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iPhone壊れる [hitorigoto]

昨日は前の会社の先輩方や同期とちょっとした会を。
2時間以上かけてわざわざ遠くから来てくれた同期は、
ひとりが同い年、ひとりは何と4つも年下なのに、
ふたりとも二児の父と母になっていて、いやー、時の流れに愕然としました。
いまだふらふらしている私に比べてふたりの何とまともなこと…(笑)
その上もうひとり、ひとつ下の同期も長年付き合った彼とついに入籍。
めでたいし嬉しいのですが、人の節目って何だか自分にも考えるきっかけをくれる気がします。

ところでお店のアレンジやみんなへの連絡を私がしていたんですが、
そんなときにiPhoneが突然不調に。
電話をかけるのも受けるのも普通にできて、
相手の声はこちらに聞こえるものの、なぜか私の声が相手に聞こえないらしいんです。
私はクリアに聞こえるのに…。
今日会社の人に協力してもらって試してみたらviberだと普通に話せるものの、
通常の電話だとまったくもって私の声が聞こえないらしい。
謎…。
appleにもsoftbankにも行きましたが、とりあえずバックアップとって復元しろとのことなので、
やってみるかな…しかし通話ができないのはとりあえず困ります。

さて、昨日の会で珍しくお花をいただきました。
人からもらうお花はちょっと嬉しいです。
が、私の家には何と花瓶がない上に、荷物が多くて棚の上には置く場所がないので、ちょっとしたコップにINして床の上に(笑)。
なんとなーく締まらないけど…。
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後日談


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"WALL STREET-ウォール街"(1987) [movie-w]

なんだか落ち着かない毎日が続いていて、すっかりブログがおろそかになっていました。
先週、先々週と出張続きです。
さて最近はというと…週に3日はWalk&Runしてます。
とうとう体重が高校時代以来の最高値を記録し、本気ダイエットのスタート。
家の近くの川沿いは緑が多くて環境も抜群、4月~5月はいちばんいい季節ですが、
最初はなかなか朝起きられず…でも慣れると本当に気持ちいい。
梅雨~夏は…果たして続けられるか疑問ですが…(笑)
この年齢になるとメンテナンスの大切さに気付きますね。

さて、がん闘病中のマイケル・ダグラス出演で話題になった『ウォール・ストリート』の1作目。
いまだ未見だったので、これを機会に観てみることに。

正直あまり興味のない金融業界の話、面白いと思えるのか少し疑問に感じながら観ていたけれど…
これがいい意味でも悪い意味でもとてもアメリカ的で、キーになる粋な台詞の存在もあり、
メリハリのあるストーリー運びとなっていて、思っていたより魅力的に感じられる作品だった。
あらすじは、出世願望の強い若手証券マン、バド・フォックスが、業界のフィクサーであるゴードン・ゲッコーに取り入り、出世階段を駆け上がるが、
資本主義社会と業界の裏側を目の当たりにし目を覚ますという物語。
ゴードンとの関係が深みにはまってゆく転換となるシーンで、
ゴードンに汚れ仕事を頼まれ、いったんは断ったものの、ゴードンに車から放り出され、
一瞬の逡巡のあとにバドがゴードンに"You got me."と言い放つところが印象的だ。
こういう気のきいた台詞の使い方、テンポよい台詞回しがずいぶんある。
一匹狼のゴードンがバドに目をかけるようになる経緯もディテールをきちんと描いていて、
オリヴァー・ストーンの粘着質かつシニシズムに溢れた作品作りはここでも健在。
彼の作品は特に国内で賛否両論あるものが多いというが、
この作品もそう言った意味で当時波紋を及ぼしたらしい。
金融業界のことを知らずとも楽しめるのは、業界の内幕だけでなく、
バドとゴードン、バドと父親の関係性(C.シーンの実の父親、マーティン・シーンが父親を演じている)
が巧く描かれているからだろう。
マイケル・ダグラスの怪演が、この作品の魅力を下支えしている。
彼の敵役としてテレンス・スタンプが冷酷なイギリス人投資家を演じているのも一興。

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ウォール街
WALL STREET
1987/USA/124min

監督:オリヴァー・ストーン
製作:エドワード・R・プレスマン/オリヴァー・ストーン
撮影:ロバート・リチャードソン
プロダクションデザイン:スティーヴン・ヘンドリクソン
編集:クレア・シンプソン
音楽:スチュワート・コープランド
出演:マイケル・ダグラス/チャーリー・シーン/ダリル・ハンナ/マーティン・シーン
テレンス・スタンプ/ショーン・ヤング
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"BANLIEUE 13-アルティメット"(2004) [movie-a]

