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"The Man from London-倫敦から来た男"(2007) [movie-m]

本当に寒くなってきた休日の午後、渋谷で夜から予定があったので、
ふと思いついて行ってきました、久しぶりのシアターイメージフォーラム。
ノーマークだったけれど、なんと"ヴェルクマイスター・ハーモニー"の監督の最新作。
"ヴェルクマイスター~"が、映画というメディアでなければなしえない、夢のような映像体験だっただけに、
否が応でも期待感は高まる。

原作はメグレ警部のジョルジュ・シムノン、ストーリーはサスペンス…
1シーンごと超長回しで撮られている映像は前作をほうふつとさせられるけれど、
ストーリーがノワール・サスペンスということもあってか、
ちょっと違う緊張感、ちょっと違うリアリシズムに彩られ…
終始美しくもリアリスティックな景色の連なりから展開してゆく。
各シーンの出来事が終わった後で、しつこいくらいに延々と撮られるその後の情景、余韻、
この地球上のどこかの世界での出来事なのに、まるで夢を見ているかのようなモノクロームの光と影、
登場人物の後頭部に張り付くような視点で撮られる映像。
すべてが一本きりりと張られた糸の上を伝うような緊張感を伴い、
独特の審美眼で完璧なまでに計算しつくされ、撮られている気がする。
特に主人公の港湾労働者、マロワンが働いている港の制御室の情景や、
彼が娘に会いに来るシーンで使われる、
彼女が働いている店の裏側、建物が迫ってくるような裏路地の風景など、
すべての情景が一見に値する。

登場人物もみな雰囲気に余白のある、味のある人ばかり。
アカデミー女優のティルダ・スウィントンも出演していて、
主人公のヒステリックな奥さん役を演じていてびっくり。
彼女は最近ではジャームッシュの"The Limits of Control"なんかでも、
すごく印象的なキャラクターを演じていて、存在感抜群の女優。
個人的には"ヴェルクマイスター~"の世界観のほうが好きだけれど、
これはこれでもう一度噛みしめたい気のする世界観を持っている映画だと思います。

そういえば、"The Limey-イギリスから来た男"というソダーバーグ監督の映画もあったなぁ。
こちらはテレンス・スタンプの存在感が忘れられない一本でした。
原題はだいぶ違うけれどね。

main_615.jpg

"The Man from London-倫敦から来た男"(2007)
2007年/ハンガリー=ドイツ=フランス/138min

監督:タル・ベーラ
原作:ジョルジュ・シムノン「倫敦(ロンドン)から来た男」(河出書房新社)
共同監督・編集:フラニツキー・アーグネシュ
出演ミロスラヴ・クロボット、ティルダ・スウィントン

倫敦から来た男--【シムノン本格小説選】

倫敦から来た男--【シムノン本格小説選】

  • 作者: ジョルジュ・シムノン
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2009/10/09
  • メディア: 単行本



ヴェルクマイスター・ハーモニー [DVD]

ヴェルクマイスター・ハーモニー [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: DVD



映画の後、なんと初のまつげエクステにチャレンジ!!して(素顔がばっちり変わります)、
夜は青学側、青山通りから一本入ったところにあるCIVETTA(チベッタ)というイタリアンでディナー。
ナチュラルな素材を生かしたメニューがかなり美味しい。
みんなチャレンジしなかったけれど、生カキもいただきました♪
ワインも1本2900円からと、とってもリーズナブル。
〆のカニと青海苔のパスタもさっぱり、でも味わい深いひと皿でした。

CIVETTA(チベッタ)
http://r.gnavi.co.jp/g860104/
civetta.jpg
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コメント 4

haru

緊張感のあるモノクロ、光と影って
写真の世界にも通じるなっとおもって
とっても見たくなったよ。
計算しつくされている知的な映画にたいして
″ヴェルクマイスター・ハーモニー″は感覚なのかな?
うーみたい!





by haru (2009-12-19 00:04) 

suspirar

>>haru

ヴェルクマイスター・ハーモニーはぜひ観てみて!!
DVDになってます。渋谷とかの大きいTSUTAYAとかなら置いてるかも。
ヴェルクマイスターはリアルではなく夢の世界って感じです。
計算しつくされた上で感覚的。
本当に光と影の質感(光の中に浮かぶ塵や埃の質感まで)の撮り方がすごい監督です。

by suspirar (2009-12-19 00:27) 

ちょいとおまえ

2時間18分もする内容かというとかなり疑問ですが、映像はカッコよかったです。
by ちょいとおまえ (2010-01-05 19:38) 

movielover

>>ちょいとおまえさん

コメントありがとうございます。
確かに長くて私も途中何度も挫折しそうになりました(笑)。
作品が長いのがこの人の信条みたいなのでしょうがないかもしれませんね~。
by movielover (2010-01-06 00:54) 

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