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ことば [hitorigoto]

もう、発する言葉が見つからないくらい、
日々状況が悪くなる気がします。

いま心配されているのは、強い余震、そして福島原発の状況。
私の周囲でも大騒ぎしている人がいますが、
色々な専門家の意見を鑑みても、現状、東京での原発の影響は非常に少ないと思います。
買占めの場合もそうですが、

『不必要にパニックにならない』

これは災害時だけでなく、どんな場合でも必要な姿勢かもしれないと、
改めて気付かされました。
見るべきことが見えなくなる。これが一番怖い。
逃げ出そうとする人がいる一方で、福島原発への応援を自ら志願する方もいらっしゃいます。
福島原発のために不眠不休で危険と立ち向かう人たち、
事態の収拾に全身全霊で働く東電社員の人たち、
原発付近で日々恐怖と闘う人たち、
彼らのことを考えたら、たかだか通常値よりも高い放射線量の値を計測しただけで、
私たちは本当に恵まれた環境にいると思います。
放射能に対する未熟な知識も、不安感の一因かもしれません。

自分の生活や会社を捨てて逃げるのは構いません。
でもそこでの自分の行動には義務が生じていると思うし、
そこまでの生命の危険は東京にはいま存在しないと思います。
この後どのようになっていくかわかりませんが、
日本の経済状態が懸念される今、それぞれの会社、特に中小企業は必至だと思います。
そしてそれを支えるのはそれぞれの社員だとも思います。
政府を信じるか信じないかの差かもしれませんが、
東京へ退避勧告が出ていない以上、その危険は非常に低いのだと考えるべき。
退避勧告30km、東京は300km。
冷静に考えてみてください。
確かに被曝は怖い。子供を持っている方ならなおさら。
そういう人を否定しようとは思いません。
もし、使われているならいちどTwitterなどで関連情報を探してみてください。
たとえばこちら、東大放射線医療チームのTwitなどわかりやすく説明されています。
http://twitter.com/#!/team_nakagawa
もし恐怖をあおるようなコメントの書き込みがあったら、
その内容をいちど冷静な目で見ようとしてみてください。
情報がデマなのか、信頼性のおけるものなのか、それを判断するのも自分です。

私は東京と言う街、そしてこの街のカルチャーが好きだし、離れたくない。
家族も千葉に住んでいて、ふと思い立てば週末にすぐ帰ることもできます。
ここに住めなくなったらと思うのは怖い。
だからこそ今ある日常を大切に考えるのは、決して間違ってはいないと思います。

今日も都内では企業も、個人も節電を心がけています。
特に小売業界、飲食業界はわかりやすい打撃を受けていると思います。
こんなに暗い渋谷は初めて見ました。
20110316001.JPG
そしていつも渋谷で眼にするのがこちら。
岡本太郎の『明日の神話』
20110316002.JPG
この作品は原爆の炸裂する瞬間を描いた作品だそうです。
下記リンクの岡本敏子さんの文章を是非読んで、この作品を観てみてください。
彼のメッセージはこんな時だからこそ、皆に届く気がします。
http://www.1101.com/asunoshinwa/asunoshinwa.html
この絵のような強さをもって、日々を丁寧に生きたい。
今日改めてそう思いました。

怖いのはみんな一緒。
私も余震で毎日まともに睡眠がとれません。
被災地の人はもっと怖い思いをしているはず。
そして被災していない地域でも不安に思っている人は多くいるはず。

負けるな、日本。
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日本人は強い [hitorigoto]

東北地方太平洋沖地震発生から2日。

気象庁の発表はM9.0に更新され、未曾有の大災害との実感が次第に濃くなって行きます。
当面は生存者の捜索、そして避難されている方々のケアが最優先だと思います。
ライフラインが途絶えるだけで、これほどまでの不便を強いられるのかと愕然とします。
いまある便利な生活は、いかに脆いものだったかということを実感します。

Twitterなどを中心に、被災者を励ます言葉、被災地で役立つ有益な情報が色々な角度で発信されています。
東京はいまでこそライフラインはほぼ正常ですが、いつ何どき同様の状況になるか、
そしてこの後いつから正常な経済生活が送れるようになるのか、皆不安だと思います。
明日から輪番停電もスタートします。
福島の原発の影響も懸念され、また、いつ何時物資が不足するかと考え、
買占めに走る人もいるようです。その不安はわかります。
でもその不用意な買占めで本当に必要な人にまで物資がいきわたらなくなる可能性があります。
「自分さえ良ければ」という考えは、何があっても絶対に捨てなくては。

いま誰にでもできる、被災地への援助はまず「募金、節電」だと思います。
また、色んな形で被災地の人たちへ対する励ましを行う人々がいます。
それは募金だったり、物資の提供だったり、人や知識の提供だったりします。
それだけではなく、デザイナーやアーティストの作品に込めた思いだったりもします。
かりに自分に特殊能力がなくても、絶対にしてあげられることはあるはずです。
このようなブログでも少しですが読んでいただける方もいらっしゃるようですので、
是非、自分の出来ることを考えていただければなと思い、文章にさせていただきました。
都会に住んでいると、日常的に他人の行為で嫌な思いをすることもありますが、
日本人が持つまじめさ、あたたかさ、思いやりの精神を忘れたくないなと思います。
海外メディアは日本への同情、日本人のメンタリティや勤勉さへの高い評価を示しています。
今後、経済活動への甚大な影響が懸念されますが、
海外の好意的なスタンスは、日本にとっては復興に向けていい材料だと思います。
とは言え不安要素は山ほど。