私がこの手の作品を進んで観ることはほとんどない。
しかもリュック・ベッソン絡み。
その昔、『グラン・ブルー』や『ニキータ』をきっかけに、映画の世界へのめりこんだ私にとって、
リュック・ベッソン絡みの近年の作品は、手を出すのにちょっとしたためらいを感じてしまう。
けれど、何となく何も考えたくない日々が続いていて、Gyaoの無料視聴可能なラインナップの中からチョイス。

2004年当時近未来として設定された2010年。
パリ郊外の"バンリュー13"は、警察の力も及ばず、学校も、公共施設も機能しないほどに荒廃していた。
そんなシチュエーションの舞台となるバンリューとは、アメリカで言えばいわばゲットー。
その昔、旅慣れない学生だった頃、格安ツアーで初めて行ったパリで泊まった3つ星ホテルが、
バンリューと呼ばれる郊外にあった。
思い描いていたパリの姿とまったく違う雰囲気に戸惑ったことは今も忘れない。
ぱっとしない団地が立ち並ぶ寂れた地域で、お店と言えばバス停の近くにちょっとした商店があるくらい。
すれ違う人々はアラブ系やアフリカ系が多く、
なんだか、異国に来た上に、とんでもない地域に来てしまったと思い、
夜、パリの市中から宿に戻るときは何だかびくびくしていた。
なので、そんなバンリューが無法地帯と化すという状況は、なんだかすんなりと理解ができた。

さて、バンリュー13地区で生まれ育ち、自らの肉体で地区の秩序を守るため、日々麻薬の売人タハに立ち向かうレイト。
そのレイトはある衝突をきっかけに、自分の妹ローラをタハに奪われてしまった上に、
自分は刑務所に収監されてしまう。
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このレイト演じるダヴィッド・ベルの肉体技がすごい。
彼が行うのはパルクール(Parkour,PK)というフランス発祥の運動方法。
周囲にある環境を利用しながら「走る」「登る」「跳ぶ」などの基本動作だけで凄技を見せてくれる。
ビルの壁、段差、階段、手すり、ドア、すべてを利用して巧みに追手をかわすベルの技は、
「目が離せない」「目が釘付けになる」という慣用句を自然と思い起こさせる。
これってCGじゃないの??と思うような場面が随所にある。
けれど、このパルクール、人間の本来あるべき姿、たとえば森林に住む野生の猿なら、
当たり前の動きなんじゃないかなとも思わされる。
ちなみにこのパルクールの元になるMéthode Naturelle(メソッド・ナチュレル)とは、直訳すると、「自然法」と言う意味。
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さて、一方、緻密な工作と巧みな武術で優秀な検挙率を誇るエリート捜査官ダミアン(シリル・ラファエル)。
ダミアンは上層部からバンリュー13地区に持ち込まれたミサイルの解除を命じられ、
収監中のレイトの助けを得てバンリュー13地区に乗り込むこととなる。
さて、その顛末はいかに。
ラストの展開はいかにもアクション映画、とはいえ、落ちにはフランス人らしいエスプリも感じられた。
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もしかしてフランス人ならバンリューとフランス政府を巡る位置関係や、
バンリューの犯罪事情にもう少し何らかの感慨をもつかもしれないけれど、
私から観たこの映画のメインの主題は格闘とパルクールを含む彼らの動きに尽きる。
キャラクター設定の単純さや、若干展開の稚拙さは否めないけれど、とにかく爽快だった。
そう言えばリュック・ベッソンの格闘技好き、なかでもブルース・リー好きはかなり有名らしい。
彼にとって、映画へのプリミティブな想いとは、
子供時代に観たアクション映画の延長線上にあるものなのかもしれない。


BANLIEUE 13
アルティメット
2004/FRA/85min

監督:ピエール・モレル
製作:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン/ビビ・ナセリ
撮影:マヌエル・テラン
出演:シリル・ラファエリ/ダヴィッド・ベル/トニー・ダマリオ/ラルビ・ナセリ/ダニー・ヴェリッシモ


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"YOU'VE GOT MAIL-ユーガット・メール"(1998) [movie-y]

ようやく春らしい気候になってきて、この週末は桜も見ごろ。
家の近くに神田川が流れていて、天気がいいとウォーキングを楽しむ遊歩道があるのだけれど、
今日は天気も良かったし、都知事選投票のついでにウォーキング。
川沿いの桜が本当に奇麗で、春を満喫。
午後は友人とお茶するついでに明治神宮で桜を楽しもうかと思ったものの、
人の多さに負けて、先にお茶することに。
お茶しながらくだらない話に時間を忘れ、結局明治神宮にはたどり着けず(笑)。

さて、春だから、というわけではないですが、
私の世代の女子ならほとんどが一度は観たことがあるだろう、『ユー・ガット・メール』
往年のラブコメ女王と言っても過言ではないメグ・ライアンと、
『フィラデルフィア』、『フォレスト・ガンプ』のアカデミー連続受賞で、
一躍名優の仲間入りをしたトム・ハンクスで当時かなり話題になった作品。
軽い映画が観たくなって、Gyaoの映画メニューから何となくチョイス、で、再視聴。

