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"SOMETHING'S GOTTA GIVE-恋愛適齢期(2003)" [movie-s]

アカデミー俳優ジャック・ニコルソン×ダイアン・キートン、豪華な配役の大人の恋愛コメディ。
公開当時20代だった私にはこの配役も、設定もイマイチぴんとこなかったからなのか、
今まで未見だった作品。
Gyaoの無料動画のラインナップに乗っていたので、気軽に観てみる気になった。

設定がベタだけれど面白い。
自分と同世代の娘の交際相手と別荘で鉢合わせする脚本家、エリカ(ダイアン・キートン)。
離婚後、仕事はバリバリこなしているけれど、恋愛とはご無沙汰な50代。
一方、63歳という年齢ながら、30歳以下の女とは交際しないプレイボーイとして有名な、
某音楽レーベルの経営者、ハリー(ジャック・ニコルソン)。
この二人の関係性がコミカルな展開で描かれてゆく。
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同じナンシー・マイヤーズ監督の『ホリデイ』のときも思ったのだけれど、
彼女が元々脚本家としてキャリアをスタートさせているからか、言葉の使い方が非常に巧い。
意外と原語自体もシンプルで、気軽な英会話の教材としてもいい気がする。
英語の"気のきいた"台詞を学ぶのにもいいかも。
各キャラクターが生き生きとして、人間らしく、ある種の余裕すら感じられる。
もちろんダイアン・キートン自身の魅力に依るところも大きいと思うけれど、
50代という年齢設定でありながら彼女がすごく可愛く見えてしまうのは、
こういった台詞の妙味とキャラクターが醸し出すハーモニーのようなものに負うところが大きいと思う。
私はまったく心惹かれないけれど、ジャック・ニコルソンのあの声で、あのキャラで、
案外気のきいた優しい台詞を言われると、女心に響くだろう。
そして設定的に無理があるかもと思うけれど、
エリカに恋心を抱く医師役で登場するキアヌ・リーブスの台詞の気障っぷりもキャラクターにはまっていた。
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主人公二人のキャスティングも大きいが、
脇役たちの適度な存在感もこの作品を楽しむための要素のひとつたりえている。
個人的に気にいったのはエリカの妹役ゾーイを演じているフランシス・マクドーマン。
彼女のシニカルな脇役っぷりは見事。
娘役のアマンダ・ピートもキュートで奔放なキャラクターを存分に演じている。
冷静に考えたら、設定やキャラクターに無理があると言えなくもない部分もあるけれど、
恋に狂わされ、感情に振り回されながらも仕事に打ち込むダイアン・キートンの振り切れた演技ひとつとっても、
過剰であるがゆえにそこが良かったのかもしれないと思う。
いい意味でわざとらしくも、爽やかで、巧妙な大人の恋愛コメディ。
年齢を重ねても、女性は可愛らしく、男も男性の部分を捨てずにいるって、素敵なことだと思わされる。
LOVE IS WONDERFUL THING!!
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恋愛適齢期(2003)
SOMETHING'S GOTTA GIVE
2003/USA/128min

監督:ナンシー・マイヤーズ
脚本:ナンシー・マイヤーズ
撮影:ミヒャエル・バルハウス
編集:ジョー・ハッシング
音楽:ハンス・ジマー
出演:ジャック・ニコルソン/ダイアン・キートン/キアヌ・リーヴス
フランシス・マクドーマンド/アマンダ・ピート


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"SEX AND THE CITY 2-セックス・アンド・ザ・シティ2"(2010) [movie-s]

