeではじめてまともに観てみました。すごかった。
絶妙な間合いと芸への真摯な姿勢が感じられるすごい漫才だった。
そんな出会いもくれた映画。

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ホノカアボーイ(2008)
2008/JPN/111min
監督:真田敦
プロデュース・脚本:高崎卓馬
原作:吉田玲雄『ホノカアボーイ』(幻冬舎刊)
音楽プロデューサー:桑原茂一
料理:高山なおみ
出演:岡田将生/倍賞千恵子/長谷川潤/喜味こいし/正司照枝/蒼井優/深津絵里/吉田玲雄/松坂慶子

いとしこいしさんの漫才。すごい。


原作。

ホノカアボーイ (幻冬舎文庫)

ホノカアボーイ (幻冬舎文庫)

  • 作者: 吉田 玲雄
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/02
  • メディア: 文庫


ホノカアボーイ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD



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"THE HURT LOCKER"-ハート・ロッカー(2008) [movie-h]

ここしばらく映画館から遠ざかっていたけれど、
久々に何か観ようと思い立ってレイトショーへ。
観ようか、観まいか、迷っていた一本「ハート・ロッカー」。
ずっと綴りを知らず、勝手に"THE HEART ROCKER"だと思っていたけれど、
実際には"THE HURT LOCKER"-アメリカ軍の用語で、「苦痛の極限地帯」=「棺桶」を意味する。

冒頭に、印象的な一文が挿入される。
The rush of battle is often a potent and lethal addiction, for war is a drug
-戦闘での高揚感はときに激しい中毒になる。
そして最後に残される"war is a drug"(戦争は麻薬である)という一言。
クリス・ヘッジスというピューリッツァも受賞したジャーナリストの言葉だそう。

さて、本編はと言うと、無名に役者を使うことによってドキュメンタリー性を高め、
限りなくリアリシズムを追求した戦争映画である。
イラク戦争を舞台に、アメリカ陸軍ブラボー中隊の爆発物処理班の任務明けまでの38日間を描いた物語。
任務完了を目前に爆発で人望の厚いリーダーを亡くしたブラボー中隊に、
新たなリーダーが赴任してくるところからストーリーは始まる。
新リーダー、ジェームズ二等軍曹は自分の身の危険も顧みず、
向う見ずとも思えるような行動で任務を遂行してゆく。
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それがチームの他のふたりのメンバーの神経を逆なでし、
チームはばらばらになるかに見えたが、ある事件をきっかけに団結を強め、
そしてまたある任務をきっかけに彼らの心はばらばらになってゆく。
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爆発物処理班の技術兵の死亡率は戦地の他の軍人に比べても5倍近いという。
そんな特殊な任務に就く兵士の心理描写を丹念に描いている点では、
この作品は非常に成功していると言えるだろう。
演出も、演じている役者たちも、本当にすごい。
特にジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティの3名は称賛に値する演技。
描かれているのは兵士を演じる彼らの苦悩、彼らの怒り、彼らの希望、そして、たとえようのない緊迫した日々の連鎖。
戦争と言う非日常の連続の中で彼らが経験し、得るものと失うもの。
この緊迫感と彼らの内面まで迫った演出は、ビグロー監督の、この映画にかける真摯な姿勢を感じた。
あえて、観客を過度にどきどきさせるような、
極端に緊張を強いる演出や俗悪でグロテスクな描写をとらずリアルさを追求したことで、
この作品が成功した部分は多いと思う。
フセイン政権崩壊後も負の連鎖から逃れられず、いまだ実質的な終息を迎えていないイラク戦争。
平和な日本でその状況を観ていて心に浮かぶのは単純な「なぜ??」という疑問。
「なぜアメリカはこの戦争を始めたのか」
「なぜ彼らは戦い続けるのか」
アメリカが関わる近代戦争を知るたびに感じる彼らの傲慢さ。
自分たちが正しいという、頑ななまでの自信。
戦争というトピックを取りあげるとき、アメリカと言う国全体から感じるのはそういう救い難いエゴなのだけれど、
兵士たちの純粋なヒロイズムと勇敢さ、そしてその代償として兵士たちが失い、得てゆくもの、
そういう点にフォーカスした骨太な作品を女性監督が撮ったからこそ、高い評価を得たのだと思う。
冒頭のクリス・ヘッジスの言葉とリンクするラストは、ある意味やむを得なかったのかもしれない。

痛いほどのリアリシズムが感じられたけれど、
これを観て、現実を知ることも、戦争への理解を深める第一歩。
良くも悪くも、世界の片隅でこういう状況が続いているということなのだ。

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THE HURT LOCKER-ハート・ロッカー
2008/USA/131min