当時、特に日本では、まだPCは一人に一台の時代ではなく、
今や当たり前の「出会い系」という言葉もなく、
この映画のシチュエーションは、かなり画期的だった気がしていたけれど、
今観ると、「ピー、ガガガガガー」というダイヤルアップの、
気が遠くなるようなインターネット接続音といい、
ネット上での手探りのコミュニケーションも、
何だか逆に新鮮に感じられるのがとても不思議だ。
shopgirlというハンドルネームで、NY152というハンドルネームの男性に想いを寄せるキャスリン。
彼女は母から受け継いだ児童書の専門店、"Shop around the corner"を経営している。
小さいながらも、子供たちや常連の憩いの場として機能する居心地のいいショップ。
今思うとこのショップのネーミングもセンスがある。
そんな店の近くに大型の書店が店を出すという。
そのメガストアのオーナー一族の若社長が、
shopgirlことキャスリンとネット上でいい感じになっているNY152ことジョー・フォックス。
このシチュエーションは、早々に視聴者に明かされるのだけれど、
ふたりのもどかしいやり取りと、
その一方で進むフォックス社のメガストアOPENと、"Shop around the corner"の閉店劇、
表向き、いがみ合うキャスリンとジョー、そして出会えそうで出会えないShopgirlとNY152のふたり…。
観客はふたりの行く末をやきもきしながら見守るのだけれど、その経緯の描き方がとてもうまい。
そして何よりもこの頃のメグ・ライアンの可愛らしさ!!
今流行りのアヒル口の元祖は彼女ではないかとひそかに思っているのだけれど、
この頃の彼女の人気は本当に凄かった。
異性はもちろん同性も虜にする彼女のナチュラルでボーダーレスな魅力は、他の誰にもないものだった。
好みはあると思うけれど、彼女以上にラブコメで抜群の存在感を放つ女優にはいまだ出会えていない。

また、ストーリーの要のシーンでの、ベタだけれどつぼにはまる選曲がこの映画の裏メニューとも言えるかもしれない。
個人的にはStevie Wonder "Signed, Sealed, Delivered, I'm yours"の使われ方と、The Cranberries "Dreams"がツボ。
後者は特に『恋する惑星』のフェイ・ウォンのカヴァーも然り、恋愛ものに欠かせない曲のイメージがある。
ラストの"Over the rainbow"はストーリーの盛り上がりとリンクしていて、「べたすぎる!!」と思いながらも、
自然と幸せな気持ちにさせられてしまう、そんな強さもあった。

いつまでも、こういう気持ちは忘れたくないし、近い将来、再びこういう気持ちを味わいたいものです。

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YOU'VE GOT MAIL
ユー・ガット・メール
1998/USA/119min

監督:ノーラ・エフロン
原作戯曲:ミクロス・ラズロ
脚本:ノーラ・エフロン/デリア・エフロン
オリジナル脚本:サムソン・ラファエルソン
撮影:ジョン・リンドレー
音楽:ジョージ・フェントン
出演:トム・ハンクス/メグ・ライアン/グレッグ・キニア/パーカー・ポージー
ジーン・ステイプルトン/スティーヴ・ザーン/ダブニー・コールマン/ジョン・ランドルフ
デイヴ・チャペル/ハリー・ハーシュ



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"THE NAMESAKE-その名にちなんで"(2006) [movie-n]

『停電の夜に』でピューリッツア賞やO・ヘンリー賞などを受賞した、
インド系イギリス人ジュンパ・ラヒリの『その名にちなんで』が原作の映画。
もともとどちらも原作を読んでいたので、ずっと気になっていた。

インドからアメリカへ。
人種的にも文化的にもかけ離れた土地で生きてゆくインド人(ベンガル人)夫婦と、
その子供のことを描いている。
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原作も、淡々とした語り口で、過剰にも、不足にも、どちらにも偏ることなく、
アメリカで暮らしてゆく夫婦とその子供たちのことを綴っている。
映画化で原作の雰囲気が壊されているという感じはしない。
原作に寄りそうような監督の目線は、
監督も同じくインド出身であり、女性であるということと無縁ではないだろう。