世代のせいなのか、私を含め、同世代でSEX AND THE CITYにはまった女性は非常に多い。
男性陣にはあまり共感を得られないのはもっともだし、
あまりこのシリーズに共感を持たれても困ってしまうけれど、
それにしても長年にわたり世界中の、
特に「もう若くはないと自覚してもがいている」女性の支持を得たシリーズはないと思う。
とは言え、前作も然り、シリーズを観ずに映画だけで理解して楽しもうと思っても、難しい。
各所にちりばめられたネタ、例えば主演の4人組の友人のゲイカップルの結婚式など、
初めて観る人には何だこりゃ、と言う感じだろうけれど、
シリーズを知る人は彼らがどれだけ犬猿の仲だったか、ということを知っているので、
そこでまた思うところが出てくるのである。
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テーマは…結婚というものと夫婦のあり方。
キャリーはせっかく二年前にやっとのことでゴールインしたジョンとの間に倦怠期を迎え、
週に数日離れて暮らそうと提案され、
サマンサは相変わらずだが、更年期を乗り越えるために浴びるようにサプリを飲むしかなく、
ミランダは仕事先のパートナーとの間に問題を抱えてストレスをため、
シャーロットは二児の育児に精一杯なうえに、頼りにしているが若くてセクシーな子守に、
夫が目移りしてしまうのではないかと心配する毎日。
そんなときにサマンサがアラブのシェリフに招待され、
アブダビでのゴージャスなバカンスを楽しむことに。
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アブダビの豪華な舞台設定や彼女たちのファッションは楽しかったけれど…。
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ストーリー展開は深みや盛り上がりに欠け、
最終的に私の一番の印象は…「みんな歳取ったね…」
あらがえない老いのサインは過去のシリーズを観ている眼にはやけにはっきりと感じられてしまって、
彼女たちがもうこのシリーズではじけられる年齢ではないことを思い知らされる。
もちろん彼女たちの実年齢に比して、若く見えるのは確かだし、
かなりの努力でそのボディーを保っているのだろうとは思う。魅力的と言っていい。
劇中で更年期障害に悩まされてはいるけれど、サマンサが52歳、なんて、誰がリアルに受け止められるだろう。
ただ、シリーズ自体が最高だったから、やはりドラマシリーズとして完成された作品であるがゆえに、
後日談として作られた映画を真に映画として受け入れるのはやはりお門違いなのかもしれない。
ストーリー自体は、どちらかというとおざなりな後日談、
ハチャメチャなセレブバケーションの道中のコメディ的な色彩と、ファッションに目が行ってしまい、
エキゾチックでゴージャスな中東の雰囲気は楽しめたけれど、全くストーリーに感情移入できなかった。
とはいえ、パトリシア・フィールドのスタイリングは金もかかっているだろうけれど、
相変わらずため息をつきたくなるような華やかさ。
そして、着こなせる体型を維持している彼女たちには感服させられる。
もちろん、シリーズ終了から第2弾目のこの映画を心待ちにしていて、
観て楽しんだろう大ファンの方々はいるだろうし、否定するつもりもないけれど、
シリーズの一ファンだった私でも、観た後に「あーあ」とため息をつきたくなるような感じだった。

ちなみに興行成績も、前作の6割程度。やはり現実はシビア。
残念ながらリリースされて間もないDVDがTSUTAYAで30%、40%OFFになっていたのが、
この映画の価値を端的に表現しているのかな、と思い知らされてしまった。残念。
3はあるのかどうなのか…まあ、あったとしたら一応観てしまいそうな気はするけれど。
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SEX AND THE CITY 2
セックス・アンド・ザ・シティ2
2010/USA/147min

監督:マイケル・パトリック・キング
製作:マイケル・パトリック・キング/サラ・ジェシカ・パーカー/ダーレン・スター/ジョン・メルフィ
原作:キャンディス・ブシュネル
キャラクター創造:ダーレン・スター
脚本:マイケル・パトリック・キング
撮影:ジョン・トーマス
衣装デザイン:パトリシア・フィールド
編集:マイケル・バーレンバウム
音楽:アーロン・ジグマン
出演: サラ・ジェシカ・パーカー/キム・キャトラル/クリスティン・デイヴィス/シンシア・ニクソン
ジョン・コーベット/クリス・ノース/デヴィッド・エイゲンバーグ/エヴァン・ハンドラー
ジェイソン・ルイス/ウィリー・ガーソン/マリオ・カントーネ/ライザ・ミネリ
マイリー・サイラス/ペネロペ・クルス/オミッド・ジャリリ

TVシリーズはおススメです

Sex and the City エッセンシャルコレクションBOX セカンド・エディション [DVD]