監督:キャスリン・ビグロー
製作:キャスリン・ビグロー/マーク・ボール/ニコラス・シャルティエ/グレッグ・シャピロ
製作総指揮:トニー・マーク
脚本:マーク・ボール
撮影:バリー・アクロイド
音楽:マルコ・ベルトラミ/バック・サンダース
出演:ジェレミー・レナー/アンソニー・マッキー/ブライアン・ジェラティ/レイフ・ファインズ
ガイ・ピアース/デヴィッド・モース/エヴァンジェリン・リリークリスチャン・カマルゴ
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"HOW TO LOSE A GUY IN 10 DAYS"(2003)-10日間で男を上手にフル方法 [movie-h]

学生のころは遠ざかっていたラブコメを、意外と楽しんで観られるのを発見したのは30歳近くなってから。
いま俗にいうガールズムービー、例えば"SEX & THE CITY"なんかもそうだけれど、
そこそこ歳とってからの方が余裕をもって楽しんで観られるような気が。
ちょっと最近重い映画から遠ざかっているけれど(疲れてるのかな…)、
こちらも軽く、さらっと、思っていたよりも楽しめた。

女性誌でハウツー記事を担当しているアンディは、男に振られた同僚をフォローするため、
「10日間で男を上手にふる方法」というハウツー記事を体験取材することになり、
同じ時期、広告代理店で働くベンは、苦手分野であるジュエリー業界のビッグなクライアントをゲットするため、
「10日間で恋人をつくる」賭けを上司とすることになる。
そんな二人が出会い、繰り広げるラブ・コメディ。

ケイト・ハドソン演じるアンディが本当にキュート。
「あの頃ペニー・レインで」で相当魅力的だと思っていたけれど、ちょっと大人になってさらに磨きがかかった気がする。
母親のゴールディ・ホーンをほうふつとさせるキラー・スマイルは、やられない男はいないんじゃ??と思う。
はじめはベンを引きつけておきながら、
次々と男の嫌がる作戦で彼を嫌わせようとするさまは、女の私からは観ていてバカらしいけれど面白い。
あぁ、ここでこんなことしたらそりゃ嫌われるな…途中からなんて、ここでこうすればもっと嫌われるだろうに…と考えたり…(笑)。
ただ、本当のアンディの魅力を出す時と、わざと嫌われるようなふるまいをする時とのふり幅が急すぎたり、唐突過ぎたりで、
え、いったいどっち??という流れがあまりスムーズでなかったかもしれない。
この辺は展開や脚本のせいなのかもしれないけれど…。
マシュー・マコノヒー演じるベンも典型的なアメリカの独身貴族風で好みは分かれるところだと思うけれど、
スマートだけれど飾り気がなくわかりやすい、男っぽい魅力がある。
また、NYを舞台にしたという意味では(しかも撮影が9.11の直後だったらしい)、
街やセットや使われている建物なども観ていて楽しかった。
アンディ、ベン、双方の同僚のキャラクター、掛け合いもよい。
特にアンディの同僚、キャスリン・ハーン演じるミシェルのちょっと過剰なくらいの演技がコミカルで、
うまくこの映画にあってたと思う。
個人的にはアンディが彼女をセラピストに仕立て上げ、ベンと二人でカップル・セラピーしてもらう部分はツボ。

後半、彼の実家をふたりで訪れるシーンがあり、彼のファミリーに会うことにより、
本当のベンの姿を見てアンディが心を動かす…というくだりがあるのだけれど、
ここは素直にすごくいいなと思える展開だった。
ただし残念ながら、肝心の最後に互いの賭けや企画の顛末がわかってしまうパーティでの展開は、
ちょっと中途半端であまり良くはなかったかも…。
もう少しいい作り方があったんじゃ??という気がしてならない。
ラストはもちろん当然のごとくハッピー・エンドだけれど、
映画としてのまとまりはともかく、女子としてはああいうベタな展開、嫌いじゃない、とだけ言っておこうかな。

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"HOW TO LOSE A GUY IN 10 DAYS"
10日間で男を上手にフル方法
2003/USA/116min

監督:ドナルド・ペトリ
製作:ロバート・エヴァンス/クリスティーン・フォーサイス=ピータース/リンダ・オブスト
原作:ミシェル・アレクサンダー/ジェニー・ロング
脚本:クリステン・バックリー/ブライアン・リーガン/バー・スティアーズ
撮影:ジョン・ベイリー
出演:ケイト・ハドソン/マシュー・マコノヒー/キャスリン・ハーン/アニー・パリッセ/アダム・ゴールドバーグ


10日間で男を上手にフル方法 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: パラマウント ジャパン
  • メディア: DVD


NYを舞台にしたDVD企画ものの中にも入ってます。

Very Very New York (初回限定生産) [DVD]

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  • 出版社/メーカー: パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
  • メディア: DVD


ちなみに原作はOL2人が自らの体験を基に“男に嫌われる言動”を書き連ね全米でベストセラーになったハウツー本。
今後の参考までに(笑)、読んでおいてもいいかも。

How to Lose a Guy in 10 Days

How to Lose a Guy in 10 Days

  • 作者: Michele Alexander
  • 出版社/メーカー: Bantam
  • 発売日: 1998/10/06
  • メディア: ペーパーバック


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