インドでお見合いで出会ったアショケとアシマ。
渡米後も彼らを取り巻くインド社会と、彼らの独特の風俗、慣習は興味深い。
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お見合いの前に、アシマがアショケの靴をためし履きするシーンが印象的だ。
ほとんど知らない相手と結婚し、渡米し、その地の風土や気候に戸惑い、
何となく相手に馴染み愛し合うようになり、子供が生まれ、少しずつ歳を重ねてゆく。
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そんな生活の合間に起こる数々の出来事。
そのどれもがありそうなこと、と片付けてしまうこともできるのだけれど、
アショケとアシマ夫妻のありようを決定づけているのは、
彼らがベンガル人であるということ、
そして、結婚前にアショケが遭遇した大きな列車事故におけるドラマツルギー。
事故の直前に会話した男性の「海外に出て経験を積め」という言葉と、
アショケが事故の直前に読んでいたニコライ・ゴーゴリの「外套」。
列車事故のあと、その本の端きれを手にしていたことによってそれが目印となり、彼は奇跡的に救出される。
もし、その偶然の重なりがなければ、アメリカに行くことも、
そしてアシマと結婚し、息子と娘が生まれることもなかった。
それゆえ息子にゴーゴリという愛称をつけるのだ。
その名前を通して次の世代である息子ゴーゴリの物語も膨らんでゆく。
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特に「ここがすごい」と大騒ぎしたくなる雰囲気の映画ではない。
けれど、人種や国を超えた、家族だからこそわかり合うのに時間がかかる、
その何とも言えないやるせなさを巧く表現していると感じた。
アシマ役のタブーは美しく、そして細かいところまでこの役に寄り添う技量があった。
私は女性なので彼女寄りの視点で観てしまったけれど、
男性ならば父アショケや息子ゴーゴリの視点で観てしまうのではないだろうか。
ところ変われど、人と家族、その本質は変わらないと思った。
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THE NAMESAKE
その名にちなんで(2006)
2006/USA=INDIA/122min

監督:ミーラー・ナーイル
製作:リディア・ディーン・ピルチャー/ミーラー・ナーイル
原作:ジュンパ・ラヒリ『その名にちなんで』
脚本:スーニー・ターラープルワーラー
撮影:フレデリック・エルムズ
編集:アリソン・C・ジョンソン
音楽:ニティン・ソーニー
出演:カル・ペン/タブー/イルファン・カーン/ジャシンダ・バレット
ズレイカ・ロビンソン/ライナス・ローチ/ブルック・スミス/ジュンパ・ラヒリ



その名にちなんで (特別編) [DVD]

その名にちなんで (特別編) [DVD]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD


原作も。
その名にちなんで (新潮クレスト・ブックス)

その名にちなんで (新潮クレスト・ブックス)

  • 作者: ジュンパ・ラヒリ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/07/31
  • メディア: 単行本


私はこちらの方が好きでした。
停電の夜に (新潮クレスト・ブックス)

停電の夜に (新潮クレスト・ブックス)

  • 作者: ジュンパ ラヒリ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2000/08
  • メディア: 単行本



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"WARRIORS OF HEAVEN AND EARTH-ヘブン・アンド・アース(2003)" [movie-w]

シルクロードの広大な景色を舞台に、日中の有名俳優を迎え、
壮大なスケールで語られるアクションストーリー。

監督がモチーフにしているのは玄奘三蔵のシルクロード横断なのだが、
準主役としてストーリーの要となっているのが、唯一日本人俳優として参加している中井貴一。
彼は遣唐使として数十年の歳月をかの地で過ごし、
西域の突厥警備の最先端である拓厥関(たくけ つかん)で、
母国に戻れる日を心待ちにする来栖旅人(くるすたびと)を演じる。
そんな来栖は皇帝から、元軍人で英雄でありながら、
突厥の女子供を殺すことを拒み、5人の部下とともに反逆者となった李(チアン・ウェン)を殺す任務を仰せつかる。
李討伐を達成した暁には母国へ帰してやるとのお達しに、
来栖は司令官の娘文殊(ヴィッキー・チャオ)を連れ、彼を追うこととなる。
そんな李は、砂嵐の中、命を助けてもらった兵士が警護するキャラバンをともに護衛し、
西域から唐の都長安への旅を続けていた。
そんなキャラバンを狙うのが、トルコ軍にキャラバンの積み荷を奪うよう依頼された馬賊の安(ワン・シュエチー)。
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骨太で部下にも慕われる李と、
長年の異国暮らしで少し屈折したところもみられるものの、
頭もよく、武術に長けた来栖が、少しずつ理解し合うところや、
折々のアクションシーンの空間の使い方の巧さ、
大陸的な雰囲気が感じられる、壮大なシルクロードのロケーションは文句なく素晴らしい。
李と部下たちの関係性や、新たに仲間になる不老死や、
ことあるごとに二胡をたしなみ、蛇のように狡猾で残忍な雰囲気を醸し出す安もいい味を出している。
これは面白そうなアクション映画か…と思った矢先、
途中そんなところでなぜCG??といきなり漫画チックな展開になり、
さらにはラストでの何とも後味の悪い幕切れ。
こう感じるのは私が日本人だからだろうか。

また、役者も悪くなかったけれど、主人公の李がもう少し洗練されたルックスだったらと思わされた。
私がヴィッキー・チャオで、チアン・ウェンか中井貴一の二択だったとしたら、
中井貴一の方に惹かれたかもしれない(笑)。
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意外とアクションの切れも良く、彼の雰囲気と流暢な中国語と風貌は役にはまっていたと思う。