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"A SINGLE MAN-シングルマン"(2009) [movie-s]

久々のタクシー帰りで、前日の酔いも醒めぬまま、
(前の会社の先輩方と食事会。
多分ひとりでワイン1本分以上は飲んでいたはず…でも楽しかった@表参道おやっとさあ
なぜか和食にワイン。でもスペアリブ×赤は美味しかった!)
休日昼間に、二日酔いで痛む頭を無理やり働かせて英会話。
そのまま新宿に出て、友人と待ち合わせてシングルマンを観る。

二日酔いでぼけた頭に、わざと粗い映像で撮られた、60年代のある男の物語が染みわたっていく。

強烈な美意識に支えられた、峻烈なデビュー作。
トム・フォードという稀代の美的感覚の持ち主にかかれば、
映画も、その美意識をさらに強くその美学を表現する一種の手段、に見える。
ただし、ただ単に「美しい」というだけでこの作品を語るのは容易ではない。
トム・フォードは、彼のアイデンティティから嗜好まで、
すべてをさらけ出してなお襟を正して人に誇れる姿を示した、と言っても過言ではないと思わされた。
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原作はクリストファー・イシャーウッドという、自身もゲイである作家。
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『シングルマン』という題名自体がその作品の全体像を表しているかのようだ。
主人公はトム・フォード自身を投影したと思われるところが随所に見られる中年の大学教授ジョージ。
彼は最愛のパートナーを失い、8ヶ月もの間苦しんだ結果、自らも死を選ぼうとする。
そんな特別な一日を描いたのがこの作品。
オープニング、まず映像の荒さに少し戸惑い、そしてカメラの角度、俳優、
すべてが完璧な配置で描かれたシーンに目を奪われる。
美しい情景の後に、ジョージのある一日が描かれてゆく。
美しい佇まいの邸宅。あるものがあるべきところに置かれていないと気がすまないジョージの性格が垣間見える。
夢、自らが触れる物や音、すべてが引き金となって、ジョージは都度彼の最愛の人ジムとの思い出に引き込まれてゆく。
その日触れたもの、出会ったすべての人々がキーとなり、彼の世界観が投影される。
彼と対照的で家族的な隣人とその子供たち。
学校の教え子。
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街で出会ったスパニッシュの青年。
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昔愛し合った女性で、いまはよき親友のチャーリー。
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60年代のゲイの苦しさ生きづらさを垣間見せながらも、
フィルムの隅々にまで、ジョージ=トムが選ぶ、人やものに対する強烈なまでの審美眼が投影されているのが分かる。
そして俳優たちの素晴らしいこと。
ことにコリン・ファースの無言の演技、顔の表情だけで表現される切なさに心を打たれ、久しぶりに「感服」した。
ディテールの美しさに言及するときりがなくなりそうなので割愛するけれど、
トム・フォードの力に完膚なきまでに叩きのめされたと言ってもいい。
脚本は原作とだいぶ変えてあるらしいけれど、原作も読んでみたいと思わされた。
原作はどうなっているのか興味のあるところだけれど、
ラストの説明的過ぎるところだけは少しもったいなかったような気がする。

彼のコレクション自体もそうだけれど、ここまで自らの世界を体現できる凄さを持つっていうことは、
一体どういう気持ちがするのだろう。

創造と想像の完全なる形をフィルムによって見せつけられた気がした。
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A SINGLE MAN
シングルマン
2009/USA/101min

監督:トム・フォード
原作:クリストファー・イシャーウッド
脚本:トム・フォード/デヴィッド・スケアス
撮影:エドゥアルド・グラウ
衣装デザイン:アリアンヌ・フィリップス
音楽:アベル・コジェニオウスキ
出演:コリン・ファース/ジュリアン・ムーア/マシュー・グード/ニコラス・ホルト
ジョン・コルタハレナ/ジニファー・グッドウィン/テディ・シアーズ/ポール・バトラー


A Single Man (Vintage Classic)

A Single Man (Vintage Classic)

  • 作者: Christopher Isherwood
  • 出版社/メーカー: Vintage Classics
  • 発売日: 2010/02/04
  • メディア: ペーパーバック