当面は亡くなられた方の身元の確認、そして埋葬、
被災地の方々の一日も早い生活の復興が最優先だと思います。
色々なことがはっきりしてくるのはまだまだ先になるでしょうが、
「日本は強い、まだまだ捨てたもんじゃない」というところを全世界に発信して、
日本の再スタートをきることがとても重要だと思います。
菅政権の皆様、ネガティブにならず、日本の強さを正しい形で示してください。

We are strong.
We may need to love everybody.
SAVE JAPAN

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by TARO OKAMOTO

EARTHQUAKE [hitorigoto]

久しぶりの更新が、こんな内容になるなんて。

本当に、すごいことが起きてしまった、と言うのが実感です。

東京都内はまだライフラインも生きていて、
交通網もいったんは麻痺したものの、少しずつ機能し出し、
一瞬、普段の生活と変わらないと錯覚するような瞬間もありますが、
ただ、ひっきりなしの報道、そしてその内容は胸痛むものばかりです。

私はM8.8の地震発生時、五反田にある某ビルの13Fにあるセール会場で働いていて、
建物も古かったためかなり揺れ、
マネキンが倒れたり姿見やワゴンがめちゃめちゃになったりと、
周囲に什器や天井につり下げられたものも多く、人も多い環境だったため、一瞬パニックになりました。
セール開催事務局も混乱し、情報も錯綜、いったんは営業継続しそうでしたが、
強い余震が続いたため、出店企業のスタッフ含め、避難することとなりました。
何より不安だったのが情報の錯綜、携帯が繋がらずメールも送受信できない環境で、
とりあえず解散して会社に戻ろうとしたものの、
交通網の麻痺であちらに行ったりこちらに行ったりした挙句、
結局徒歩で渋谷に出ることに決め歩きました。
気温も低く、喘息で体調が悪かったため、しんどい思いもしましたが、
それくらいの負担だけで助かったこと自体に感謝しなくては、と思わされました。
会社に戻ると、ほとんどの人は徒歩等で帰宅した後でしたが、まだ何人も残っていて、
周囲のお店も普段通り営業しているところもあり、
少しお店は探しましたが、何人かで夕食も普通にとることができました。
夜も三宿に住む会社の子の家に泊めてもらい、
不安ながら、周りに助け合える人がいる環境で過ごすこともできました。
家族も、母は自宅、妹は会社、父は外出先で無事が確認でき、
父親が手術後久しぶりにひとりでの外出だったのでとても心配でしたが、
夜は避難所で過ごすこともでき、今日昼ごろ無事に自宅に帰ることができたようでホッとしています。
しかし、高齢の祖父はじめ、多くの母方の親類が、
ライフライン及び交通網の制限されている山形にいるので少し心配もしています。
一方で、今日は徒歩で少し大きな駅まで行き、ある程度の食料の確保もできました。
一見街は普通でしたが、薬局やスーパーで長蛇の列を作る人々の姿や、
空っぽになった棚をみるとやはり今が異常事態だということを認識させられます。

今夜も余震は続いています。
会社の人が「地球が悲鳴をあげているんだよ」と言っていました。
特に被害の多い宮城、岩手、福島、そしてライフラインに影響の出ている他の東北地方、
茨城、そして甲信越地方、みなさん不安な夜を過ごされていると思います。
福島原発の状況も心配です。
なにより津波で壊滅状態になった沿岸の街で生き残られた方々は本当に胸を痛めていると思います。
Twitterなどをみていると全世界からの励まし、有益な情報など、みんなが祈り、考えていることがわかり、
こんなに皆が団結ができるんだ、という空気が、いま唯一の救いかもしれません。
いまできること、私にできること、少しですが例えば電力の節約、ちょっとした募金など、
できる限り考えたいと思います。

父方のお墓が仙台市内にあります。
2年前に亡くなった祖母、私の生まれる前に亡くなった祖父も眠っています。
亡くなられた方のご冥福を、残された方、住むところを失った方のご健康と心の平安、
一日も早いライフラインの復旧、普段通りの生活の復旧をひたすら祈るしかありません。

被災地で懸命に生存者の捜索をされている方々、
医療従事者の方々、警察や役場の方々、
原発初め電力や水道、ガス、交通、通信等々、ライフラインを支えるために必死になっている方々、
夜を徹して報道を続ける方々、物資を届ける運送会社の方々、等々、
自らを犠牲にして被災地のため、頑張る方々の無事もお祈りします。

God bless you and thank you all.
Pray for peace.
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いま、みなさんに見てほしいリンクを少し紹介します。


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"MOON-月に囚われた男"(2009) [movie-m]