アクション好き、シルクロード好きなら試しに観てもよいかもしれない。
しかし、ラストの陳腐な展開は、到底許し難かった。うーん。

WARRIORS OF HEAVEN AND EARTH
ヘブン・アンド・アース
天地英雄
2003/CHINA/118min

監督:ハー・ピン
脚本:ハー・ピン/チャン・ルイ
撮影:チャオ・フェイ
音楽:A・R・ラフマーン
出演:チアン・ウェン/中井貴一/ヴィッキー・チャオ/ワン・シュエチー

ヘブン・アンド・アース [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD



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"シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による―@国立新美術館" [ART]

日曜は久しぶりに快晴で日中は少し暖かく、外出日和。
お昼から、震災後、ずっとクローズしていた英会話教室で久々のレッスン。
一部の外国人の先生方は静岡方面に避難していたそう。
震災などについて色々話したのだけれど、先生(アメリカ人♂)の、
「僕らは長年の歴史に置いて、自分たちの政府を信用していない。
だから、自分の身は自分で守るために多くの国民が銃を所持している。そういう文化だ。
アメリカ政府だけでなく、他のいかなる国の政府も信用していない。
もちろんフランス政府の姿勢(在日自国民へ、日本を離れるよう勧告)は過敏だとも思ったけれど、
今回の福島原発の状況に対する日本政府の当初の甘い見解も信用していなかった」
という言葉が印象的だった。
確かに、日本政府及び東電の対応の甘さが後になって言われ出しているけれど、
何が本当で、何がそうでないのか、見極める判断力と情報収集の努力は自分でもすべきかと。
とはいえ、いまいちばん望まれるのは、周囲で避難している人たちが、一日も早く日常に戻れるようになることだけれど。

英会話の後は、ずっと観ようと思っていた『シュルレアリスム展』を観に、
震災後久しぶりに開館した国立新美術館へ。
シュルレアリスムとは…いまだに何だかよくわからない、けれど気になってしまう。
それが私にとってのシュルレアリスム(笑)。
その昔、学生時代にゼミでお世話になった教授はシュルレアリスムの第一人者で、
その教授にはずいぶんお世話になったのだけれど、
かなり怠け者のゼミ生だった私は、いまいち深いところまでたどり着けずに終わってしまった。
私の映画好きはその教授の課外授業のおかげで幅が広がったと言ってもいい。
いまだに思い出すのが、
教授が授業で「シュール」でも「シュールリアリズム」でもなくて
「シュルレアル(超現実)」「シュルレアリスム(超現実主義)」だと何度も強調していたこと。
あとはブニュエルの『アンダルシアの犬』やシュヴァンクマイエルの作品を観せてもらったときの衝撃と、
シュルレアリスム絵画の源流とも言われるフランドル派ヒエロニムス・ボッスの
『快楽の園』の存在を教えてもらったときの、
あの見てはいけないものを見てしまったような感覚はいまだに忘れられない。
(ボッスの絵は、その後スペインのプラド美術館に現物を観に行ってすごく感動した)
とにかく不肖のゼミ生だったけれど、いまだにこの手の展示があると観にいったり、
ヤン・シュヴァンクマイエルの新作の公開が気になったりする。
(昨年公開すると言われていた新作『サバイビング・ライフ』は一体どうなったんだ…)

さて、展示自体はシュルレアリスムの歴史を紐解くような構成になっていて、
ダダイズム~シュルレアリスムの関わり合いからブルトンの『シュルレアリスム宣言』、
年代を追ってそれぞれの作家の作品が幅広く展示されている。
絵画・写真・映画・彫刻・文章…その表現形態は幅広い。
当時は珍しかったであろう試みに没頭したり、
自我に深く潜り込んでつくられたような作品を眺めているだけで何となく充足してしまう。
ミロやダリ、マグリット、ピカソなど、一般に広く知られた芸術家の作品も多かったけれど、
今回個人的に気になったのはアンドレ・マッソン。
かなり多岐にわたる作品を残しているらしく、いままでノーマークだったけれど面白い。
祝祭的な雰囲気を感じさせる色彩の作品もあれば、砂を取り入れた抽象的かつ渇いた印象の作品も残している。
なんとなく支離滅裂な気もするけれど、芯が通っているような気もする。
他にも気になった作品気に入った作品は数限りなくあったけれど、いちばん気に入ったのはこちら。
エルンストの『最後の森』
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実物はもっと深い深い青で、時間を忘れるほど引き込まれる作品だった。
横浜美術館に収蔵されている『少女が見た湖の夢』も大好きな作品の一つだが、
この人は有名になっている『カルメル修道会~』のコラージュよりも、
絵画の方が自分の世界観を自由に表すことができていたような気がする。