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"LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON-潜水服は蝶の夢を見る(2007)" [movie-s]

作品を発表する度に、作品自体の出来とともにその作品のテーマの特異さで話題になる、
ジュリアン・シュナーベル監督作品。

孤高のアーティスト、ジャン・ミシェル=バスキアを描いた「バスキア」
キューバ出身の亡命作家でホモセクシュアルのレイナルド・アレナスの生涯を綴った「夜になる前に」
そしてこの「潜水服は蝶の夢を見る」では、42歳という働き盛りに突然の病に倒れ、
身体の自由を奪われてしまったELLEの元編集長ジャン=ドミニク・ボビーが、
全身の中で唯一動く左目の瞬きだけで綴った奇跡の自伝の執筆の経過を描く。
シュナーベルの一貫した映画づくりの姿勢、感性が改めて再確認できた、
そんな作品だと思う。

主人公ジャン=ドミニク(愛称:ジャン・ドゥ)はドライブ中に発作を起こし、
意識が回復したときには「Locked-in syndrome(閉じ込め症候群)」という状態に。
脳こうそくが原因で全身の筋肉が麻痺し、ほぼすべての運動機能が失われる症状である。
壊死させないために右目を縫い付けられ、左目以外は一切の動きが封じられている一方で、
意識だけははっきりしているという状態。それこそ、牢獄以上に人の自由を奪う、強力な拘束力。
唯一、意思の疎通を図る術(すべ)として残されていたのは、
使用頻度の高いalphabet(フランス語読みだとアルファベ)を読み上げる相手に、
瞬きをして彼が言いたい言葉を綴ってもらうというもの。
1つの単語を綴るだけでも数分を要し、
ジャン・ドゥのみならず、聞き手の忍耐力と時間も相当なものが必要になる。
はじめは"mourir(死にたい)"と執拗に綴っていたジャン・ドゥ。
魅力的な言語療法士アンリエットの導きで、次第に元々の明るく享楽的でシニカルな個性を取り戻し、
瞬きで自伝を執筆することを決意する。
唯一残された記憶と想像力によって、彼は自分を解放しようとする。
その執筆に要した瞬きの回数、なんと20万回以上。
執筆を助けた編集者クロードの情熱もすばらしい。
人間の忍耐力と意思の、究極の形を見せられたような気がする。
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魅力的な映画に欠かせない、特異な設定、個々の役者の力もさることながら、
なにより、ジャン・ドゥの感じる世界を、想像しうる限りの形で可視化した映像がすばらしい。
彼の視覚、彼の脳内を映像化させるために施した数々の工夫。
異世界から覗く現実の世界のような、どことなくエキゾチックで、どことなく浮遊感のある映像。
かぶさるように、彼の意識が実際には発されることのない言葉として、流れる。
彼の目に映る、妻、子、友人、医師、療法士・・・彼らに対するジャン・ドゥの気持ち。
回想シーンで徐々に明らかになる彼の人となり。
はじめはその映像の不思議な感じに戸惑うけれど、
そのうちそれぞれのエピソードがリアルな力を持って、観客の頭の中にすんなりと入ってくる。
病院に見舞いに来ることのできない、高齢の父との電話での会話が印象深い。
その父親役がエクソシストなどで有名なマックス・フォン・シドー。
この父にしてこの子あり、と言う雰囲気で、魅力的だった。
この親子のエピソードは女性とのエピソードとの対極で、この映画のひとつの柱になっている。

主人公の役は元々ジョニー・デップで進められていたそうだけれど、
アマルリックでフランス語での撮影になったことは、この作品にとってすごくプラスだったんじゃないかと思う。
決してジョニー・デップ批判と言うわけではないのだけれど、
実話の映画化だし、フランス版ELLEの編集者が英語じゃ様にならない。
そして何よりアマルリックと、周りの女性たちのバランスがすごく良かった。
家庭をあまり顧みなかった彼のパートナーにエマニュエル・セニエ。
キーパーソンになる言語療法士にマリ=ジョゼ・クローズ。
彼に愛情を感じてしまう編集者クロードにアンヌ・コンシニ。
けんか別れしても最後まで彼を愛する愛人役にマリナ・ハンズ。
これだけ豪華な女性陣に囲まれたら、男として本望な気もする。