さて大人しく久々に映画でも観ようと思ってチョイスしたのがこちら。
『月に囚われた男』
監督のダンカン・ジョーンズがデイビッド・ボウイの息子と言うこともあってか話題になり、
評判もよくずっと気になっていた作品。

いい映画の条件のひとつに、『設定が面白い』という条件があると思う。
いかに優秀な役者が集まっていても、設定ひとつで観客の作品に対する興味はがらりと変わる。
SFというジャンルは好き嫌いがはっきり出やすい傾向があると思うので、
一概に皆が面白いと思うわけではないかもしれないけれど、
低予算で、限られた条件で作らなくてはならなかったからこその良さが感じられた。


枯渇した地球のエネルギーを補うために、
月の裏側から採取されるエネルギー源ヘリウム3が地球を救うクリーンエネルギーとして注目される時代。
地球のエネルギー供給の70%を占めるヘリウム3の採掘を一手に引き受けるルナ産業(LUNAR)との契約で、
3年の期限で月にある基地に送り込まれるのがサム・ロックウェル演じるサム・ベル。
採掘作業から抽出、精製まではオートメーションで、
サムは採掘されたエネルギーをロケットで地球に送るだけの仕事のために雇われている。
3年の契約期限にあと2週間と迫り、愛する妻と娘に会う直前で、サムは事故を起こしてしまう。
その事故の後、次々と不可思議なことが起こり始め、サムを追い詰めてゆく…。
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最近のSFで言えば、"第9地区”の『宇宙人との共存』という設定ほどのインパクトはないけれど、
低予算のインディペンデント映画ならではのリアリティを感じさせる仕上がりになっていると思う。
ただしちょっと意地悪なことを言ってしまうと、普通、月で誰かに仕事をさせるとしても、
たった一人で仕事をさせるリスクや、雇用者の精神状態を懸念すると、
どんな企業もひとりで仕事をさせる、という選択はしないような気もする。
しかもなんせ地球の70%ものエネルギー供給をカバーする重要な仕事。
エネルギー供給が突如途絶えたら大変なことになるかもと思うけれど、
そこを突いてしまうとこの映画は成り立たないので無視するとしよう(笑)。
理由はネタばれするので書きませんが、だからこそサムが選ばれているとも言えるけれど。
とにかく、基地の中はサムと彼をサポートするロボット、ガーティ(GERTY)のみ。
ルナ産業という企業の得体のしれない不気味さみたいなものも、重要なファクターのひとつになっている。
冒頭の宣伝やロゴデザイン、時折交信映像を送ってくる本社の人間、そして基地の無機質な空間。
基地内の壁に英語と並んでハングル文字がデザインされているのも、
ルナ産業が大きな企業で(アメリカ資本だけではなく韓国の資本が入っているとも想像される)、
サムがその中で取るに足らない雇用者であることを暗に示唆しているような気がした。
また、ハングルと並んで壁に書かれている英字のSARANGは、韓国語で「愛、親愛」を意味していて、
監督の遊び心なんだろうなと思わされる。
トリッキーな視点のスイッチもあったり、随所に仕掛けられたキャッチ(引っかかり)で観客は違和感を感じ、
想像を膨らませ、物事を見てしまうようになっていくのではないだろうか。
そしてほとんど唯一の出演者といってよい、サム・ロックウェルの存在。
前々から気になる役者だったけれど、月の基地でただ一人暮らす男のリアリティを見事に演じただけでなく、
さらにはそのあとの特異な展開で追い詰められていくサムを見ていると、
今作にかかる前からサム・ロックウェルにラブコールを送り、
ついには彼のためにこの作品のストーリーを用意したダンカン・ジョーンズの気持ちがよくわかる。
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そしてもし、SF映画好きでよく見ている人ならば、
ダンカン・ジョーンズが捧げた過去のSF映画へのオマージュも見て楽しむポイントの一つになるだろう。
個人的にはロボット・ガーティの声にケヴィン・スペイシーを持ってきたところがツボだったけれど。
2001:SPACE ODESSEYの有名なロボットHAL2000を髣髴とさせるが、
HALと対照的な人間臭いキャラクターが、ケヴィン・スペイシーの声でさらに深みを増していると思う。
DVDではダンカン・ジョーンズ監督へのQ&Aなども収録されていて、
インディペンデントフィルムらしい裏話や、実際のセットなども見られて興味深い。

冬に、温かいものでも飲みながらじっくり観たい秀作。
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MOON
月に囚われた男
2009/UK/97min

監督:ダンカン・ジョーンズ
原案:ダンカン・ジョーンズ
脚本:ネイサン・パーカー
撮影:ゲイリー・ショウ
衣装デザイン:ジェーン・ペトリ
編集:ニコラス・ガスター
音楽:クリント・マンセル
出演:サム・ロックウェル/ドミニク・マケリゴット/カヤ・スコデラーリオ
ベネディクト・ウォン/マット・ベリー/マルコム・スチュワート
声の出演:ケヴィン・スペイシー


月に囚(とら)われた男 コレクターズ・エディション [DVD]