他にも好きな写真も限りなく。
マン・レイはもともと大好きだけれど、特に今回初めて観たこの一枚『埃の培養』
なんだか月面のような世界観。
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そして、ピカソの愛人であったドラ・マールの一連の写真にみられるパラノイア的幻想的な世界観。
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マグリットの理路整然とした、しかし一方で内面と表面のかい離を感じさせる、
切り取られたモチーフが印象的な『秘密の分身』
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一方でフランシス・ピカビアの『スフィンクス』の印象は徹底的な混沌。
しかし差し伸べられた手、つながれた手に希望を見た。

『アンダルシアの犬』はじめ映像作品も興味深かったが、他でも観る機会があるので今回はスキップ。
けれど『野生状態の眼 アンドレ・ブルトンのアトリエ』だけはそれとなく観ておく。
彼のアトリエを写した映像が延々と編集されている。
文章では分かりづらい彼の世界観が可視化され、わかりやすく展開される。
ポンピドゥーセンターの常設展では、実際にアトリエの壁面の一部が買い取られ、そっくり再現されているという。
うーん、実物を見てみたい。

震災後初の週末開館だったこともあり、それなりに混みあっていて16時閉館だったため、
少し物足りなさを感じながらも会場を去る。
余裕があればもういちどくらい観たいくらい。
…と、まだまだ興味は尽きず、書けることもあるけれど、
書いているときりがないのでこの辺に。


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いとしい想像力よ、
私がお前のなかで
なによりも愛しているのは
お前が容赦しないということなのだ

--アンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言』
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想像力万歳。


比較的、読みやすい二冊を。

シュルレアリスム宣言・溶ける魚 (岩波文庫)

シュルレアリスム宣言・溶ける魚 (岩波文庫)

  • 作者: アンドレ ブルトン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1992/06/16
  • メディア: 文庫


シュルレアリスムとは何か (ちくま学芸文庫)

シュルレアリスムとは何か (ちくま学芸文庫)

  • 作者: 巌谷 国士
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2002/03
  • メディア: 文庫



そして目から鱗だった『ナジャ』

ナジャ (岩波文庫)

ナジャ (岩波文庫)

  • 作者: アンドレ・ブルトン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2003/07/17
  • メディア: 文庫



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"DID YOU HEAR ABOUT THE MORGANS?-噂のモーガン夫妻(2009)" [movie-d]

このところ、震災含め色々あり過ぎて、ちょっと頭がショートしそうなので、
何も考えずに観られるラブコメをセレクト。
NYでセレブな生活を送る、不動産会社のスーパーセールスウーマンの妻にサラ・ジェシカ・パーカー、
浮気が原因でホテル暮らしを余儀なくされている敏腕弁護士の夫にヒュー・グラント、という、
ラブコメと言っても、別居中の夫婦を題材にしたちょっと大人のラブコメ。
サラのキャラクターはSATCのキャリーを彷彿とさせるNYのキャリアウーマンだし、
ヒュー・グラントのキャラクターは2枚目ながら少し頼りないお決まりの優男。
監督に『ラブソングができるまで』のマーク・ローレンス。
これでヒットしなかったら詐欺だと言わんばかりの布陣。

NYのど真ん中でセレブな生活を送っていた別居中の夫婦が、
偶然殺人事件を目撃したことにより命を狙われる羽目になり、FBIの証人保護プログラムにより、
ふたり揃ってワイオミング州レイという、NYと対照的だけれど、
いかにもアメリカらしい片田舎に滞在することになるところから始まる。
最初はぎくしゃくしていた二人がだが、
普段出会わないような人と出会い、普段行かないような店に行き、
普段離れていた自然と触れ合うことにより、
少しずつ気持ちがほぐれ、本来の自分たちを取り戻すようになるという物語。
彼ら夫婦を預かるサム・エリオット演じる保安官と、
メアリー・スティーンバージェン演じるその妻の、
元祖アメリカンな雰囲気がとても感じがいい。
私が知っているリアルなアメリカは、実は高校時代にホームステイしたミシガンの片田舎で、
この映画に出てくるワイオミング州レイみたいな本当に何もない片田舎だったのだけれど、
その当時の記憶を彷彿とさせる農業フェアやら、田舎のダイナーやら、大きなスーパーやらの映像があり、
NYなどのスタイリッシュな都会とかけ離れたアメリカが、
実は本来国土の大部分を占めているんだと感じさせてくれるところでもある。
そんな中でほぐれていくふたりの関係を揺るがすかのように現れる、彼らを狙う殺人者の影。

…まぁ、何も考えずに楽しんで観られるという点ではかなりの合格点を差し上げられるのですが、
本当に特筆すべきところがないという点でも、同様のポイントを差し上げられる作品かと。
もちろん、サラもヒューも悪いわけではないし、初めての共演ながら、そこそこ息ももあっていたと思う。
でも、本当に「ここがいい!!」と言い切れるところがなかった。
個人的にはアメリカの田舎を懐かしめたというところで、+5pointくらい差し上げられるでしょうか。
本当に頭をからっぽにして観られるラブコメ、だったと思う。