原題の"LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON"は単純に翻訳すると(潜水服と蝶)という意味だけれど、
さらにそのイメージを膨らませるようないい邦題になっていると思う。
夢を見ること、記憶をたどること。
これは人間に許されたとても豊かな行為だと思う。
映画化の10日後に帰らぬ人となったジャン・ドゥの冥福をお祈りします。
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"LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON"
"THE DIVING BELL AND THE BUTTERFLY"
潜水服は蝶の夢を見る(2007)
2007/FRA=USA/112min

監督:ジュリアン・シュナーベル
製作:キャスリーン・ケネディ/ジョン・キリク
原作:ジャン=ドミニク・ボビー 『潜水服は蝶の夢を見る』(講談社刊)
脚本:ロナルド・ハーウッド
撮影:ヤヌス・カミンスキー
音楽:ポール・カンテロン
出演:マチュー・アマルリック/エマニュエル・セニエ/マリ=ジョゼ・クローズ アンリエット・デュラン
アンヌ・コンシニ/パトリック・シェネ/ニエル・アレストリュプ/オラツ・ロペス・ヘルメンディア
ジャン=ピエール・カッセル/イザック・ド・バンコレ/エマ・ドゥ・コーヌ/マリナ・ハンズ/マックス・フォン・シドー

絶対に読んでみたい、と思った原作。

潜水服は蝶の夢を見る

潜水服は蝶の夢を見る

  • 作者: ジャン=ドミニック ボービー
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/03/05
  • メディア: 単行本


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多作と言うわけではないけれど、印象的な作品を撮るシュナーベル。
やっぱり元々画家なので、他の監督とは一線を画す作品作りをしていると思います。

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"SEVEN POUNDS"-7つの贈り物(2008) [movie-s]

ウィル・スミスが「幸せのちから」のガブリエレ・ムッチーノ監督と再びタッグを組んだヒューマン・ドラマ。
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はじめは、何がなんだかさっぱり理解ができなかった。
ウィル・スミス演じる主人公ベンが何らかの意図をもって、
色々な人に接触してゆくさまが淡々と描かれる。
不思議な雰囲気の映画だと思った。
暗めの画調、場面も室内や病院など、華やかな場所ではなく、
登場人物それぞれの日常のとある一場面が区切られ、画面に映し出される。
だんだんと、彼がまったくの他人に自分自身の身を削ってまで贈り物をしていることに気づく。
「なぜ??」「どうして??」
まったく理解不能ながらストーリーを追ってゆくと、彼がどういう行為を目指しているかが本当に少しずつ顕になってくる。
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ある人は「作為的、偽善的に過ぎる」というかもしれないし、
ある人は「暗くて重すぎて、とても観るに耐えない」というかもしれない。
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私も何度となく受け付けがたい心情に陥ったけれど…。
ロザリオ・ドーソン演じるベンの恋人、エミリーとベンの最後の愛の交歓が、
柔らかく、美しく、切なくて、静かで、それだけで、まあ、こういう物語も悪くない、という気になった。
ロザリオ・ドーソンが、悲劇の恋人を演じさせるととても似合う。
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脇役のバリー・ペッパーやウッディ・ハレルソンもよかった。
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静かな、そして少し重い映画。
私にとってはいやな重さではなかったけれど…好みは分かれるところ、だと思う。


SEVEN POUNDS
7つの贈り物
2008/USA/123min

監督:ガブリエレ・ムッチーノ
脚本:グラント・ニーポート
撮影:フィリップ・ル・スール
編集:ヒューズ・ウィンボーン
音楽:アンジェロ・ミィリ
出演:ウィル・スミス/ロザリオ・ドーソン/マイケル・イーリー/バリー・ペッパー/ウディ・ハレルソン


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"SLUMDOG MILLIONAIRE"-スラムドッグ$ミリオネア(2008) [movie-s]