月に囚(とら)われた男 コレクターズ・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD


監督、お父さんとはあんまり似てませんね。
『月に囚われた男』『地球に落ちて来た男』DVD-BOX

『月に囚われた男』『地球に落ちて来た男』DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD



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近況 [hitorigoto]

またも久々の更新になってしまいました。
ここのところ色々あって…というかまだ渦中にいて…。
はっきりしたことは言えませんが、ちょっとバタバタしてます。

そして、最近体調が悪かったので、アレルギーの血液検査を受けました。

そうしたら。

★ハウスダストとダニに対する高いアレルギー反応
★アミロイドA蛋白の数値が高い(何だかわからないけれど、炎症反応みたいなものが出ているらしい)
★百日咳の抗体の測定値が高い

なんだか色々問題ありそうです…。
先生に言わせると「あなたは喘息」と言うことらしい。
症状が出ていなくても、定期的に通院し、薬を飲んでこれらの数値を下げないと危ないとのこと。
喘息って突然死するらしいですね。怖い。
元々子供の頃アレルギー体質で小児喘息で、
大人になって治ったと勘違いしてましたが体質は一生変わらないらしいです。
まあ歳とったこともあって、色々とぼろが出てきたんでしょうね。
それに仕事がアパレル系で、しかもここ数年店頭やセール会場で働く機会も多かったので、
疲労&ハウスダストにやられてきたのがついに表面に出てきてしまったみたい。
うーん、いまさらだけど業界変えるかな(笑)。

ともあれ、最近無理が利かないなぁと感じていたので、
これを気に生活習慣見直さないと、と反省。
やっぱり健康がいちばん。
この週末は2日続けて自宅近くの神田川沿いを軽くwalking&runningしてみました。
天気が良くて気持ち良かったー。
でもいきなり太もも筋肉痛です。運動不足過ぎ(笑)。
とは言えこの週末でいきなり体重も1キロくらい落ち、
体脂肪も1.5%ほど減りました!! 感動!!
なんか痩せたのは違う要因もありそうだけれど(笑)。

しばらく続けてみたいと思います。
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小谷元彦展"幽体の知覚"@森美術館 [ART]

久しぶりの更新。

今回はサボっていたわけではなく、my vaioの液晶が急に乱れるようになり、
ついにはお亡くなりになってしまったので、修理に出してました。
結構昔からsony製品好きでデジカメもサイバーショットですが、
愛機は3年で2回も壊れているので、「vaioは壊れやすい」は本当かなと思う今日この頃。
修理窓口の対応もいまいちでかなり時間もかかったけれど、
この機種特有の不具合だったらしく、マザーボード交換でデータもそのまま、無時手元に。

それにしてもiphoneに替えていてよかったと切実に思いました。
PCが手元になかった間、iphoneがなかったら不便で仕方なかったはず。
でもblogの更新はやっぱりiphoneじゃ無理…so-netブログのアプリは使い方もよくわからず、
アプリ用IDの発行の仕方がいまだよくわかりません。それにしても直ってよかった。

さて、更新できなかった間に見た映画、アートのレビューを少しずつしていこうかなと思います。

先週珍しく用事があって訪れた六本木ヒルズ。
木・金は美術館が夜遅くまでやっていることもあって、覗いてみました。
小谷元彦展"幽体の知覚”
と、その前に、自分へのご褒美ビール&ヒルズの夜景。
20110203.JPG

さて、小谷元彦。
初めて作品を目にしたけれど…、東京藝術大学で彫刻を学び、その後は彫刻にとどまらず、
痛みと恐怖、美しさと醜くさ、生と死、聖と俗の多層的なイメージを幅広い手法で具象化するアーティスト。
人間の不安定なこころの柔らかい部分を、的確にえぐるようなシュールな作品が特徴。
真っ白な会場に、ぽつりぽつりとインパクトの強い作品が、テーマごとに並べられている。
初めは剥製などを使った、リアリスティックな作品を多く展示。
ERECTRO(banbi), 2003.jpg
Electro (Bambi)
エレクトロ(バンビ)2003

Human Lesson (Dress 01), 1996.jpg
Human Lesson (Dress01)
ヒューマン・レッスン (ドレス01) 1996

Skeleton ,2003.jpg
Skelton
スケルトン 2003

そして、『ダイイング・スレイブ(瀕死の奴隷』シリーズでは、
無数の突起を持つ巨大な頭蓋骨が、ゆっくり回り続けている。
語彙が少なくて申し訳ないけれど、とてつもなくシュルレアリスティックな空間。

そして圧巻だったのがこちら。
Inferno.jpg
Inferno
インフェルノ 2008-10

映像を映し出す八面の壁に囲われた空間で、中に入ると滝のごとく水の流れる映像に囲まれる。
その水の流れも時々リワインドしたり、ストップしたり、非現実的空間の体験に興奮。
床も天井も鏡になっていて、本当に吸い込まれそうな気がしてしまう。地に足が付いている感じがしない、浮遊感もある。
なんだか出た後は少し感覚がマヒしているかのような気分になった。

その後のSP2『New born』シリーズは静けさに満ちた、清冽な白の連なりが印象的な作品群。
架空の生き物の骨や化石のようなオブジェを並べた空間は、理科室や博物館を思わせる空気。
SP2 New Born(Viper A), 2007.jpg
SP2 Newborn"Viper"
ニューボーン(ヴァイパー) 2007