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DID YOU HEAR ABOUT THE MORGANS?
噂のモーガン夫妻
2009/USA/103min

監督:マーク・ローレンス
脚本:マーク・ローレンス
撮影:フロリアン・バルハウス
衣装デザイン:クリストファー・ピーターソン
編集:スーザン・E・モース
音楽:セオドア・シャピロ
出演:ヒュー・グラント/サラ・ジェシカ・パーカー/サム・エリオット
メアリー・スティーンバージェン/エリザベス・モス/マイケル・ケリー
ウィルフォード・ブリムリー/セス・ギリアム/ケヴィン・ブラウン
スティーヴン・ボイヤー/シャロン・ウィルキンス/キム・ショウ

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"BIRD-バード"(1988) [movie-b]

この三連休、前半実家、後半は東京でゆっくり過ごしました。
そろそろ20歳になろうかという我が家の化け猫も元気です。人で言えば90を超す長寿猫。
20110321001.JPG
これだけ長生きだとそのうち人語を解するようになるんじゃないかと思えてきます。
大体の家では自分のところの子がいちばん可愛いと思っているでしょうが、
気立ての良さではこの子にかなう子はいないんじゃないかと思うくらい、おとなしくて可愛いやつです。
まだまだ長生きしてほしい。

そしてこの連休は、軌道上いちばん月が地球に近く見えるとのこと。
帰省時に見た満月がとてもきれいでした。
20110321002.JPG

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さて、連休最終日は雨、大掃除を終え、何を観ようか考えた挙句、ちょっと重めのこちらを。
クリント・イーストウッド監督『バード』
"Bird""Yardbird"の愛称で知られる、チャーリー・パーカーの生涯を、
幾つもの場面ををコラージュしたような手法で重ねあげた作品。
イーストウッドは大の音楽好き、中でもJAZZに関してはかなり造詣が深く、
パーカーの演奏も実物を観たことがあるそう。
そんな彼が、"スモーク"や"ゴースト・ドッグ"のフォレスト・ウィティカーを主演に、
こだわりぬいた作品で、ゴールデン・グローブ最優秀監督賞に輝いた。
随所に、挿入される音楽も然り、時代背景や演出にも、イーストウッドらしい繊細さと大胆さが感じられる。
そのキャリアの前半から、ずっと、薬物中毒とアルコール中毒に悩まされ、
その演奏の素晴らしさと対象にとても破壊的でありながら繊細なチャーリー・パーカー。
時に暴力をふるったり、自傷行為を行ったとは思えないほど、
その風貌はゆったりと優しげ。
主演のフォレスト・ウィティカーの雰囲気はまさにチャーリー・パーカーそのもので、
彼の実力と、彼を選んだイーストウッドの見識に脱帽。
bird001.jpg

チャーリー・パーカーの生涯はこちらのサイトがとても詳しいので、もし興味があればご参照を。
BIRDLIVES-Thinking about Charie Parker
http://www.birdlives.co.uk/

とにかく、演奏と、そして演奏の合間に絶え間ない不安と戦うために彼が選んだ、
女性、そして酒・薬との関係がたたみかけるように描かれる。
観ていて辛くなってしまうほど、素晴らしい演奏シーンの合間に彼のハードな体験が描かれるのだが、
その中でも印象的だったのが、娘の死を聴いたチャーリーが、妻のチャンに向け、何度もテレグラムをうつシーン。
思いついたことを立て続けに、そして薬で朦朧としながらもテレグラムをうち続ける。見守る女。
どんどん深みに落ちてゆく彼の精神状態が、見事に描かれる。
こういう悲しみの描き方にイーストウッドらしさがにじむ。

そして彼の死は、雷鳴の轟く、大雨の夜のこと。
彼の生涯の幕切れは、こんなシーンで表わされる。
最後の今際の際に彼の面倒をみていた男爵夫人の家のカウチ。
TVショーを笑いながら観ていたチャーリーがふと、発作に捕らわれる。
男爵夫人が呼んだ医師が彼の死因を電話で語るシーン。
「黒人男性、推定年齢65」という言葉をさえぎるように、男爵夫人が一言。
「34よ」
彼の破滅的な生涯はこの一言に集約されるような気がした。

JAZZという音楽ジャンルに、少しでも興味があるなら、
そしてイーストウッドという稀有な監督の才能を確かめたいなら、是非観て欲しい。名作。
bird002.jpg