公開当時から観にいかなくてはと思っていたのに、
結局観そびれていた"スラムドッグ$ミリオネア"。

アカデミー賞作品賞を含む8部門で受賞、話題性も高かった作品。
いまさらながら、なぜ観にいかなかったのだろう、と思う。

いわずと知れたクイズ$ミリオネア-"WHO WANTS TO BE A MIRRIONERE"というイギリスの人気番組のインド版。
そのクイズ番組の勝者ジャマールが主人公だ。
スラム出身の無学な若者だったために不正を疑われ、最後の1問を残して警察に連行し拷問を受ける。
その彼が無実を晴らすために、どうしてそれぞれの問題の答えがわかったのか、
番組のVTRを見ながらその生い立ちを語る形で物語りは進行してゆく。
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まず感じたのがスラム街のリアルさ、スラムの猥雑さを浄化するほどの子供たちのエネルギーだ。
ダニー・ボイル作品の真骨頂とも言える、圧倒的な疾走感。
ムンバイのスラムを縦横無尽に走り回る子供たち。
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そんなテンポのよい映像に助けられ、
複雑に折り重なる偶然と運命が主人公たちを翻弄していく様が、
実に興味深く描かれる。
自分の命を守るために、貧困から抜け出すために、
したたかに生きてゆく主人公たち。
その成長に合わせて次々起きる出来事とクイズの緊迫感溢れる映像が交互に差し込まれ、
映画としての面白みを加速させる。

設定が非常に優れている以上に、
キャスティングだけでこの映画の大半は決まったといえるくらい、
役者の魅力に拠っているところも多いと思う。
泥臭さも、人間の醜さも、内包してなお魅力を放つインドという国と文化、
いいも悪いもすべてひっくるめての世界観。
久しぶりに、若さと情熱とひりひりするような痛みを伴うサクセスドリームを観た気がする。
観た後の爽快感と、インド映画(厳密にはインド映画ではないけれど)特有のハッピーなエンディングに、
きれいな芝生の上を思いっきり裸足で走り抜けたような満足感を覚えた。

"SLUMDOG MILLIONAIRE"
スラムドッグ$ミリオネア
2008/USA=UK/120min

監督:ダニー・ボイル
共同監督:ラヴリーン・タンダン
製作:クリスチャン・コルソン
製作総指揮:ポール・スミス/テッサ・ロス
原作:ヴィカス・スワラップ『ぼくと1ルピーの神様』(ランダムハウス講談社刊)
脚本:サイモン・ボーフォイ
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
音楽:A・R・ラーマン
出演:デヴ・パテル/マドゥル・ミッタル/フリーダ・ピント
アニル・カプール/イルファン・カーン/アーユッシュ・マヘーシュ・ケーデカール
アズルディン・モハメド・イスマイル/ルビーナ・アリ


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"SUMMER OF SAM"-サマー・オブ・サム(1999) [movie-s]

スパイク・リー。
文句なく、好きな監督の一人だ。
この作品は、1977年にNYでおきた実際の連続殺人事件を下敷きに、当時のNYの雰囲気、
そこに住む人々を描いている。

主人公のヴィニーは浮気を止められないイタリア系美容師。
美人の奥さんがいるのにも関わらず、手当たり次第にやりまくり、
その親友リッチーはパンクにはまり、周囲から浮きまくっている。
このリッチーを演じているのが、『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディ。
『戦場の~』の繊細でインテリのピアニスト役とは似ても似つかない、
かなりハードなパンクファッション、
周囲から浮くことを恐れず我が道を行くキャラクターで、彼の演技の幅の広さに驚く。
街にはびこるシリアルキラーへの恐怖はやがて、
異質なもの(この場合はリッチー)への排斥行動へとエスカレートしてゆく。
ヴィニー夫妻の関係、ヴィニーとリッチーの関係、リッチーと周囲の人々との関係etc…、
スパイク・リーは人々とその関わりを描くのがやはりうまい。
関係性の齟齬、誤解から、最期にはやりきれない結末が待っている。
2時間以上ある物語だが、一瞬も飽きさせない。
勢いのよさ、テンポのよさ、人に物を考えさせる丁寧な物語作りがされている。
本当に面白い映画とはこういう映画、中身のぎゅっと詰まった映画だ。