そして圧巻のSP4"the specter"シリーズ。
異形の者たちを表したリアリスティックな彫刻群は観る者を圧倒する。
馬も、人も、生きながら皮をはがれ、そのままゾンビになったようなリアルさ。
夢に出てきそうな不気味な迫力。
SP4 the specter -What wanders around in every mind-, 2009.jpg
SP4:The Specter-What wanders around in every mind
ザ・スペクター"すべての人の脳内で徘徊するもの” 2009

SP4 the specter -Arabesque woman with a heart-, 2009.jpg
SP4:The Specter-Arabesque woman with a heart
ザ・スペクター"心臓を持つ唐草女” 2009

そして打って変わって次の『ホロウ』シリーズはまた白く不気味さを湛えた静けさと、
微妙なバランス感覚に満ちた作品群。
hollow.jpg
Hollow:Duplex
ホロウ:デュプレックス 2009

ビデオインスタレーションNo.44は、六本木の夜景をバックに、
小谷自身の血が混じったシャボン玉を映し出す、こちらも痛みとともにある美しさを感じさせられた。

最後のヴィデオ作品はPOPな、でも小谷ワールドを髣髴させる少女の世界を映し出す。

観終わった後に、喪失感と満足感、相反するふたつの感情を湧きあがらせる、
観る者を圧倒し、何かを考えさせる、そんな展示だった。
この人の頭の中は一体どうなっているんだろうと疑わせる、
才能っていうのは、存在するんだな、ということをひしひしと感じさせる作品群。
好き嫌いはあるだろうけれど、アートの力を信じさせてくれる、そんな強さを感じた。

お腹いっぱいでもう観たくない気もするけれど、もういちど一度観たくなるような気もする。

SP Extra malformed Noh mask series half skeleton's twins, 2007.jpg
SP extra Leatherface is sculptoe"World is Beautiful" 2007

2/27まで。


小谷元彦 幽体の知覚 Odani Motohiko Phantom Limb

小谷元彦 幽体の知覚 Odani Motohiko Phantom Limb

  • 作者: 小谷元彦
  • 出版社/メーカー: 美術出版社
  • 発売日: 2011/01/26
  • メディア: 単行本



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"JANE EYRE-ジェーン・エア(1944)" [movie-j]

オーソン・ウェルズつながりの一本。
ブロンテ姉妹の長女、シャーロットが物したセンチメンタルでドラマティックな小説、
『ジェーン・エア』を映画化した作品。
まだ私が感じやすい十代(笑)だったころ、かなり熱中して何度も読んだ小説で、
『嵐が丘』にも熱中したけれど、さらにこちらのほうが好きだったのは、
きっと、ヒーローもヒロインも魅力的だけれど「美しくはない」と描写されてるところが、多分なんとなくツボだったのだと思う。
嵐が丘のキャサリンには傲慢さを感じてしまってあまり感情移入できなかったけれど、
ジェーン・エアの不幸な境遇、その中ではぐくまれた芯の強さ、そんなところに惹かれたのだろう。
美しい、華やか、ただそれだけというよりもちょっとした暗さを感じるものの方がより面白い。

映画自体は名画、という雰囲気で、どうもこれといって演出やカットがすばらしい、
と思うところはなかったのだけれど、
ストーリーを実にリアルにまとめ、原作の雰囲気を見事に伝えている。
それはロチェスターを演じるオーソン・ウェルズの怪優ぶりと、
ヒロインであるジョーン・フォンテインの美しくも儚く、静かで物悲しい佇まいの賜物だと思う。
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それにしても、孤児で、養い親には虐待され、
入れられた教育施設は過酷な環境で、親友を亡くすという不幸な目に会い、
そして家庭教師として勤めた先で裕福な雇い主と恋に落ちるものの、
彼には病気で狂った奥方がいて、教会に結婚を認めてもらえないという、
普通に考えたらどこかの時点で自殺でもしたくなるくらいのストーリーだけれど、
淡々と、境遇を受け止め、揺るがない強い美しさを持っている、というところがいいのかもしれない。
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大仰な台詞回しも、なんとなく自然に感じられる。
エリザベス・テイラーも出演していて、当然のように美しかったけれど、
ジョーン・フォンテイン、テイラーを太陽とすると、月のような雰囲気の女優だな、と思った。
けれどプライベートは結構激しい人だったようで、そのギャップもちょっと面白い。


JANE EYRE
ジェーン・エア(1944)
1944/USA/96min

監督:ロバート・スティーヴンソン
製作:ウィリアム・ゲッツ
原作:シャーロット・ブロンテ
脚本:ロバート・スティーヴンソン/オルダス・ハクスレイ/ジョン・ハウスコン
撮影:ジョージ・バーソン
音楽:バーナード・ハーマン
出演:オーソン・ウェルズ/ジョーン・フォンテイン/マーガレット・オブライエン
ペギー・アン・ガーナー/エリザベス・テイラー/メエ・マーシュ/アグネス・ムーアヘッド