BIRD
バード
1988/USA/161min

監督:クリント・イーストウッド
製作:クリント・イーストウッド
製作総指揮:デヴィッド・ヴァルデス
脚本:ジョエル・オリアンスキー
撮影:ジャック・N・グリーン
音楽:レニー・ニーハウス
出演:フォレスト・ウィッテカー/ダイアン・ヴェノーラ/マイケル・ゼルニカー
サミュエル・E・ライト/キース・デヴィッド/マイケル・マクガイア/ジェームズ・ハンディ
デイモン・ウィッテカー/サム・ロバーズ/ビル・コッブス/ジョン・ウィザースプーン
トニー・トッドアンナ・トムソン/トニー・コックス


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サントラも是非

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2002/06/05
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"CHILL OUT-チル・アウト!"(2003) [movie-c]

東北関東大地震発生から1週間余り。震災後初の3連休。
今日は関東での計画停電もなく、気温も上がり、
東京はとてもいい天気で、しばし、震災の苛酷な状況を忘れさせてくれる。
それでも、今日も被災地では物資が足りず、寒さと不安に追い詰められている被災者がいるのも事実。
とはいえ、ここ1週間のキンキンに張りつめた精神状態をOFFにするため、
昨日の夜はワイン飲みながらのんびりDVD観賞。
たまたまTSUTAYA DISCUSで登録していて送られてきたスペイン映画、『チル・アウト』。
これがまた、いい意味でも悪い意味でもスペインらしい、開けっぴろげで不道徳で(いい意味で)、
神経を弛緩させるのになかなかの役割を果たしてくれたと思う。

邦題・英題のChill outとは、英語のスラングで「落ちつけよ」とか「リラックスして」という意味。
クラブ系ミュージックの中ではクールダウンさせるような比較的ダウンテンポな曲のことをさす。
スペイン語の原題はDESCONGELATEで、「霜を取り除く」という意味。
ちなみに英語のChillは冷たいという意味もあって、本編を観ると、
「うんうん」と納得できるようなネーミングになっている。

CAUTION!!
**この後の文章にはストーリーの一部が記載されています。
-------------------------------------------------------------------
さて、この物語の主人公は場末の弟ベルトの店で毎晩舞台に立つ冴えない俳優ティト。
彼は、元舞台女優で今は冷凍食品にはまる母カティと、
マクロビ教室を開くベジタリアンの妻イリスに挟まれながらも、
小市民的な幸せに包まれた日々を送っていた。
ところが彼に目を付けたジャンキーの映画監督アイトールが、
彼に映画の主役のオファーをするところから、どんどん話が展開してゆく。
クスリでラリった状態で、アイトールはティトを何か言うごとに「すかたん」と呼び、
彼の負け犬っぷりが次の映画の主役にぴったりと口説き始める。
褒められているのか貶されているのかわからない彼の口説き文句に、
はじめは疑ってかかっていたティトだが、プロデューサーもいて、話がリアルだと気づくと、
この幸運を逃してはならぬとばかり、イリスともども奮闘し始める。
ところが、契約書にサインをする直前になって、
アイトールがオーバードーズ(薬物過剰摂取)でぽっくりいってしまう。
慌てるふたり。
そこで、イリスが考え出したのが姑カティの得意技『冷凍』である。
死体を冷やして発見された時の死亡時間をうまく調節しようという魂胆だ。
都度介入してこようとするカティを追い払いながら、
契約をすませたあとで死体が発見されるよう仕組むが、そう簡単に事が運ぶわけがない。
様々なトラブルや様々な人々が絡んできて、ストーリーはどんどんドタバタ喜劇の要素を帯びてゆく。
とにかく男連中のダメダメっぷりと、カティやイリスをはじめ女連中のたくましさも見どころ。
同じスペインのアルモドバル監督作品でも思うが、
スペイン(イタリアもか)映画の中における、の女の強さ、母の強さは偉大である、と感じてしまう。

本当にいい意味でも悪い意味でも何も考えずに勢いで観られた。
とにかくトラブルがありながらも都合よく話が進んでゆくので、
「本当にそれでいいのか!!」「そんなことあるわけないじゃないか!!」
と突っ込みたくなるところも満載なのだが、
彼らの人の話を聞かない、あの勢いの良さ(人にもよるだろうけれど)、強情さ、
一方で開けっぴろげな悪気のなさや、なるようになるさ、人生を楽しもう、という姿勢は、
今の日本が少しは身に付けた方がよい生きる上でのあり方かもしれないと思った。
そして、被災地以外のすべてのみなさんに"Chill out!!"と言いたい。
落ち着いて、周りを見て、何が大切なのか見極めて、日々を丁寧に生きていきましょう。

chillout.jpg

DESCONGELATE!
CHILL OUT
チル・アウト!
2003/ESP/97min

監督:フェリックス・サブロソ/ドゥーニャ・アジャソ
撮影:キコ・デ・ラ・リカ
音楽:マリアーノ・マリーン
出演:ペポン・ニエート/カンデラ・ペーニャ/ロレス・レオン
ルーベン・オチャンディアーノ/オスカル・ハエナダ/ホセ・アンヘル・エヒド

チル・アウト! [DVD]

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