SUMMER OF SAM
サマー・オブ・サム
1999/アメリカ/2h22min

監督:スパイク・リー
製作:スパイク・リー/ジョン・キリク
撮影:エレン・クラス
音楽:テレンス・ブランチャード
出演:ジョン・レグイザモ/エイドリアン・ブロディ/ミラ・ソルヴィーノ/
ジェニファー・エスポジート/マイケル・リスポリ/
サヴェリオ・グエッラ/ベベ・ニューワース/ジョイ・リー

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"The Soloist"-路上のソリスト(2008) [movie-s]

LAタイムズの記者スティーブン・ロペスのコラムを基に実話を映画化した物語。
仕事に、人生に行き詰っていた彼は、
ぼろぼろのバイオリンの残されたたった二本の弦を駆使して、
素晴らしいメロディを奏でる路上生活者を見出し、興味を持つ。
彼の名前はナサニエル・エアーズ。

その出会いからストーリーは広がってゆく。
映像がすごくクリアで視点が面白い。
例えば、二度目にふたりが出会う場面。
陸橋の下の、音が響きやすい場所で演奏するナサニエル、演奏が終わるのを待つスティーブン、
車が行きかう道路から等分に二人を眺めるその視点。
そのあとナサニエルが指差す先には一瞬、陸橋の隙間から見える飛行機。
ナサニエルが演奏するチェロに合わせて映されるLAの風景。
上空から眺める、駐車場に規則正しく並んだ車、高速道路の機械的な美しさ。
映像も含め素晴らしく音楽的な映画だと思う。
統合失調症と診断されるナサニエルを演じるジェイミー・フォックスの流れるような音楽的な台詞回し。
ロバート・ダウニーJr.の台詞回しも違ったリズムだけれどテンポが良い。
だから二人の掛け合いは面白い相乗効果を生み出す。

このストーリーは単なるお涙頂戴の所謂「いい話」ではない。
ナサニエルは断固として統合失調症の治療を拒み、
スティーブンと彼はそれぞれの道を行くだけだ。
スティーブンはナサニエルが彼のことをONLY ONEと思うことを拒み、
彼に対してそこまで責任は取れないとキチンと線を引く。
とはいえ、ナサニエルが見つからなかったときにスティーブンは夜を徹してその所在を探す。
悩むこともあっただろう。
けれど、その姿勢ゆえに、時折重なる瞬間、ふたりはある幸福な領域で重なり合うのだ。

時に、観た後に「いいものを観た」と素直な感情に浸れる作品がある。
この映画はそんな作品のひとつ。

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"THE SOLOIST"
路上のソリスト
2009/USA/117min

監督:ジョー・ライト
製作:ゲイリー・フォスター/ラス・クラスノフ
原作:スティーヴ・ロペス
脚本:スザンナ・グラント
撮影:シーマス・マッガーヴェイ
音楽: ダリオ・マリアネッリ
出演:ジェイミー・フォックス/ロバート・ダウニー・Jr/キャサリン・キーナー
トム・ホランダー/リサゲイ・ハミルトン/スティーヴン・ルート
レイチェル・ハリス/アンジェラ・フェザーストーン/ジャスティン・マーティン

路上のソリスト [DVD]

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"SHINE A LIGHT(2008)"-ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト [movie-s]

なんて幸福な音楽と映像体験。
彼らを知っていても、知らなくとも、このステージは唯一無二。
The Rolling Stones "SHINE A LIGHT"

結成50年を迎えようかという化け物バンド、ローリング・ストーンズが、
NY ビーコン・シアターという小さな箱で演奏したライブを、
彼らと同年代の監督マーティン・スコセッシがドキュメンタリーとして完成した映画。
はじめは、スコセッシがストーンズのステージを撮るにあたっての懸案事項や、
バックステージ、準備の様子、心配性のスコセッシの様子や
なぜか元米大統領クリントンとその親戚たちだのが断片的に流れ(ここはいらないだろう)、
退屈というか「え??なんで??」というクエッションマークいっぱいの頭で観ていたのだけれど…
いったんステージが始まってしまうと、そんな退屈な感覚は一掃。
スコセッシの実力が光るのもここからと言えるだろう。
彼はここからの瞬間のために自らフィルムに登場していたのかもしれないと思う。