原作もぜひ。

ジェーン・エア (上) (新潮文庫)

ジェーン・エア (上) (新潮文庫)

  • 作者: C・ブロンテ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1953/02
  • メディア: 文庫


ジェーン・エア (下巻) (新潮文庫)

ジェーン・エア (下巻) (新潮文庫)

  • 作者: C・ブロンテ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1954/01
  • メディア: 文庫



ジェーン・エア [DVD] FRT-011

ジェーン・エア [DVD] FRT-011

  • 出版社/メーカー: ファーストトレーディング
  • メディア: DVD



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"DRUGSTORE COWBOY-ドラッグストアカウボーイ"(1989) [movie-d]

ガス・ヴァン・サント監督作品の中で一番初めに観たのが、
この『ドラッグ・ストア・カウボーイ』だった。
当時高校生だった私はマット・ディロンとケリー・リンチのカッコよさにやられ、
ヘザー・グレアムのお人形めいたスタイルと美しさに、
アンドロイド役をやらせたらいいんじゃないかと空想したものだった。
ちなみに原作はジェームズ・フォーグル。
昨年73歳にして、薬局強盗をやらかし捕まっているというしょーもない爺さん。
筋金入りとはこういうことか、となんだか納得してしまうのが怖い(笑)。
そんなリアリティも含め、今思えば、『トレインスポッティング』の7年も前に、
同じジャンキーを主人公にして、こんなにもスタイリッシュな作品を撮っていたなんて、
改めて観返してみて、やはり彼の志向とそのぶれない作品づくりに驚嘆する。
マット・ディロンはじめケリー・リンチら、キャスティングもいい味を出していると思うけれど、
極めつけが、生涯をドラッグとともに生きたジャンキーの生き字引のような「神父役」にウィリアム・バロウズ。
彼が嬉々として薬を選りわけるシーンで、またさらにこの作品はリアリティを増す。

70年代はじめ、オレゴン州ポートランド。
マット・ディロン演じる主人公ボブはケリー・リンチ演じる妻ダイアンと、
ジェームズ・レグロス演じる相棒、そしてヘザー・グレアム演じるナディーンとチームを組んで、
薬を求めてドラッグストアや病院で荒っぽい犯行を繰り返す。
前半はとにかく彼らの行状をテンポの良いカメラワークで見せてゆく。
時に薬でトリップしている彼らの様子を映像で表すその解釈も、
何作も彼の作品を観た後で観ると、とにかくガス・ヴァン・サントらしく感じられる。
dragstorecowboy 001.jpg
それってどういう感じ?と言われるとなかなか説明が難しいけれど、
紗がかかっているような、ふわりとした、他者の、暖かくもなく冷たくもない視線と言おうか。
トリップ中の映像に関してはトレインスポッティングの方が凝っているなとは思うけれど、
私は経験がないのでどちらが近いとも言い難い。
様々なトラブルがあっても、とにかく彼らの目指すものは一つ。ドラッグ。
そんな状況が一変するのは、ナディーンに起こる不幸があってから。
それに続く一連のトラブルの後、ボブに心境の変化が現れる。

後半はそんなボブが中毒の治療を受けるところが描かれているが、
前半後半ともにこの作品に感じるのは、
薬がいいとも悪いともはっきりした意思表示をせず、
ただ淡々と「ドラッグストア・カウボーイ」たちの生態を映し出す、その冷静な視線。
処女作マラノーチェから一貫して続く、ガス・ヴァン・サント独特の、世間に対する目線と言おうか。
この目線が嫌いな人は多分彼の作品に抵抗を感じ、
この目線に何かしら感じるものがあれば、彼の作品を続けて観ることになるのだろうと思う。
私はもちろん後者だし、彼の作品は『大好き』というわけではないのに、
何度となく観たくなってしまう。これも一種の中毒かもしれない。

相変わらずガス・ヴァン・サントの撮る空は悲しくも美しい。

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DRUGSTORE COWBOY
ドラッグストア・カウボーイ
1989/USA/100min

監督:ガス・ヴァン・サント
原作:ジェームズ・フォーグル
脚本:ガス・ヴァン・サント/ダニエル・ヨスト
撮影:ロバート・イェーマン
音楽:エリオット・ゴールデンサール
出演:マット・ディロン/ケリー・リンチ/ジェームズ・レグロス/ジェームズ・レマー
ヘザー・グレアム/ウィリアム・S・バロウズ


ドラッグストア・カウボーイ [DVD]

ドラッグストア・カウボーイ [DVD]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD


筋金入り
ドラッグストア・カウボーイ (角川文庫)

ドラッグストア・カウボーイ (角川文庫)

  • 作者: ジェームス フォーグル
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1990/08
  • メディア: 文庫


バロウズの代表作
裸のランチ (河出文庫)

裸のランチ (河出文庫)

  • 作者: ウィリアム・バロウズ
  • 出版社/メーカー: 河出書房
  • 発売日: 2003/08/07
  • メディア: 文庫


タイトル通り
ジャンキー (河出文庫)

ジャンキー (河出文庫)

  • 作者: ウィリアム バロウズ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2003/12
  • メディア: 文庫



発熱~東京都写真美術館~新年の抱負 [ART]

熱を出して寝込んで以来、久々に電車に乗ってお出かけ。
なんだか街が新鮮に見える。
今日は雲が多いからか、空の表情の変化が面白い。
夕暮れ間近な恵比寿で雲の隙間から覗く光が印象的で、横断歩道の途中からついSHOOT。
20110130001.JPG

さて、何しに恵比寿に来たかというと、これを観に来ました。
20110130002.JPG
収蔵作品展 [かがやきの瞬間]スナップショットの魅力
技術的なことはよくわからないけれど、
私はこういうスナップショット的な空気を切り取る何気ない一枚に心惹かれる傾向にあるらしい。
収蔵作品展、ということで、ブレッソンや木村伊兵衛など、以前見た作品もあったけれど、
特別展示で以下の作品群も展示されている。

ポール・フスコ 「RFK Funeral Train」
これが何と言っても一番おもしろかった。
Paul Fusco 001.jpg
Paul Fusco 002.jpg
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1968年、ロバート・ケネディが暗殺され国葬を行うため、
NYからワシントンDCに電車で遺体を移動させる際に、
電車の窓から哀悼するアメリカ国民の姿を捉えた作品なのだそうだけれど、
老いも若きも、白いのも黒いのも、一斉に駅のホームからJFKを見送っている写真があるかと思えば、
流行りの格好でジャクリーン風のヘアスタイルにサングラスで決めた女性をフィーチャーしたショットや、
スポーツの応援張りに横断幕を掲げて見送る人がいたり、
田舎道の真ん中で、等間隔に背の順に整列して並んで見送る家族らしい一団がいたり、
本来であれば主役として被写体になるであろう、JFKの葬送列車やその棺桶ではなく、
彼を見送る観衆である人々を被写体として、一連の作品群としたところが憎い。
大勢の人々の表情ひとつひとつ見ていてもかなり面白い。

ザ・サートリアリスト(スコット・シューマン)
この人のスナップショットはかなりセンスあると思います。
興味のある方は是非ブログを。
最近タビーちゃんのthe style rookie初めファッションブロガーが取り沙汰されていたり、
雑誌でもwebでも街角ファッションスナップがもてはやされていますが、
この人のそれは、ファッションだけに偏らない、市井を切り取る鋭さも感じられます。
それがいちいちオシャレで心憎いことこの上ない。

鷹野隆大「カスババ」
「カスババ」とは、カスのような場所「カスバ」の複数形、
だそうだけれど、その名の通り、写真の題材にするには???と思えるような作品群。
それが狙い…なのだろうけれど、これはちっとも面白いと思えなかった。

…といったニューカマーに加え、
一番頭に展示されているマーティン・ムンカッチ、
私の聞いたことのない写真家だったけれど、この一枚は見たことがあった。
martin munkacsi 001.jpg
この作品以外にも衣類の動きを軽妙に捉えた作品や、
人が思い切りよく動いている瞬間をうまく捉えた作品など、
「動」の中の「静」の表現に長けた人だなぁと思った。

そして私でも名前を聞いたことのあるリチャード・アヴェドン。
このムンカッチへのオマージュ、カルメンの一枚のこのスタイリッシュなショット!!
richard avedon 001.jpg
個人的には被写体の着ているブランド名も見比べながら楽しめた。
お気に入りはスージー・パーカー、ランバン・カスティーヨのイブニングドレス、パリのカフェ。
richard-avedon-suzy-parker-suzy-parker-evening-dress-by-lanvin-castillo-cafe-des-beaux-arts-paris-august-1956.jpg
うーん、おサレ。

ジャック・アンリ・ラルティーグは従妹や身近な被写体の、
軽快な動きのその一瞬を鮮やかに切り取る手腕が見事。
「ACFグランプリのドラージュ車(1912/6/24)」は、
以前横浜美術館でも観た人と車の対照的な写りこみ方が素晴らしい一枚。

木村伊兵衛はじめ臼井薫、土田ヒロミ、アラーキー、深瀬昌久などの日本の写真家たちは、
人々の表情、何とも言えない物悲しくもおかしみを醸し出す感じがすごい。
森山大道は北海道から数枚。相変わらずの力強さが北の大地とマッチして、素敵。

もう一人、忘れられないのがウォーカー・エヴァンズ。
地下鉄ポートレイトからの12点は、
地下鉄の乗客の、何とも言えない気だるい表情を映した秀作。
dd_evans-subway.jpg
それにしても自分が電車でぼーっとしてる所などあまり撮られたくないものだけれど(笑)。

何気ない作品が多かったけれど、結構満足できる内容の展示だった。


そうそう、もうそろそろ2月になろうかというところですが、
新年の抱負(プライベートバージョン)を3つ。

1 最低3kgのダイエットを敢行。そしてよく歩くこと。
たぶん歩けばすぐ痩せるはず(普段何の運動もしていないから)
ちなみにここ最近病気で寝込むたびに2kgくらいはすぐに減るのですが、すぐにリバウンドします。