トップはキースのギターから始まるMy Favorite"Jumpin' Jack Flash"
これは以前担当していたブランドの展示会用に編集したCDのトップにも使わせてもらった思い出の曲。
題名通り軽やかにジャンプし、腰を振り、シャウトするミックと、
独特の存在感で圧倒するキース・リチャーズ、キュートなロン・ウッドと、
ストーンズ一、堅気な感じのチャーリー・ワッツ。
言葉など必要ない、至福の音楽体験スタート。
間に挟まれる昔の映像は現在の彼らを示唆、もしくは否定する形で進む。
前半のハイライトはThe White StirpesのJack Whiteと演奏する"Loving cup"と"名曲"As tears go by"
後者はマリアンヌ・フェイスフルでヒットした曲だけれど、聴いただけで涙を流せるくらい好きな曲。

中盤はカントリー調"Faraway Eyes"やマディ・ウォーター"Champagne & Reefer"
しかもBady Guyがゲスト。Bady Guyとミック、キースの掛け合いも見事。
そして文句なしの人気ナンバー"Tumbring Dice"
Happyなナンバーの連続に徐々に気持ちもあったまり、
バンドメンバーの紹介を経て後半戦へ突入。
キースがボーカルでロンがギターを受け持つ味のある2曲を経て、
再度ミックが登場する名曲"悪魔を憐れむ歌-Sympathy for the devil"の頃にはステージもかなりあたたまり、
ここからミックのステージングの切れ具合は真骨頂へ。
唯一の女性ゲスト、クリスティーナ・アギレラと絡む"LIVE WITH ME"
「かっこいいーーーーーーーー」の一言しかない。
もともとC.アギレラの歌唱力には一目置いていたけれど、
彼女とミックが融合することによって感じられた興奮は忘れ難い。
この曲にたいしてミックはひとこと"I loved it!!"
そして80年代のキャッチーな”Start Me Up"
名曲"BROWN SUGAR"と続き、
ラストは"(I CAN'T GET NO)SATISFACTION"

同時期のモンスターバンド、BEATLESは、ジョン・レノンというキーマンを失い、
バンドとしての存続が未来永劫不可能になってしまったけれど、
The Rolling Stonesは彼ら4人が生きている限り未来永劫続きそうな気がする。
彼らの音楽、バンドとしての矜持はそのサウンドだけでなく、
セクシーなその体型と1ステージ丸々動き続けられるそのバイタリティに現れている。
そりゃ、20代のころに比べれば絶対に老いているし、動きも悪いと思う。サウンドにしても然り。
普通に考えたら、鍛えているスポーツマンだって誰だって、20代の頃に比べたら絶対に運動量は落ちるから。
でも世間の同年代のおじさまたち、文句ばっかり言ってないでじっくり観てみてほしい。
ミックのあのセクシーな腰付きはどんな女でも引きつけられる…と思うけれど。
彼らのように幾つになってもあんな表情で熱くなれる男に惚れたいな。

あえて映画館ではなく、部屋でじっくり堪能で来て良かったかも
(なぜなら映画館なら周りが気になってエキサイトできないだろうから(笑))。
是非、70になってもその魅力で惚れ直させて欲しい、そんなバンドのステージ。

"SHINE A LIGHT"!!!!!!

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SHINE A LIGHT
ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト
2008/USA/122min

監督:マーティン・スコセッシ
製作:ヴィクトリア・ピアマン/マイケル・コール/ゼイン・ワイナー/スティーヴ・ビング
製作総指揮:ミック・ジャガー/キース・リチャーズ/ チャーリー・ワッツ/ロニー・ウッド
撮影:ロバート・リチャードソン
編集:デヴィッド・テデスキ
出演:ザ・ローリング・ストーンズ

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