2 100冊の本を読み、100本の映画を観る
…映画、の方は、結構過去の作品を観直していたり、
熱出して会社休んで治りかけは家で大人しくDVD観たりしていたので、
今のところ順調なのですが、本の方はまだ3冊目…早くも挫折しそうです。

3 英語ぺらぺらになる
…には1年じゃ無理か。でもなるべく英語を取り入れた生活を心がける。
今度こそ本気で英語習得に向けて頑張る…これも英会話スクールの学費が続かないかなー。
でも簡単でいいので、英語ブログもやってみたいと思う今日この頃。さすがに映画レビューは無理でしょうが。

熱出したおかげで思いがけず5連休!!!!を取ってしまったので、
明日からの会社が恐ろしく憂鬱です。
そしてなんだか私のvaioの調子がよろしくなく(画面が真っ暗になる)、
機種の不具合らしいですがタイミング合えば明日からしばらく修理に出すので、
予約投稿分以降はしばらくブログもお預けになります。多分。

あぁ、憂鬱…。



これ、6月発売らしいですが、興味をそそられるタイトル。
Eyewitness: Brassai, Capa, Kertesz, Moholy-Nagy, Munkasci

Eyewitness: Brassai, Capa, Kertesz, Moholy-Nagy, Munkasci

  • 作者: Peter Baki
  • 出版社/メーカー: Royal Academy of Arts
  • 発売日: 2011/06/06
  • メディア: ハードカバー


Richard Avedon: Photographs 1946-2004

Richard Avedon: Photographs 1946-2004

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Louisiana Museum of Modern Art
  • 発売日: 2007/12/15
  • メディア: ハードカバー


The Sartorialist

The Sartorialist

  • 作者: Scott Schuman
  • 出版社/メーカー: Penguin (Non-Classics)
  • 発売日: 2009/08
  • メディア: ペーパーバック


RFK

RFK

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Aperture
  • 発売日: 2008/09
  • メディア: ハードカバー



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"第三の男-The Third Man"(1949) [movie-t]

何となく、昔の映画が観たくなってAmazonで衝動買いしてしまったのがこちら。



『第三の男』『市民ケーン』『ジェーン・エア』三作でなんと999円の大特価。
『市民ケーン』は学生のときに観ていたものの、他の二作は未見だったので、
せっかくなので購入してみることにする。


日本では某メーカーのビールのCMで有名なアントン・カラスのツィターの音色で幕を開けるこの作品。
作中もこの『ハリー・ライムのテーマ』はしつこいくらいに様々な使われ方をしている。
原作はグレアム・グリーンが脚本を書き下ろしたフィルム・ノワール。
第二次大戦直後のウィーン。米・ソ・英・仏の四カ国により、
四分割統治されるこの街に、アメリカからホリー・マーチンス(ジョセフ・コットン)という一人の小説家がやってくる。
彼はハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)という友人に呼ばれこの街に来たのだけれど、
その当の友人が、彼が来る直前に交通事故で亡くなったと知らされる。
ライムの葬儀に立ち会ったホリーは、イギリス軍のキャロウェイ少佐から、
彼が闇取引をしていた悪人だと知らされるが、信じることができない。
彼の死の状況に疑問を持ち、独自に事件の調査をはじめたホリーは、
ライムの恋人アンナに出会い、二人で事件の目撃者である宿の門衛に話を聞き、
現場に未知の<第三の男>がいたことを突き止めるが、門衛は何者かに殺害され、
ホリーがその犯人と疑われて警察に追われる羽目になってしまう…

展開はスピード感があり、せりふ回しもいちいちしゃれているのが憎い。
光と影の使い方にも圧倒させられる。
1カット1カットが計算しつくされ、無駄な贅肉のようなものが一切ない。
驚嘆すべきセンスだと思う。
特にホリーがハリーを見かけるも見失ってしまうシーンの猫の使い方、光の使い方。
影の中に浮かび上がるハリー=オーソン・ウェルズの微妙な表情の作り方の巧さ。
観覧車のシーンでの計算しつくされた絶妙なアングル。緊張感を誘うやり取り。
クライマックスの下水道での追跡劇の計算しつくされた影の動き。
ラスト、一発の銃声の行方を観客に想像させる余裕の演出。
伏線を幾重にも張ったプロットの絶妙さも素晴らしい。
そしてエンディングまで余韻を残す一人の女と二人の男の関係性。
私が『好きになる』映画とは何とはなしに肌合いが違うのだけれど、
どこを切り取っても、名作、の名に恥じない映画だと思った。
the third man.jpg

THE THIRD MAN
第三の男
1949/UK/105min

監督:キャロル・リード
製作:キャロル・リード
デヴィッド・O・セルズニック
アレクサンダー・コルダ
原作:グレアム・グリーン
脚本:グレアム・グリーン
撮影:ロバート・クラスカー
音楽:アントン・カラス
出演:ジョセフ・コットン/オーソン・ウェルズ/アリダ・ヴァリ
トレヴァー・ハワード/バーナード・リー/ジェフリー・キーン/エルンスト・ドイッチュ

こちらも捨てがたい、淀川さん解説付き^^

第三の男【淀川長治解説映像付き】 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)
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